倒産集計

2018年報
2018年(平成30年) 1月1日〜12月31日

倒産件数は8063件、2年ぶりの前年比減少
負債総額は1兆6255億5200万円、2000年以降最小

倒産件数 8063件
前年比 ▲3.7%
2017年 8376件
負債総額 1兆6255億5200万円
前年比 ▲33.8%
2017年 2兆4548億8400万円

〈注〉2017年の負債総額は、タカタ(株)の負債額を1兆823億8400万円(確定再生債権等の総額)として集計(2018年6月報より適用)

主要ポイント

■件数

ポイント倒産件数は8063件、2年ぶりの前年比減少

2018年の倒産件数は8063件(前年8376件、前年比3.7%減)と、2年ぶりに前年を下回った。四半期別では第1〜第4四半期のすべてで前年同期を下回り、月別では12カ月中9カ月で前年同月を下回った。

要因・背景

■負債総額

ポイント負債総額は1兆6255億5200万円、2000年以降最小

2018年の負債総額は1兆6255億5200万円(前年2兆4548億8400万円、前年比33.8%減)と、2年ぶりに前年を下回り、2000年以降で最小となった。四半期別ではタカタ(株)(2017年6月、負債1兆823億8400万円)の倒産が発生した反動で、第2四半期が前年同期比72.7%の大幅減となり、月別では12カ月中8カ月で前年同月を下回った。

要因・背景

■業種別

ポイント建設、製造、卸の3業種は2000年以降で最少

業種別に見ると、7業種中6業種で前年を下回った。なかでも、建設業(1414件、前年比10.0%減)、製造業(927件、同9.7%減)、卸売業(1202件、同5.8%減)の3業種は、2000年以降で最少。また、建設業は2009年以降10年連続、製造業は2010年以降9年連続で前年を下回った。一方、サービス業(1929件、同2.8%増)は唯一前年を上回った。

要因・背景

■主因別

ポイント「不況型倒産」の構成比は79.9%

主因別の内訳を見ると、「不況型倒産」の合計は6443件(前年比5.9%減)となった。構成比は79.9%(同1.8ポイント減)を占めた。
※倒産主因のうち、販売不振、輸出不振、売掛金回収難、不良債権の累積、業界不振を「不況型倒産」として集計

要因・背景

■規模別

ポイント負債5000万円未満の倒産は構成比61.7%、2000年以降で最高

負債額別に見ると、負債5000万円未満の倒産は4973件(前年比1.7%減)となった。構成比は61.7%(同1.3ポイント増)と、2009年(42.5%)以降10年連続で上昇し、2000年以降で最高となった。

要因・背景

■地域別

ポイント関東、近畿など4地域で前年比減少も、東北など5地域は増加

地域別に見ると、9地域中4地域で前年を下回った。このうち、中部(1237件、前年比1.3%減)は3年ぶり、北海道(216件、同18.5%減)、関東(2878件、同8.0%減)、近畿(2053件、同5.6%減)の3地域は2年ぶりの前年比減少。一方、東北(351件、同5.4%増)、中国(372件、同11.0%増)など5地域は前年を上回った。

要因・背景

■態様別

ポイント民事再生法は前年比増加

態様別に見ると、破産は7502件(前年比4.2%減)、特別清算は307件(同0.3%減)、民事再生法は252件(同9.6%増)となった。会社更生法による倒産は2件発生。

要因・背景

■上場企業倒産

2018年の上場企業倒産は、東証1部上場の日本海洋掘削(株)(会社更生法、6月)の1件

■注目の倒産動向

人手不足倒産

2018年は153件(前年比44.3%増)、3年連続の前年比増加

後継者難倒産

2018年は401件(前年比17.6%増)、3年ぶりの前年比増加

返済猶予後倒産

2018年は428件(前年比10.8%減)、3年ぶりの前年比減少

今後の見通し

■倒産件数は2年ぶりに減少、多数の消費者を巻き込んだ倒産相次ぐ

2018年の倒産件数は、8年ぶりの前年比増加となった前年から一転し、2年ぶりの減少となった。業況の改善や金融機関による資金繰り支援などを背景に建設、製造、卸の3業種が過去最少を記録した。負債5000万円未満の小規模倒産の割合が10年連続で上昇し、61.7%と最高を更新したことなどから、負債総額(1兆6255億5200万円)も過去最小となった。
2018年最大の負債は、磁気健康器具販売のネットワークビジネス大手だったジャパンライフ(3月、負債2405億円)となった。オーナー制度で広く資金を集め、被害対策弁護団も結成されたケフィア事業振興会(9月、同1001億9400万円)がこれに次ぐ大型倒産となったほか、シェアハウス「かぼちゃの馬車」を展開していたスマートデイズ(4月、同60億3500万円)、振り袖販売・レンタルでトラブルとなったはれのひ(1月、同6億3500万円)など、多くの個人投資家や消費者を巻き込んだことで注目を集めた倒産が相次いだ。

■建設業は10年連続減、今後は採算悪化で反転増も

2018年の建設業の倒産(1414件、前年比10.0%減)は過去最少となった。災害復興や国土強靭化に基づくインフラ整備需要のほか、都市部での大規模再開発の増加などを受け、直近ピークの2008年(3446件)以降、10年連続のマイナスで約4割にまで減少した。東京都と大阪府の減少が全体を大きく押し下げ、関東、近畿など計5地域で過去最少となった一方、震災復旧・復興工事が最盛期を過ぎた東北(81件、前年比26.6%増)などでは増加と、地域差もみられた。
政府は国土強靭化として事業規模7兆円程度の3カ年のインフラ対策を発表するなど、建設業は今後も公共事業を中心に底堅い受注動向が見込まれるものの、労務費や建材費の上昇による採算悪化を要因とした小規模企業の倒産増加も懸念される。

■後継者難倒産は前年比2ケタ増

後継者不在のため事業継続の見通しが立たなくなったことから倒産した「後継者難倒産」は、401件と前年比17.6%の増加で、調査開始以降の最多件数(2013 年、411 件)に迫った。経営ノウハウや取引先との関係、人脈などを代表個人に大きく依存した小規模企業では、代表の突然の体調不良や死亡などで事業継続が困難となり、倒産に追い込まれるケースが目立つ。また、後継者不在のまま債務超過状態で事業を継続し、円滑な廃業を選択できなくなった企業による倒産も散見された。代表の高齢化が進むなか、今後も後継者難倒産の動向が注目される。

■倒産件数は低水準が続く見込みも、山積するリスク要因への注視要する

2018年4月からスタートした信用補完制度の見直しにより、不況業種を対象としたセーフティネット保証5号の保証割合は100%から80%に引き下げられた。中小企業の資金繰りへの影響が注目されたものの、現時点で金融機関による融資先選別など、大きな変化はみられない。今後も同様の資金繰り環境が続くとすれば、引き続き倒産件数は低水準での推移が想定される。
10月に予定される消費税率の引き上げは、引き上げ前後の駆け込み需要と反動減が前回(2014年4月)よりも抑えられる見通しであり、倒産への影響は限定的だろう。他方、緩やかな景気回復が続く国内では、生産年齢人口の減少と相まって幅広い業種で人手不足感が高まっている。2018年の「人手不足倒産」(153件)は3年連続の増加で推移しており、今後さらなる増加も懸念される。また、世界経済全体に、米中貿易摩擦を背景とした不透明感が強まるなか、円高株安による企業業績不安は2019年最大の懸念材料であり、各種リスク要因には注視を要する。

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