レポート

倒産集計 2026年 7月報

2026/08/10

倒産件数、2カ月連続の1000件超え
リーマン・ショック後の高い水準に

概況・主要ポイント

  1. 倒産件数は1037件(前年同月956件、8.5%増)となり、2カ月連続で前年を上回った。前月(1028件)に比べると9件多く、今年最多を更新した。なお、2カ月連続で1000件を上回るのはリーマン・ショックの影響が残る2009年(11-12月)以来およそ17年ぶり
  2. 負債総額は2341億1800万円(前年同月1664億7300万円、40.6%増)と、5カ月連続で前年を上回り、今年最大となった。なお、単月の負債額が2000億円を超えるのは2025年12月以来7カ月ぶり。負債額トップは、クレジットカード売上代金の早期決済代行サービスを手がけていた㈱全東信の1151億6400万円で、全体のおよそ5割を占めた
  3. 業種別にみると、主要7業種中5業種で前年を上回った。『サービス業』(前年同月263件→261件、0.8%減)が最も多く、『小売業』(同184件→234件、27.2%増)、『建設業』(同181件→207件、14.4%増)が200件を超えて続いた
  4. 地域別にみると、9地域中7地域で前年を上回った。『九州』(前年同月99件→115件、16.2%増)は2000年以降で2番目に多かった。増減率でみると、『東北』(同40件→63件、57.5%増)が最も高く、全県で前年を上回り、7月としては2000年以降で2番目に多かった
  5. 「物価高倒産」は121件判明し、過去最多を更新した
  6. 「人手不足倒産」は30件判明し、3カ月ぶりに前年を下回った
  7. 「後継者難倒産」は52件判明し、2カ月連続で前年を上回った
  8. 「ゼロゼロ(コロナ)融資後倒産」は63件判明し、うち『小売業』が16件で最も多かった

業種別

主要7業種中5業種で前年を上回る 『小売業』が234件、2000年以降で最多

業種別にみると、主要7業種中5業種で前年を上回った。『サービス業』(前年同月263件→261件、0.8%減)が最も多く、『小売業』(同184件→234件、27.2%増)、『建設業』(同181件→207件、14.4%増)が200件を超えて続いた。『小売業』は前年から大幅に増加し、2000年以降で最も多かった。
業種を細かくみると、飲食関連産業の増加が目立ち、『小売業』では、「飲食料品小売」(前年同月24件→43件)や「飲食店」(同74件→93件)などが全体を押し上げ、『卸売業』では、野菜卸売などの「飲食料品卸売」(同21件→33件)が大幅に増加した。『建設業』では電気工事や管工事などの「設備工事」(同31件→45件)が大きく増加した。

主因別

「販売不振」は840件、7月としては2000年以降2番目に多く

主因別にみると、「販売不振」が840件(前年同月778件、8.0%増)で最も多く、7月としては2000年以降で2番目に多かった。「売掛金回収難」(前年同月10件→3件、70.0%減)は9カ月ぶりに前年を下回った。その他、「業界不振」(同2件→3件、50.0%増)などを含めた『不況型倒産』は847件(同791件、7.1%増)となり、2カ月連続で前年を上回った。
「放漫経営」(前年同月11件→27件、145.5%増)は前年から大幅に増加した。「経営者の病気、死亡」(同35件→33件、5.7%減)は、5カ月連続で30件を上回った。一方、「その他の経営計画の失敗」(同20件→14件、30.0%減)は、4カ月ぶりに前年を下回った。
※倒産主因のうち、販売不振、輸出不振、売掛金回収難、不良債権の累積、業界不振を『不況型倒産』として集計

態様別

『清算型』倒産は1003件、15年ぶりに1000件を超える

態様別にみると、『清算型』倒産は1003件(前年同月914件、9.7%増)となり、東日本大震災が発生した2011年3月(1004件)以来、約15年ぶりに1000件を超えた。『再生型』倒産は34件(同42件、19.0%減)で、5カ月ぶりに前年を下回った。
『清算型』では、「破産」が951件(前年同月890件、6.9%増)となり2カ月連続で前年を上回った。「特別清算」は52件(同24件、116.7%増)で、2006年1月(56件)に次いで2000年以降で2番目に多く、件数を押し上げた。
『再生型』では、「民事再生法」が34件(前年同月41件、17.1%減)となり、個人が27件、法人は7件だった。「会社更生法」は4カ月ぶりに発生しなかった。

規模別

負債「5000万円未満」が655件、2カ月連続で過去最多を更新

負債額を規模別にみると、「5000万円未満」が655件(前年同月552件、18.7%増)と2000年以降で最も多く、2カ月連続で最多を更新した。「10億円以上50億円未満」は17件(同21件、19.0%減)で、5カ月ぶりに前年を下回った。
資本金を規模別にみると、『個人+1000万円未満』の倒産が726件(前年同月684件、6.1%増)となり2000年以降で2番目に多く、全体の70.0%を占めた。

業歴別

業歴「15年以上20年未満」が141件、15年ぶりに140件台の高水準に

業歴別にみると、「30年以上」が339件(前年同月318件、6.6%増)で最多となった。このうち老舗企業(業歴100年以上)の倒産は20件(同12件、66.7%増)発生した。「20年未満」は141件(同98件、43.9%増)と2011年3月(140件)以来15年ぶりに140件台となった。
業歴10年未満の『新興企業』〈「3年未満」(前年同月52件→31件、40.4%減)、「5年未満」(同58件→64件、10.3%増)、「10年未満」(同175件→177件、1.1%増)〉は272件(前年同月285件、4.6%減)となり、2カ月ぶりに前年を下回った。内訳を業種別にみると、「サービス業」(同100件→86件、14.0%減)が最も多く、「小売業」(同63件→71件、12.7%増)、「建設業」(同55件→48件、12.7%減)が続いた。

地域別

9地域中7地域で前年を上回る 『九州』は2000年以降で2番目に多く

地域別にみると、9地域中7地域で前年を上回った。『九州』(前年同月99件→115件、16.2%増)は2000年以降で2番目に多かった。特に「福岡」(同53件→62件)と「鹿児島」(同8件→14件)が2000年以降で最多となり、地域全体を押し上げた。一方、『北陸』(同41件→37件、9.8%減)は7カ月ぶりに前年を下回った。
増減率でみると、『東北』(前年同月40件→63件、57.5%増)が最も高く、全県で前年を上回り、7月としては2000年以降で2番目に多かった。次いで、『四国』(同14件→22件、57.1%増)が高く、7カ月連続で前年を上回った。
47都道府県中27都道府県が前年を上回った。

物価高倒産

物価高倒産は121件判明 過去最多を更新

「物価高倒産」は、121件(前年同月90件、34.4%増)判明し、8カ月連続で前年を上回った。前月(113件)より8件多く、集計開始(2018年)以降で過去最多を更新した。業種別にみると、『建設業』が42件で最多、『小売業』が33件で続いた。要因別にみると、「原材料(価格の高騰)」によるものが49件で最多、「人件費」が43件で続いた。

人手不足倒産

人手不足倒産は30件判明 3カ月ぶりに前年を下回る

「人手不足倒産」は、30件(前年同月49件、38.8%減)判明し、3カ月ぶりに前年を下回った。2026年1-7月の累計は257件となり、前年同期(251件)を6件・2.4%上回った。業種別にみると、『サービス業』が13件で最も多く、『建設業』が11件で続いた。従業員数別にみると、「10人未満」が18件、「10人以上50人未満」が10件で続いた。

後継者難倒産

後継者難倒産は52件判明 2カ月連続で前年を上回る

「後継者難倒産」は、52件(前年同月46件、13.0%増)判明し、2カ月連続で前年を上回った。業種別にみると、『建設業』が16件で最も多く、『小売業』が14件、『サービス業』が7件で続いた。負債額を規模別にみると「5000万円未満」が25件で最多となり、全体の約半分を占めた。

ゼロゼロ(コロナ)融資後倒産

ゼロゼロ(コロナ)融資後倒産は63件判明 『小売業』が16件で最多

「ゼロゼロ(コロナ)融資後倒産」は、63件(前年同月66件、4.5%減)判明し、前年を下回った。業種別にみると、『小売業』が16件で最も多く、『建設業』が14件、『卸売業』『サービス業』が各9件で続いた。負債額を規模別にみると「1億円以上5億円未満」が27件で最多となり、全体の42.9%を占めた。

注目の倒産動向 -1

「木造建築工事業」の倒産動向(2026年1-7月)

7月までに159件 過去10年で最多ペース
価格高騰や人手不足など影響 今年下半期も増加が続く見通し

2026年1-7月に判明した木造建築工事業の倒産(負債1000万円以上、法的整理)は159件で、前年同期(132件)に比べて27件多く、20.5%増加した。7カ月間の累計倒産件数は過去10年では最多となり、2012年(166件)以来の高水準のペースが続いている。負債総額は約295億8400万円にのぼり、既に2020~2024年における各年の負債総額(通年)を上回った。
規模別でみると、負債1億円未満の中小零細事業者が102件で全体の64.2%を占めた。一方で負債額が10億円を超えたのは、民事再生法の適用を申請したアエラホーム㈱(東京)を含めた4件。業歴も長く、地元では一定の知名度を得ていた地方企業の倒産も目立った。
倒産増加の理由として、まず建築資材や人件費・外注費の上昇と、住宅ローン金利の上昇により、個人の住宅購買意欲が低下していることが挙げられる。国土交通省の「建設着工統計調査報告」によると、2025年の新設住宅着工戸数は 74万667戸(前年比6.5%減)にとどまり、3年連続で減少した。木造建築を含む住宅全体の着工もほとんどの地域で軒並み落ち込んでいる。次に建築基準法の改正で「4号特例」が縮小されたことなどに伴い、建築確認申請の厳格化や設計・申請手続きの所要時間が増加していることが挙げられる。慢性化している人手不足などにより着工の遅れや工期延長といったスケジュールの長期化、加えてコストの増加分の価格(請負単価)転嫁がままならず資金繰りの悪化につながっていることも背景にある。
建設業全体でみても2025年の倒産件数は12年ぶりに2000件を超えた。インフレが進行する過程でコストアップ要因が重なりやすい木造建築工事業の倒産は、今後も増加傾向が続く見通しである。人手不足や職人の高齢化といった業界の構造に関わる課題解決が急がれる。

注目の倒産動向 -2

「従業員退職型」の倒産動向(2026年1-7月)

従業員「退職」で倒産、5年連続で増加 過去最多ペースで推移
「賃上げできず」倒産も発生、人材流出が経営リスクに

2026年1-7月に判明した人手不足倒産のうち、従業員や経営幹部などの退職が直接・間接的に要因となった「従業員退職型」の倒産は、合計で83件判明した。前年同期(74件)より9件・12.2%多く、コロナ禍の2022年以降、5年連続で増加した。このペースで推移した場合、初めて年100件を超えた前年(124件)を大幅に上回り、年間で過去最多の更新が確実となっている。
2026年の「従業員退職型」倒産を業種別にみると、最も多いのが「サービス業」(22件)で全体の26.5%を占めた。老人福祉施設や美容室といった業界での発生が多かった。「建設業」(20件)は、7カ月間の累計で初めて20件台に到達した。現場作業を担う職人や営業担当者の相次ぐ退職により、事業運営が困難になったケースが目立った。また、「運輸・通信業」(12件)では貨物自動車運送などの業種を中心に前年同期(8件)から増加し、初めて10件を超えた。
近年発生した従業員退職型倒産をみると、2025年以降は特に、足元のコストアップ分をサービスや商品価格に転嫁できないことで「賃上げ原資」を確保できず、事業の中核を担うキーマンの流出を止められないケースがみられた。総じて、労働市場の流動性が高まっていることも背景に、前年にも見られた「待遇改善ができないことによる人材流出リスク」が顕在化している。また、少数の熟練技術者や中心メンバーに事業の根幹を依存している企業では、従業員のケガや長期離脱によるオペレーション能力の低下が原因となったケースもみられた。
人手不足が深刻化するなかで、欲しい人材を確保できない「採用難」と同等に、既存の従業員の「退職」も大きな経営リスクとなっている。一方で、賃上げしたくても業績悪化などを理由に賃上げができない企業は多く、従業員に対し十分な報酬を支払う余力のない中小零細企業を中心に、「従業員退職型」倒産は今後も高水準で推移する可能性がある。

今後の見通し

2カ月連続の1000件超え

2026年7月の全国企業倒産は1037件となった。前年同月(956件)に比べると81件(8.5%増)多く、2カ月連続で1000件を上回るなど、倒産の増加傾向が顕著となっている。業種別でみると、「サービス業」「小売業」「建設業」がそれぞれ200件を超えた。とりわけ「小売業」は、前年同月に比べると50件多く、増加件数・増加率ともに最も大きかった。
負債総額は2341億1800万円(前年同月1664億7300万円、40.6%増)となり、5カ月連続で前年を上回った。負債額トップは、クレジットカード決済代行を手がけていた㈱全東信(大阪、負債1151億6400万円、破産)で、今年に入って最大。

相次ぐ不適切な会計処理の発覚

㈱全東信を巡っては、経済産業省が中小企業向けの資金繰り支援として特別相談窓口を設置、外食産業の業界団体や決済システム事業者などもサポートする動きがみられるなど、同社のサービス利用者への影響が懸念されている。また、60以上の金融機関が融資を行っていたことで、金融庁が地銀および信用金庫などの与信の審査体制について調査する方針にあることが報じられた。同社は架空の預金や債権、加盟店に対する未払立替精算金の未計上、「営業権」の過大計上など、長年にわたる大規模な粉飾の疑いが指摘されたことも衝撃をもって受け止められた。
決算の「粉飾」は同社に限らず、負債10億円以上の中~大規模クラスの倒産で断続的に発生している。今年1月~6月の負債上位20社のうち、約半数がコンプライアンス違反関連の倒産となり、7月に発生した木造建築工事のアエラホーム㈱(東京、負債43億円、民事再生法)においても未成工事支出金の架空計上が明らかになるなど、不適切な会計処理が発覚した。

年後半も倒産の高止まりが続く可能性

7月28日、熊本県で最大震度7の揺れが観測され、甚大な被害が発生した。同震災で震度5強以上の強い揺れを観測した熊本県内・25市区町村に本社を置く企業は1万8257社、支店・工場などの拠点は1万1356社に及ぶことが判明している(帝国データバンク「令和8年熊本地震」関連調査、7月30日発表)。熊本県は半導体受託製造のTSMCをはじめ、自動車産業、エレクトロニクス産業が集積、調査結果が示すように県外からの進出拠点も多い。大手企業を中心として、既に復旧に向けた動きも報じられているが、サプライチェーンへの波及とその影響が注視される。
7月の物価高倒産は121件と過去最多を更新するなか、いまだ終結をみない緊迫化する中東情勢や原油価格の上昇も懸念材料だ。「中東情勢悪化倒産」は7月末までの累計で12件にとどまっているものの、月を追うごとに増加傾向(5月=1件、6月=4件、7月=7件)にあり、今後の推移に注目したい。また、物価上昇が進むなかで消費者の節約志向の高まりも想定され、小売や消費者向けサービスを展開する企業にとって厳しい事業環境が続くことが予想される。
国内景気はAI・半導体関連需要が牽引、政府による成長投資も大手企業を中心にプラス材料となっているが、業績の改善に至らない中小企業には、そうした恩恵が及ばず、規模間格差は拡がっている。企業倒産は年後半に向けて高止まりの状態が続く可能性が高いだろう。

次回発表日は9月8日(火)13時30分を予定しております。

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2026年7月報(倒産動向データ編)