レポート

倒産集計 2026年上半期報(1月~6月)

2026/07/08

2年連続の5000件超え
物価高・人手不足が過去最多を更新

概況・主要ポイント

  1. 2026年上半期の倒産件数は5335件(前年同期5003件、6.6%増)と、前年から332件増加し、4年連続で前年を上回った。上半期としては、2年連続で5000件を超える高水準での推移となった。上場企業の倒産が1件〈㈱トーシンホールディングス(東証スタンダード上場)〉発生した
  2. 負債総額は7247億3600万円(前年同期6776億8700万円、6.9%増)と、上半期としては4年ぶりに前年を上回った。負債「5000万円未満」が全体の62.2%を占め、構成比は上半期として2年連続で6割を超えた
  3. 業種別にみると、主要7業種中6業種で前年を上回った。『サービス業』(前年同期1329件→1418件、6.7%増)が最も多く、2000年以降で最多を更新した。次いで『小売業』(同1078件→1108件、2.8%増)が3年連続で1000件を超えて続いた
  4. 地域別にみると、9地域中8地域が前年を上回った。最も件数が多かったのは、『関東』(前年同期1694件→1778件、5.0%増)だった。他方、唯一前年を下回った『東北』(同314件→234件、25.5%減)は、5年ぶりに6県すべてが前年より少なかった
  5. 「ゼロゼロ(コロナ)融資後倒産」は256件判明し、2年連続で減少した
  6. 「人手不足倒産」は227件判明し、過去最多を更新した
  7. 「後継者難倒産」は312件判明し、過去最多を更新した
  8. 「物価高倒産」は556件判明し、過去最多を大幅に更新した

業種別

主要7業種中6業種で前年を上回る 『サービス業』が2000年以降で最多

業種別にみると、主要7業種中6業種で前年を上回った。『サービス業』(前年同期1329件→1418件、6.7%増)が最も多く、2000年以降で最多を更新した。次いで『小売業』(同1078件→1108件、2.8%増)が3年連続で1000件を超えて続いた。『建設業』(同986件→1043件、5.8%増)は上半期としては13年ぶりに1000件を上回った。『運輸・通信業』(同195件→231件、18.5%増)は、上半期としては2年ぶりに前年を上回った。
業種を細かくみると、『サービス業』では、ソフトウェア開発などの「広告・調査・情報サービス」(前年同期450件→489件)が最も多かった。『小売業』では、「飲食店」(同458件→473件)が2000年以降で最多を更新した。『建設業』では、「職別工事」(同463件→522件)が、上半期として2012年(565件)以来14年ぶりに500件を超えた。

主因別

「販売不振」は4278件 3年連続で全体の8割を占める

主因別にみると、「販売不振」が4278件(前年同期4117件、3.9%増)で最も多く、全体の80.2%を占めた。構成比としては3年連続で80%を超えた。「売掛金回収難」(同14件→32件、128.6%増)などを含めた『不況型倒産』の合計は4350件(同4163件、4.5%増)と、上半期としては5年連続で前年を上回った。
「経営者の病気、死亡」(前年同期164件→205件、25.0%増)は、前年に続き2000年以降で最多となった。このほか、「放漫経営」(同84件→87件、3.6%増)と「その他の経営計画の失敗」(同106件→114件、7.5%増)は前年を上回った。
※倒産主因のうち、販売不振、輸出不振、売掛金回収難、不良債権の累積、業界不振を『不況型倒産』として集計

態様別

「破産」は4981件、上半期としては5年連続で前年を上回る

態様別にみると、『清算型』倒産の合計は5158件(前年同期4876件、5.8%増)となり、全体の96.7%を占めた。『再生型』倒産は177件(同127件、39.4%増)発生した。
『清算型』では、「破産」が4981件(前年同期4698件、6.0%増)で最も多く、上半期としては5年連続で前年を上回った。「特別清算」は177件(同178件、0.6%減)と、3年ぶりに前年を下回った。
『再生型』では、「民事再生法」が169件(前年同期124件、36.3%増)発生した。個人が138件、法人で31件発生した。㈱絆ホールディングスと関係会社3社を含む「会社更生法」は8件(同3件、166.7%増)で、そのうち小規模会社更生は3件だった。

規模別

負債「5000万円未満」が62.2%を占め、2年連続で6割超

負債額を規模別にみると、「5000万円未満」の倒産が3320件(前年同期3164件、4.9%増)で全体の62.2%を占め、上半期としては2年連続で6割を超えた。2008年以来18年ぶりに全規模で前年を上回った。
資本金を規模別にみると、『個人+1000万円未満』の倒産が3875件(前年同期3578件、8.3%増)で最も多く、構成比は上半期として2000年以降で最高の72.6%を占めた。

業歴別

『新興企業』は1533件、上半期としては2年ぶりに前年を上回る

業歴別にみると、「30年以上」が1657件(前年同期1578件、5.0%増)で最も多く、全体の31.1%を占めた。このうち、老舗企業(業歴100年以上)の倒産は78件(同61件、27.9%増)発生した。「15年未満」は783件(同665件、17.7%増)となり、過去15年で最多となった。
業歴10年未満の『新興企業』〈「3年未満」(前年同期187件→202件、8.0%増)、「5年未満」(同327件→354件、8.3%増)、「10年未満」(同997件→977件、2.0%減)〉は1533件(前年同期1511件、1.5%増)と、上半期としては2年ぶりに前年を上回った。内訳を業種別にみると、「サービス業」(同512件→528件、3.1%増)が最も多く、「小売業」(同363件→364件、0.3%増)、「建設業」(同307件→277件、9.8%減)が続いた。

地域別

9地域中8地域が前年を上回る 34都道府県が前年から増加

地域別にみると、9地域中8地域が前年を上回った。最も件数が多かったのは、『関東』(前年同期1694件→1778件、5.0%増)だった。他方、唯一前年を下回った『東北』(同314件→234件、25.5%減)は、5年ぶりに6県すべてが前年より少なかった。
最も増加率が高かったのは、『北陸』(前年同期155件→218件、40.6%増)で、上半期としては2009年(266件)以来の200件台となった。「石川」(同31件→45件)や「新潟」(同54件→76件)の増加が目立った。『中部』(同654件→712件、8.9%増)は、上半期としては2013年(805件)以来13年ぶりに700件を超えた。
47都道府県中、34都道府県が前年を上回った。

注目の倒産動向 -1

「飲食料品卸売」の倒産動向(2026年上半期)

コロナ禍以前の水準に戻る 3年連続で250件超のペースで推移
小規模企業の倒産が高水準で推移 農畜産・水産物卸業界での苦戦が続く

2026年上半期の飲食料品卸売の倒産(負債1000万円以上、法的整理)は133件となり、前年同期(126件)から7件、5.6%増加した。年換算すると266件となり、2024年以降の倒産件数はコロナ禍前と同水準の250件超で推移している。負債総額は、258億6200万円と前年同期(約185億5600万円)を約4割上回った。
規模別では、負債5000万円未満の小規模倒産が59件(構成比44.4%)、資本金1000万円未満が62件(同46.6%)発生し、価格転嫁が進んでいない小規模業者の苦戦が続いている。ただ、2026年上半期では、負債額が5億円以上の倒産が16件(前年同期10件)と増加したことが負債総額を押し上げた。業種細分類でみると、「生鮮魚介卸」が37件(同24件)と半期集計では過去10年で2025年下半期と並び最多。気候変動による水揚量の減少に加え、海外での魚介類需要の拡大を背景に魚価が上昇している一方、国内需要の低迷により売価への転嫁が進まないことが要因となっている。また、高価な牛肉から安価な豚肉・鶏肉への需要シフトに加え、アフリカ豚熱や鳥インフルエンザなどで供給問題もある「食肉卸」が13件(同13件)となった。
コロナ禍以降、倒産が高水準で推移している背景として、食品の価格上昇に対して売価への転嫁が進んでいない現状がある。地球温暖化や天候不順で農畜産・水産物の収穫量や相場が不安定であることや、円安の影響で輸入食材の仕入価格の上昇、さらには包装資材や運送コストの上昇など、近年はさまざまな価格上昇要因がある。一方、消費者の節約意識の高まりから、安価な商材へのシフトや購入量を控える動きがあり、売価への転嫁が抑えられることで利幅が減少するケースがみられ、倒産件数を押し上げている。
今後も中東情勢の影響によって各資材の価格上昇が懸念されるなど、業界を取り巻く不透明な要素は依然として多い。小規模業者を中心に厳しい事業環境が続くとみられ、倒産件数は今後も高水準で推移することが見込まれる。

ゼロゼロ(コロナ)融資後倒産

ゼロゼロ(コロナ)融資後倒産は256件判明 2年連続で減少

「ゼロゼロ(コロナ)融資後倒産」は、256件(前年同期316件、19.0%減)判明した。上半期としては2年連続で前年を下回り、減少傾向が続いた。業種別では、『小売業』(56件)が最多で、『建設業』(51件)、『卸売業』(47件)が続いた。最も多かった『小売業』では「飲食店」(24件)、『建設業』では「職別工事」(27件)などの倒産が目立った。

人手不足倒産

人手不足倒産は227件判明 過去最多を更新

「人手不足倒産」は、227件(前年同期202件、12.4%増)判明し、上半期としては5年連続で前年を上回り、過去最多を更新した。業種別では、『建設業』(65件)が最も多く、『サービス業』(59件)、『運輸・通信業』(38件)が続いた。「従業員10人未満」の小規模企業が176件と、全体の約77.5%を占めた。

注目の倒産動向 -2

「自動車整備」の倒産、休廃業・解散動向(2026年上半期)

撤退が過去最多 「人手不足」で苦境鮮明
約8割が「小規模」経営 「車の安全」担保するインフラの維持に課題

自動車整備を担う事業者の市場撤退が加速している。2026年上半期(2026年1月?6月)に発生した「自動車整備」事業者の休廃業・解散(廃業)は259件だった。前年同期(186件)から約4割増加し、過去最多を更新した。倒産(負債1000万円以上、法的整理)に至った36件を含めると、半期で過去最多となる295件が自動車整備の現場から撤退した。そのうち、資本金が判明した自動車整備事業者(279件)をみると、資本金「(100~)1000万円未満」が115件となり、全体の約4割を占め最も多かった。個人事業主を含めた資本金「100万円未満」(107件、38.4%)を合わせ、小規模な自動車整備の撤退が約8割を占めた。
自動車整備は近年、パーツ類やオイル・油脂類、塗料など、整備に必要な資材の多くが価格上昇に直面している。ディーラーのほかカー用品店や車検専門店との価格競争も進み、厳しい経営環境が続いている。また、高齢によるベテランスタッフの退職と、整備士を目指す若者の減少を背景に、整備士や板金塗装工の確保が困難になっており、入庫制限するといった整備能力の低下も発生している。加えて、車の電子化・高度化に対し、家族経営などの零細規模では「新技術に対応した人材・設備がない」ケースが多い。こうした小規模な街の自動車整備では、保険会社や顧客への値上げ交渉・単価アップが満足に行えず、採算割れに陥りやすい構造を抱えている。
足元では、車の高度化に伴い整備作業の難易度が上がっており、設備面などで対応可能な中堅・大手事業者への集約が進むことで、設備投資や人材確保が困難な小規模整備工場の退出は今後も続くとみられる。ただ、一方ではランプ切れなど軽整備でも「人手が足りず手が回らない」という声が聞かれ、カー用品店やディーラーでは長期にわたる整備待ちを余儀なくされるケースも多い。自動車整備の撤退が加速するなか、車の安全性を担保する地域インフラをどう維持するかの議論は待ったなしの状況となっている。

後継者難倒産

後継者難倒産は312件判明 過去最多を更新

「後継者難倒産」は、312件(前年同期267件、16.9%増)判明し、上半期としては3年ぶりに前年を上回った。集計開始から初めて300件を上回り、過去最多を更新した。業種別では、『サービス業』(72件)が最も多く、『建設業』(71件)、『小売業』(55件)が続いた。後継者難倒産のうち、「経営者の病気・死亡」が主因となったのは157件、全体の50.3%を占めた。

物価高倒産

物価高倒産は556件判明 過去最多を大幅更新

「物価高倒産」は、556件(前年同期449件、23.8%増)判明し、上半期としては2年ぶりに前年を上回った。集計開始から初めて500件を上回り、過去最多を大幅に更新した。2026年6月は113件(前年同月85件)となり、単月としても過去最多を更新した。業種別では、『建設業』(151件)が最も多く、『小売業』(118件)、『製造業』(103件)が続いた。

今後の見通し

上半期としては4年連続の増加、2年連続の5000件超

2026年上半期の企業倒産は5335件となり、前年(5003件)を6.6%上回った。上半期として4年連続の増加、2年連続の5000件超えとなった。月別の推移をみると、前年を下回ったのは5月のみで、6月は1028件(前年869件)と、2024年5月以来、約2年ぶりの1000件超えとなった。
負債総額は7247億3600万円(前年6776億8700万円)となり、前年から6.9%増加した。負債トップは「ドローンネット」グループの資金調達を行っていた㈱福島建設資材(東京、2月破産)の332億9300万円。そのほか、今年初の上場企業倒産となった㈱トーシンホールディングス(負債162億円、愛知、5月会社更生法)やジュピターコーヒー㈱(負債59億300万円、東京、1月民事再生法)など、話題となる大型倒産も複数発生した。また、「負債10億円以上50億円未満」が108件と前年(82件)から26件増加していることも負債総額を押し上げた。

物価高倒産は過去最多を大幅に更新

倒産増加の背景には物価高の影響がある。6月の物価高倒産は113件となり、今年4月(108件)を上回り、単月ベースで過去最多を更新。上半期では556件発生し、半期ベースでも過去最多となった。中東情勢を巡っては停戦合意により原油価格が下落するなど、一時期に比べ緊張緩和ムードが広がっているが、石油精製や流通量が正常化するまでは時間を要するため、食料品や石油化学製品をはじめとして今後も値上げが続くものとみられ、物価高倒産は引き続き高水準で発生する可能性が高いだろう。なお、中東情勢の悪化を直接の原因とする倒産は6月末時点で発生していないが、従前から厳しい経営が続くなかで中東情勢が追い打ちをかけ法的整理をしたケースは累計で4件発生している。
こうした物価の高止まりをもたらしているのが歴史的な円安の進行だ。日本銀行は6月の金融政策決定会合で政策金利を0.75%から31年ぶりの水準となる1%への引き上げを決定したものの、円安の流れに歯止めをかけるには至っていない。円安倒産は上半期で40件発生したが、輸入物価の上昇により時間をおいて今後さらに増加する可能性が高い。

年後半も倒産増加のリスク続く

TDB景気動向調査(6月)によると、景気DIは前月から1.0ポイント増となり、2カ月連続で改善した。好調が続く半導体や生成AI関連、中東情勢の収束期待がプラス材料となり、「大企業」を中心に景気をけん引している。これに対し、価格競争力に劣る「中小企業」の景況感は物価上昇が続くなかで低水準にとどまっており、改善に力強さは感じられない。
こうしたなか、今後も政策金利のさらなる引き上げが見込まれている。金利上昇の影響について、帝国データバンクが全国約10万社を対象に行った「日銀の追加利上げが企業に与える影響度調査」(2025年12月)では、政策金利が1.0%へ引き上げられることによって3.3%の企業が経常赤字に転落、1.5%へ引き上げられた場合には6.1%の企業が経常赤字になるという試算を発表した。収益力に乏しく、多額の金融債務を抱える中小企業にとって、より一層、資金繰りが厳しくなるケースが増加していく可能性がある。インフレ経済への移行とさまざまなコストの上昇、人手不足、消費者の節約志向などを背景に企業間競争が激化するなか、業績回復に至らない中小企業を中心として、年後半も倒産の増加傾向が続くものとみられる。

次回発表日は8月10日(月)13時30分を予定しております。

詳細はPDFをご確認ください
2026年上半期報・2026年6月報(倒産動向データ編)