2020/10/15
事業承継に関する企業の意識調査(2020年)(新潟県)
企業の68.4%が事業承継を経営上の問題と認識
〜 新型コロナを機に事業承継への関心が高まった企業は8.4%に 〜
はじめに
中小企業庁が2017年7月に事業承継支援の集中実施期間とする「事業承継5ヶ年計画」を策定してから、3年が経過した。新型コロナウイルスの影響拡大により倒産や休廃業の増加も懸念されるなか、その回避策としての事業承継も今まで以上に注目されている。また、政府は中小企業の経営資源の引継ぎを後押しするため、「経営資源引継ぎ補助金」を実施するなど、円滑な事業承継に向けて積極的な支援が行われている。
そこで、帝国データバンク新潟支店は、事業承継に関する企業の見解について調査を実施した。本調査は、TDB景気動向調査2020年8月調査とともに行った。
■調査期間は2020年8月18日〜31日、調査対象は新潟県493社で、有効回答企業数は285社(回答率57.8%)
調査結果
- 1 事業承継への考え方について、「最優先の経営上の問題と認識している」企業は13.3%となり、「経営上の問題のひとつと認識している」(55.1%)と合わせた68.4%が事業承継を経営上の問題として認識している。一方、「経営上の問題として認識していない」は21.4%、「分からない」は10.2%
- 2 新型コロナウイルスを契機とした事業承継に対する関心の変化を尋ねたところ、「変わらない」とした企業が76.5%で大半を占めた。「高くなった」企業が8.4%で、「低くなった」とする企業は2.5%
- 3 事業承継の計画の有無について、「計画があり、進めている」企業は20.7%、「計画はあるが、まだ進めていない」企業は21.1%となった。企業の41.8%が事業承継計画を有している一方で、そのうち半分以上は進めていない結果となった。事業承継を経営上の問題と認識している企業や、社長年齢が高い企業ほど事業承継を計画している傾向が高い
- 4 事業承継を行う上で苦労したことでは、「後継者の育成」が45.8%で最も高かった。また、苦労しそうなことでも「後継者の育成」(57.7%)、「後継者の決定」(49.3%)が上位となっており、総じて後継者問題に関する懸念が上位に挙がっている
- 5 近い将来(今後5年以内に)、事業承継を行う手段として「M&Aに関わる可能性がある」企業は38.6%となった。規模別では「大企業」が43.9%と全体を上回るものの、「中小企業」は37.7%、「小規模企業」では30.0%にとどまった。大企業と小規模企業では10ポイント以上差が開いている
