2022/2/15
首都圏・本社移転動向調査(2021年)
コロナで企業の「脱首都圏」急増、過去最多の351社 11年ぶり転出超過
〜 移転先、北海道がコロナ前から5倍に急増 「テレワーク」浸透背景に遠隔地への移転増加
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はじめに
新型コロナウイルスの感染拡大で、本社機能や主要拠点が首都圏に集中することの脆弱性が改めて認知された2021年。足元では、在宅勤務が定着するなか、本社など主要拠点を都市部から地方に移転・分散する動きが急速に進んでいる。こうしたなか、首都圏から地方へ本社を移した企業の数は昨年351社となり過去最多、首都圏として11年ぶりの転出超過となった。
帝国データバンクは、2021年に首都圏(東京・神奈川・千葉・埼玉)⇔地方間を跨いだ「本社所在地の移転」が判明した企業(個人事業主、非営利法人等含む)について、保有する企業概要データベースのうち業種や規模が判明している企業を対象に分析を行った。
■本社とは、実質的な本社機能(事務所など)が所在する事業所を指し、商業登記上の本店所在地と異なるケースがある
■首都圏の企業転出・転入は、首都圏内外をまたぐ道府県との本社移転を指しており、首都圏内での県境を跨ぐ本社移転は含まれない
調査結果
- 1 2021年に本社移転を行った企業は、全国で2258社。このうち、首都圏(東京・神奈川・千葉・埼玉)から地方へ、本社または本社機能を移転した企業は351社判明、前年から2割超の大幅増加となった。転出企業が300社を超えるのは2002年以来19年ぶりで、これまで最多だった1994年の328社を大幅に上回り、過去最多を更新した
- 2 地方から首都圏へ本社を移転した企業は328社。この結果、2021年における首都圏の本社移転動向は、転出社数が転入を23社上回る「転出超過」となった。首都圏で転出超過となるのは2010年以来11年ぶり
- 3 首都圏からの移転先では、最も多いのは「大阪府」の46社。「北海道」は33社で、コロナ前の19年(7社)から約5倍に急増した。首都圏から北海道への移転社数としては過去最多となる。首都圏への移転元では、最も多いのは「大阪府」の67社
- 4 首都圏からの転出企業を売上高規模別にみると、最も多かったのは「1億円未満」(176社)で、多くが小規模な企業だった。なかでも、5000万円未満の小規模企業、設立間もないスタートアップの割合はコロナ前を大きく上回る
