ビジネス講座

2008/09/16中小企業のM&A活用法第3回 : M&Aのプロセス(2)〜M&Aを成功させるために〜

1 M&Aを成功させるために

前回はM&Aが具体的にどのようなプロセスを経て進むのか、その過程においてアドバイザーがどのような役割を果たすのかについて記述しました。

しかし、売り手・買い手ともに事業的なシナジーが見出せるようなケースでも、譲渡価格や従業員、現経営陣の処遇、譲渡比率などさまざまな条件交渉で折り合いがつかずブレーク(失敗)するケースも多々見受けられます。

交渉が不調に終わって結果的にブレークしてしまうと、売り手・買い手双方とも、それまで費やしてきた時間や労力、更に調査費用など、経済的な損失を残す結果となるだけでなく、特に売り手にとっての精神的ダメージはより大きく、なかには再度事業を続けるモチベーションを失ってしまう経営者もいるほどです。

【直接交渉の場合】と【M&Aアドバイザーを利用】

以上のように、中小企業がM&Aを進める際には、ブレークによるダメージを回避するよう、事前の検討をしっかり行い、オーナーの気持ちに充分留意する必要があります。この点から、大手企業同士のM&Aが合理的な判断による「資本取引」に重点を置くのに対し、中小企業同士のM&Aは精神面を重視した「気持ちのやり取り」に重点を置いたほうがよいと考えられるでしょう。

中小企業のM&Aにおいては、こういったソフト面のサポートが重要なため、売り手と買い手の双方の気持ちを橋渡しするアドバイザー(仲介会社)を利用することはM&A成功の有効な一助となります。

2 M&Aアドバイザー(仲介会社)の選定方法

前回触れたように、M&Aのアドバイザー業務には買い手・売り手のどちらか一方の立場で助言を行う「アドバイザー業務」と、双方の立場で調整を行う「仲介業務」がある。中小企業のM&Aでは、交渉をスピーディーに進める必要があるため、一般的には調整に重点を置く「仲介業務」のほうが適しているといえます。

M&Aアドバイザーには大別すると以下のような会社(機関)があります。

M&Aアドバイザーにはそれぞれ特徴があり、受託案件の制限を設けるケースもあるため、自社の目的に見合ったM&Aアドバイザーを選択することが重要です。

案件規模から見たM&Aアドバイザーの分類

独立系のM&Aアドバイザーや会計事務所などは、会社(組織)自体の規模が大小さまざまなため、大型案件のみしか扱わないアドバイザーや、中小規模を中心にしているアドバイザーなど多岐にわたります。 中小企業のM&Aについては、自社の事業規模・企業規模から適切なアドバイザーを選択するとよいでしょう。

3 アフターM&Aの重要性

ところで、M&Aアドバイザーを活用してM&Aを上手に成功させた場合でも、買収後に実質的な買収・合併効果を得られず、結果的にM&A自体が失敗してしまうケースもあります。これはどのような原因によるものなのでしょうか。

中小企業の経営は、創業オーナーやその一族(または長年オーナーのもとで経営を支えてきた役員)が担っているケースが多く、社員数も数名から数百名程度で、オーナー色の強い「顔の見える経営」が特徴です。このような会社をM&Aにより傘下に収め、オーナーが経営から離れるとなると、社員の間に少なからず動揺が生まれ、新しい親会社の経営方針にそれまでの方法がなじまない場合、徐々にモラールダウンにつながり、結果的に業績が悪化してしまうことにもなりかねません。

このような事態を避けるためにも、買収が具体的交渉にまで進んだ段階(場合によっては買収検討の初期段階)で、経営の機関設計、人事体制、営業体制、会計システムの状況などについて、多面的に統合の具体的方法を検討し、対象会社の組織上のキーマンを押さえ、新たに経営陣として投入する自社の人材と融和できるように充分考慮する必要があるのです。

このように、M&Aの検討時点で買収(合併)後の統合プロセス(Post Merger Integration=M&A後の経営統合)を検討・準備しておくことは極めて重要です。この意味においては、M&Aを成功させるためには、譲渡契約締結時点を完了とするのではなく、M&A終了後の経営統合期間までをM&Aのプロセスと認識する必要があります。

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