倒産集計

2023年 10月報

倒産件数・負債ともに今年2番目の高水準
年間件数はコロナ禍前の水準に

倒産件数 790件
前年同月比 +33.0%
前年同月 594件
負債総額 3055億8400万円
前年同月比 +279.0%
前年同月 806億2600万円

概況・主要ポイント

  • ■倒産件数は790件(前年同月594件、33.0%増)。18カ月連続で前年同月を上回り、3月(800件)に次いで今年2番目に多かった。2023年1-10月の累計件数は6918件となり、すでに2022年通年(6376件)を上回り、コロナ禍前の水準に近づいている
  • ■負債総額は3055億8400万円(前年同月806億2600万円、279.0%増)となり、2カ月連続で前年同月を上回った。ガイアグループの大型倒産が全体を押し上げ、今年2番目に多かった
  • ■業種別にみると、全7業種で前年同月を上回った。『建設業』(前年同月97件→162件、67.0%増)は10月としては9年ぶりに160件を超えて今年最多を記録し、全体の件数を押し上げた。『運輸・通信業』は、「道路貨物運送」が2022年通年の件数を超えた
  • ■主因別にみると、『不況型倒産』が9カ月連続で前年同月を100件以上上回った
  • ■態様別にみると、「特別清算」が約18年ぶりに6カ月連続で前年同月を上回った
  • ■規模別にみると、負債50億円以上の倒産が13件発生し、大型倒産の増加が目立った
  • ■業歴別にみると、『新興企業』の倒産が241件発生し、20カ月連続で前年同月を上回った
  • ■地域別にみると、9地域中8地域で前年同月を上回った。『関東』(前年同月194件→302件、55.7%増)は、2020年7月(315件)以来3年3カ月ぶりに300件を超えた。すでに29都道府県が2022年通年の件数を超えており、全国的に増加基調が続いている

  • ■業種別

    全7業種で前年同月を上回る 『建設業』が全体の件数を押し上げ

    業種別にみると、全7業種で前年同月を上回った。『サービス業』(前年同月139件→187件、34.5%増)が最も多く、『小売業』(同131件→165件、26.0%増)、『建設業』(同97件→162件、67.0%増)が続いた。『建設業』は10月としては9年ぶりに160件を超えて今年最多を記録し、全体の件数を押し上げた。増加率で最も高かったのは『不動産業』(同17件→30件、76.5%増)だった。
    業種を細かくみると、『小売業』では、「飲食店」(前年同月53件→67件)は13カ月連続で前年同月を上回った。『サービス業』では、労働者派遣業など「広告・調査・情報サービス」(同36件→70件)で倒産が目立った。『運輸・通信業』は、「道路貨物運送」(同21件→31件)が1-10月累計で251件となり、2022年通年(238件)の件数を超えた。

    ■倒産主因別

    『不況型倒産』は635件、初めて9カ月連続で前年同月を100件以上上回る

    主因別にみると、「販売不振」が622件(前年同月448件、38.8%増)で最も多く、全体の78.7%(対前年同月3.3ポイント増)を占めた。内訳を業種別にみると、「小売業」(前年同月111件→139件)が最も多く、「サービス業」(同99件→137件)が続いた。「売掛金回収難」(同4件→7件、75.0%増)などを含めた『不況型倒産』の合計は635件(同455件、39.6%増)となった。9カ月連続で前年同月を100件以上上回ったのは、2000年以降で初めて。
    「設備投資の失敗」(前年同月4件→5件、25.0%増)は4カ月ぶりに前年同月を上回った。一方、「経営者の病気、死亡」(同25件→18件、28.0%減)は3カ月ぶりに前年同月を下回った。「放漫経営」(同17件→13件、23.5%減)では3カ月連続で前年同月を下回った。

    ※倒産主因のうち、販売不振、輸出不振、売掛金回収難、不良債権の累積、業界不振を「不況型倒産」として集計

    ■倒産態様別

    『清算型』は765件、「特別清算」は約18年ぶりに6カ月連続で前年同月を上回る

    倒産態様別にみると、『清算型』倒産は765件(前年同月580件、31.9%増)となり、全体の96.8%(対前年同月0.8ポイント減)を占めた。『再生型』倒産は25件(同14件、78.6%増)発生し、4カ月ぶりに前年同月を上回った。
    『清算型』では、「破産」が735件(前年同月552件、33.2%増)で最も多く、2カ月ぶりに700件を上回った。「特別清算」は30件(同28件、7.1%増)発生し、約18年ぶりに6カ月連続で前年同月を上回った。
    『再生型』では、「民事再生法」が25件(前年同月14件、78.6%増)発生した。このうち、法人は16件だった。15件以上となるのは、2019年12月(15件)以来。

    ■規模別

    負債50億円以上の大型倒産の増加目立つ

    負債規模別にみると、「5000万円未満」が481件(前年同月337件、42.7%増)で最多となった。一方、50億円以上の倒産が13件(同2件、550.0%増)発生し、2011年12月(11件)以来、11年10カ月ぶりに10件を上回るなど大型倒産の増加が目立った。
    資本金規模別では、『個人+1000万円未満』の倒産が551件(前年同月412件、33.7%増)となり、全体の69.7%を占めた。

    ■業歴別

    業歴「30年以上」が最多 『新興企業』は20カ月連続で前年同月を上回る

    業歴別にみると、「30年以上」が248件(前年同月202件、22.8%増)で最も多く、全体の31.4%(対前年同月2.6ポイント減)を占めた。このうち、老舗企業(業歴100年以上)の倒産は11件(同7件、57.1%増)発生し、3カ月連続で前年同月を上回った。
    業歴10年未満の『新興企業』[「3年未満」(前年同月47件→25件、46.8%減)、「5年未満」(同50件→59件、18.0%増)、「10年未満」(同104件→157件、51.0%増)]は241件(前年同月201件、19.9%増)と、20カ月連続で前年同月を上回った。内訳を業種別にみると、「サービス業」(同63件→74件、17.5%増)が最多、「小売業」(同53件→67件、26.4%増)、「建設業」(同37件→39件、5.4%増)が続いた。

    ■地域別

    9地域中8地域で前年同月を上回る 都道府県の半数以上が2022年を超える

    地域別にみると、9地域中8地域で前年同月を上回った。『関東』(前年同月194件→302件、55.7%増)は、2020年7月(315件)以来3年3カ月ぶりに300件を超えた。最も増加率の高かった『中国』(同23件→38件、65.2%増)は、「建設業」(同5件→12件)などで増加が目立った。『近畿』(同138件→186件、34.8%増)は、13カ月連続で前年同月を上回り、「大阪」(同68件→92件)の増加が目立った。『中部』(同87件→103件、18.4%増)は、15カ月連続で前年同月を上回った。一方、『東北』(同45件→39件、13.3%減)は、宮城(同16件→9件)が大幅に減少したこともあり、7カ月ぶりに前年同月を下回った。
    すでに29都道府県が2022年通年の件数を超えており、全国的に増加基調が続いている。

    注目の倒産動向-1

    ■「軽貨物運送」倒産動向

    せまる「宅配クライシス」 軽貨物運送の倒産急増、過去最多
    ドライバー不足に燃油高追い打ち 半数超が「業績悪化」に

    ネット注文の荷物を当日自宅で受け取れる。そんな便利な「宅配サービス」に危機がせまっている。個人宅への配送など物流の最川下・「ラストワンマイル」物流を担う軽貨物運送の倒産は、2023年1-10月までに35件発生した。すでに22年通年の件数(22件)を上回り、過去最多を更新した。軽貨物運送ではフリーランスの委託ドライバーや小規模零細企業が多く、件数に表れない廃業などを含めればより多くの軽貨物運送業者が淘汰されている可能性がある。
    黒ナンバーの軽バンを使用し、個人向け小型荷物などを取り扱う軽貨物運送は、コロナ禍でネット通販の需要が高まった「宅配特需」も追い風に参入が相次ぎ、宅配大手やEC企業から個人宅への配送を請け負うラストワンマイル物流の担い手としてその重要度が増してきた。
    一方、EC荷物の小口・多頻度化や細かな時間指定、特に個人宅向けでは再配達義務など配送ドライバーの残業増に対応した人件費や、高騰する燃料価格などのコスト負担が増加している。しかし、「荷物1個あたり運賃単価の引き上げ交渉は厳しい」ほか、他社への再委託など多重下請構造を背景に、コスト増に見合う十分な運賃収入が得られず、22年度は軽貨物運送の23.9%が「赤字」、減益を含めた「業績悪化」は半数超にのぼった。
    2024年以降は時間外労働の上限制限でマンパワー不足が表面化するとみられるほか、参入事業者の増加による低価格競争の激化、インボイス制度導入によるコスト増など課題が山積している。各種負担に耐え切れずに事業継続を断念する中小の軽貨物運送業者が今後も増加すれば、質の高い宅配網が維持できなくなる「宅配クライシス」が現実となる可能性もある。

    ■ゼロゼロ(コロナ)融資後倒産

    2023年10月は58件発生 喪失総額は推計約630億円

    「ゼロゼロ(コロナ)融資後倒産」は、2023年10月に58件(前年同月38件、52.6%増)発生した。2023年1-10月累計では527件となり、前年同期(320件)の約1.6倍に増加した。また、「不良債権(焦げ付き)」に相当するコロナ融資喪失総額は推計で約630億9700万円にのぼり、国民一人あたり約500円の負担が発生している計算になる。

    ■人手不足倒産

    2023年10月は29件発生 年間件数は初めて200件を上回る

    「人手不足倒産」は、2023年10月に29件(前年同月14件、107.1%増)発生した。前年同月から倍増し、過去最多の2023年4月に次ぐ高水準となった。2023年の累計は206件となり、過去最多の2019年(192件)を上回り、初めて200件を超えた。業種別では、『建設業』(77件)が最多で、職人不足やそれに伴う外注費負担の増加による倒産が目立った。

    注目の倒産動向-2

    ■「給食業界」倒産動向

    「安い給食」物価高で限界 給食企業の倒産、2年連続増加
    食のインフラどう守る 「安くて当然」から脱却必須

    給食事業者の倒産が目立ってきた。9月に給食運営のホーユー(広島)が事業を停止し、全国各地で給食がストップするなど波紋が広がった。学校給食や企業向け給食、学生・社員食堂の運営受託などを含む「給食」事業者の倒産は2023年1-10月までに17件発生し、2年連続で増加し、過去5年で最多ペースとなった。
    昨年以降、月2000品目を超える食品値上げに加え、調理スタッフの人件費や光熱費などあらゆる運営コストが高騰し、給食事業者の経営を直撃した。2022年度の最終利益が判明した給食事業者374社のうち6割超が赤字や減益となったほか、1割超の企業では3年連続で赤字となるなど厳しい経営環境が露呈した。また、回答が得られた20社の給食事業者のうち15%が、光熱費などのコスト上昇分を「全く価格転嫁できていない」と回答した。
    学校給食は最安値で入札した業者と契約する一般入札の採用が多く、低価格競争が常態化している。そのため、人件費や食材費を事前に高く見積もることが難しく、契約上の問題や保護者の抵抗から値上げも難しい。中学校でも給食負担が1食200円前後と「安い給食」を維持するあまり、急激な物価高で市場からの退出を余儀なくされる中小給食事業者が増えている。
    足元では、価格以外の面も考慮して給食業者を選定するプロポーザル方式の入札制度を検討する動きや、補助金投入でコスト高分を補填する自治体も出てきた。一度ストップしてしまえば、子供たちのみならず社会に広く影響が出る食のインフラ維持のために、「安くて当然」の低価格競争から、利益が出せる弾力的な価格の設定といった制度改革が必要となっている。

    ■後継者難倒産

    2023年10月は45件発生 年間での最多件数を更新する見込み

    「後継者難倒産」は、2023年10月に45件(前年同月56件、19.6%減)発生した。5カ月ぶりに前年同月を下回ったものの、このペースで推移すれば、2023年通年の件数は550件前後になり、年間での最多件数を更新するとみられる。業種別では、1-10月累計で『建設業』(110件)が最多、『小売業』(91件)『製造業』(75件)が続いた。

    ■物価高(インフレ)倒産

    2023年10月は86件発生 6カ月ぶりに過去最多

    「物価高(インフレ)倒産」は、2023年10月に86件(前年同月41件、109.8%増)発生した。2023年4月(75件)以来、6カ月ぶりに最多件数を更新した。2023年1-10月累計では639件となり、前年同期(226件)を大幅に上回った。要因別では、「人件費」の増加によるものが1-10月累計では94件と、すでに2022年通年(31件)の3倍を超えている。

    今後の見通し

    ■企業倒産、今年2番目の水準 年間件数は「8500件前後」になる見通し

    2023年10月の企業倒産は790件発生した。前年同月(594件)を200件近く上回り、2023年3月(800件)に次いで今年2番目の高水準となった。2022年5月以降、18カ月連続で前年同月を上回り、倒産は増加基調が続いている。また、2023年1-10月の累計は6918件に達し、すでに2022年の年間件数(6376件)を上回った。このままのペースで推移した場合、年間の倒産件数は2015年(8517件)以来8年ぶりの8500件前後になる見込みである。
    ゼロゼロ(コロナ)融資の元利払いや公租公課の支払いがアフターコロナで「平時」の対応に戻りつつあるなか、継続的な物価高や人手不足、後継者問題がコロナ禍で疲弊した中小企業に追い打ちをかけている。「ゼロゼロ(コロナ)融資後倒産」は10月に58件発生し、今年3番目の水準となったほか、「人手不足倒産」は2023年の年間件数が206件に達し、過去最多を更新した。また、2022年初からの値上げラッシュが収束に向かいつつある一方で、「物価高倒産」は10月に86件発生し、6カ月ぶりに過去最多を更新、集計開始後初めて80件を超えた。

    ■社会保険料や税金の滞納が引き金になる倒産増加へ

    10月の負債総額は3055億8400万円で、倒産件数と同じく今年2番目に多かった。負債5000万円未満の小規模企業の倒産が大多数を占めている状況に変わりないものの、アペックス(負債91億円、石川)やレイ・カズン(同31億円、東京)といった負債10億円を超える倒産も目立った。そのなかでも、パチンコホール大手のガイアなど7社(東京・千葉)が、負債約1800億円を抱えて10月30日に民事再生法を申請したことで総額が大きく押し上げられた。
    同グループの破綻要因は数あるが、最後の引き金のひとつは「社会保険料の支払い負担」だった。コロナ禍で社会保険料の納付を猶予されていたが、資金難から支払いに窮し、破綻直前に当局から差押え処分を受けていた。また、10月20日に破産手続き開始決定を受けた、免税店運営の「永山」(負債52億円、東京)も、8月、9月に社会保険料の支払いができず、一括での支払いを求められていた。過去滞納分の分割納付に加え、毎月新規に発生する分との支払い負担が重くのしかかった。
    ガイアや永山の事例のように、税金や社会保険料など公租公課の滞納状態が続いた末に自社の資産を差し押さえられ、経営に行き詰まった「公租公課滞納倒産」は2023年1-10月に97件判明し、前年同期(58件)の約1.7倍に増加した。アフターコロナで本業を立て直すことができないまま、最大3年の支払い猶予期間を終えた企業において、税金や社会保険料などの滞納が最後の引き金となって倒産に至るケースは、今後さらに増加する可能性がある。

    ■経済の新陳代謝を進め、企業の収益改善の後押しを

    政府は11月2日、「物価高・円安への対応」「構造的な賃上げ」「成長のための投資と改革」を重点分野とする「デフレ完全脱却のための総合経済対策」を閣議決定した。来年夏にかけて、物価上昇を上回る賃上げを実現するための環境を整備するとしているが、現時点で賃上げや価格転嫁を十分に行えていない中小企業にその効果がどこまで及ぶかは未知数だ。
    企業倒産は18カ月連続で前年同月を上回っているものの、リーマン・ショック(2008年)時の年間1万件を超える「倒産急増」の局面までには至らず、件数自体はコロナ禍前の2019年以前の水準にとどまる見通しである。ゼロゼロ融資や助成金などによって倒産が抑制された状態からの反動増が足元の連続増加の要因とみられるが、これら支援策によって過剰債務の状態に陥っている中小企業は少なくない。エネルギー・原材料の高騰や円安進行、人件費上昇など厳しい外部環境が続き、利上げの動きも現実味を帯びるなか、潜在的な『倒産予備軍』は確実に増えている。
    これから年末にかけては、増加する資金需要に対して新たな資金調達が難しい「過剰債務」企業が事業継続をあきらめるケースが増えると想定される。社会に大きな混乱を招くことなく、経済の新陳代謝を進めながら、企業の再生や収益改善を後押しする。日本全体でこの難題に取り組むべき時が、今まさに訪れている。

    詳細はPDFをご確認ください 2023年10月報(倒産動向データ編) 2023年10月報 別紙号外リポート

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