倒産集計

2017年上半期報
2017年(平成29年)1月〜6月

倒産件数は4247件、8年ぶりの前年同期比増加
負債総額は8658億2000万円、5年ぶりの前年同期比増加
(タカタ(株)への求償債権判明額を含めると、2兆1958億2000万円)

倒産件数 4247件 負債総額 8658億2000万円
倒産件数
4247件
負債総額
8658億2000万円
前年同期比 件数 +3.2% 2016年上半期 4114件
負債 +12.8% 2016年上半期 7677億9600万円
前期比 件数 +4.9% 2016年下半期 4050件
負債 ▲29.3% 2016年下半期 1兆2238億8700万

〈参考〉上記負債総額は、タカタ(株)の負債額を6月26日発表の1826億3300万円として集計。取材等で判明した国内主要自動車各社のリコール費用に係る求償債権の合計を含めると、負債総額は2兆1958億2000万円(前年同期比186.0%増、前期比79.4%増)

前年同期比
件数 負債
+3.2% +12.8%
2016年上半期 2016年上半期
4114件 7677億9600万円
前期比
件数 負債
+4.9% ▲29.3%
2016年下半期 2016年下半期
4050件 1兆2238億8700万

〈参考〉上記負債総額は、タカタ(株)の負債額を6月26日発表の1826億3300万円として集計。取材等で判明した国内主要自動車各社のリコール費用に係る求償債権の合計を含めると、負債総額は2兆1958億2000万円(前年同期比186.0%増、前期比79.4%増)

主要ポイント

調査結果

■件数

ポイント8年ぶりの前年同期比増加

2017年上半期の倒産件数は4247件(前年同期4114件、前年同期比3.2%増)と、8年ぶりの前年同期比増加となり、前期比でも5年ぶりの増加となった。四半期ベースで見ると、2017年第1四半期(2062件、同0.5%減)は前年同期から微減となったものの、第2四半期(2185件、同7.1%増)は前年同期比増加となり、倒産動向に変化の兆しが見られる。

要因・背景

業種別では小売業など7業種中5業種で、地域別でも9地域中6地域で前年同期を上回るなど、幅広い業種・地域で倒産件数が前年同期比増加となった

■負債総額

ポイント5年ぶりの前年同期比増加

2017年上半期の負債総額は8658億2000万円(前年同期7677億9600万円)と、前年同期比12.8%の増加となり、5年ぶりに前年同期を上回った。2半期連続で前年同期を上回ったのは2009年上半期以来、8年ぶり。

要因・背景

■業種別

ポイント7業種中5業種で前年同期比増加

業種別に見ると、7業種中5業種で前年同期を上回った。なかでも、小売業(962件、前年同期比10.4%増)は2012年上半期以来5年ぶり、製造業(533件、同2.9%増)は2012年下半期以来4年半ぶりに前年同期を上回った。一方、建設業(768件、同5.8%減)と卸売業(651件、同1.2%減)の2業種のみ、前年同期を下回った。

要因・背景

■主因別

ポイント 「不況型倒産」の構成比は81.7%

主因別の内訳を見ると、「不況型倒産」の合計は3471件(前年同期3440件)となった。構成比は81.7%(同83.6%)と、前年同期を1.9ポイント下回った。

要因・背景

■規模別

ポイント負債5000万円未満の構成比は58.9%、2000年以降最高を記録

負債額別に見ると、負債5000万円未満の小規模倒産は2502件(構成比58.9%)と、前年同期(2327件)の構成比56.6%を2.3ポイント上回り、2000年以降最高を記録。負債50億円以上の倒産は16件(前年同期20件)と、2016年下半期と並び2000年以降で最少となった。

要因・背景

■地域別

ポイント9地域中6地域で前年同期比増加

地域別に見ると、9地域中6地域で前年同期を上回り、北海道(148件)、関東(1618件)、中部(617件)の3地域は2半期連続で前年同期比増加。近畿(1108件)は2012年上半期以来5年ぶりの前年同期比増となった。一方、九州(248件)など3地域は前年同期を下回った。

要因・背景

■態様別

ポイント破産の件数、8年ぶりの前年同期比増加

態様別に見ると、破産は3969件(前年同期3835件、前年同期比3.5%増)と、構成比93.5%を占め、8年ぶりの前年同期比増加。特別清算(152件)は2半期連続で前年同期を上回った。一方、民事再生法(125件)は前年同期を下回った。

要因・背景

■上場企業倒産

  • ■2017年上半期の上場企業倒産は、東証1部上場のタカタ(株)(民事再生法、6月)の1件となった。上場企業の倒産は2015年9月の第一中央汽船(株)(東証1部)以来、1年9カ月ぶり。
  • ■上場企業の倒産は、日銀の“異次元緩和”の継続等による円安・株高の影響で企業業績が改善しており、リーマン・ショック直後の2010年(9件)以降は低水準で推移している。
  • ■注目の倒産動向

    人手不足倒産

    2017年上半期は49件(前年同期比44.1%増)、2年連続の前年同期比増加

    後継者難倒産

    2017年上半期は163件(前年同期比8.9%減)、3年ぶりの前年同期比減少

    返済猶予後倒産

    2017年上半期は250件(前年同期比28.9%増)、2年連続の前年同期比増加

    ■景気動向指数(景気DI)

    景気DIは46.8、回復続く

    2017年6月の景気DIは前月比0.3ポイント増の46.8となり、前月の横ばいを挟みながら改善傾向で推移した。有効求人倍率(5月)が43年3カ月ぶりの高水準となり、日経平均株価も1年半ぶりに2万円を回復した。こうしたなか、夏のボーナスで支給対象者および総額の増加が見込まれることも消費マインドにプラスに働き、耐久消費財関連が好調な「小売」が同1.9ポイント増と大きく改善。加えて、国内や中国向け自動車関連の生産好調および電子部品の輸出拡大を受けた「製造」、IT需要の拡大が追い風となった情報サービスを含む「サービス」が景気を押し上げた。一方で、トラックドライバーの深刻な人手不足が響いた「運輸・倉庫」は悪化した。国内景気は、夏のボーナスが個人消費を刺激したほか、自動車関連生産の好調やIT需要の拡大が寄与し、回復が続いた。

    今後の国内景気は、設備投資需要や東京五輪需要で回復傾向が続く

    国内景気は、世界経済の拡大を受け輸出や生産の好調継続に加え、東京五輪開催に向けた建設関連特需や成長戦略推進が景況感を押し上げていくと見込まれる。また、好調な企業業績や人手不足による省力化需要を受けて大手を中心に設備投資が増加し、良好な雇用環境から個人消費は緩やかに拡大することが予測される。一方で、海外は米連邦準備制度理事会(FRB)のさらなる利上げや資産縮小、日欧EPA(経済連携協定)の行方が注目される。加えて、米欧の政治経済情勢や地政学的リスクの顕在化など、先行きに不透明感は残る。
    今後の国内景気は、海外情勢に不透明感は残るものの、輸出や生産の好調を受けた設備投資の拡大や東京五輪特需もあり、回復傾向が続くことが見込まれる。

    今後の見通し

    ■倒産件数は4247件、8年ぶりに前年同期比増加

    2017年上半期の企業倒産は4247件となり、前年同期(2016年1〜6月:4114件)を3.2%上回り、リーマン・ショックの影響を受けた2009年上半期(2009年1〜6月)以来8年ぶりに増加した。負債総額は8658億2000万円で、前年同期(7677億9600万円)を12.8%上回った。上半期の負債総額が増加したのは、エルピーダメモリをはじめ負債100億円以上の大型倒産が18件発生した2012年上半期(2012年1〜6月)以来5年ぶりとなった。

    ■タカタ民事再生手続き開始で、企業の説明責任に対する重要性増す

    6月28日、東証1部上場企業で世界トップクラスの自動車安全装置製造のタカタ(負債1826億3300万円、東京都)は、東京地裁より民事再生手続き開始決定を受けた。国内主要自動車メーカー各社の求償債権判明額を加算したタカタの負債額は約1兆5000億円に達するとみられ、製造業としては戦後最大の倒産となる見込みだ。2004年以降に発生した同社製エアバッグの不具合・異常破裂に伴う大規模リコール問題が経営を圧迫する一方、原因究明の遅れにより同社への信頼が低下したことも遠因になったといえよう。今後は、少額弁済の対象から外れた取引先や仕入先などへの影響が懸念されるほか、中長期的には、タカタの事業譲渡先である米自動車部品製造のキー・セイフティー・システムズ(KSS)による取引先選別の有無も注目点となってこよう。
    近年の企業不祥事や製品事故等により、初期段階における原因究明のほか、利害関係者(ステークホルダー)に加えて社会に対する説明責任の重要性も再認識されている。情報提供に関する対応を誤ると、企業業績・事業存続の問題にまで発展することが改めて浮き彫りとなった。

    ■休眠預金の活用、地域経済活性化で業績への好影響を期待

    毎年1200億円程度発生している休眠預金の活用方法などに関して、休眠預金等活用審議会で議論が進められている。休眠預金の活用においては、各地域の実情や特性を配慮しながら、主に1.子どもおよび若者の支援、2.日常生活等を営む上で困難を有する者の支援、3.地域活性化等の支援の3分野に係る活動が中心となる。これまでに、企業に対しては、経営支援・伴走支援など非資金的支援の重視、成果志向の資金供給を推進し、過度な公平性・一律性、縦割り、複数年度助成を含む単年度主義からの脱却などが合意されてきた。休眠預金の減少および活用は地方振興策に向けた資金投入の財源として期待されるとともに、金融機関の負債軽減や業界再編、事業性評価、中小企業振興策などを通じて地域経済の活性化が実現することで、企業業績に好材料となることが期待される。

    ■倒産件数の減少傾向に底打ちの兆しも、当面は低水準での推移が続く見込み

    深刻化する人手不足は企業活動を大きく制約する要因となっている。企業の4割超が人手不足を認識しているなか、人材確保・定着を目的とした人件費上昇などが企業業績を圧迫し、上半期に「人手不足倒産」が49件発生する要因ともなった。また、東京都議会選挙など地方選挙による結果が、今後の政治情勢の不確定要素となる可能性もある。海外動向では、FRBの利上げや日欧EPAの行方、中東や北朝鮮など地政学的リスクの顕在化など、先行きに対する不透明感が残る。こうした国内外の政治経済情勢に対するリスクが高まるなか、2月以降の倒産件数は前年同月と比べて5カ月連続で増加しており、倒産件数の減少傾向には底打ちの兆しが表れている。
    しかしながら、国内景気は、企業業績が好調さを維持しているほか、世界経済の拡大を背景に輸出や生産の好調継続、東京五輪に向けた建設関連特需が好材料となっている。また、有効求人倍率が43年3カ月ぶりの高水準を記録するなど、良好な雇用・所得環境を通じて個人消費は緩やかに改善していくと予測される。そのため、倒産件数は低水準での推移が続くと見込まれる。

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