ビジネス講座

2008/11/04中小企業のM&A活用法第6回 : 中小企業のM&A事例(1)
〜事業継承×多角化のケース〜

前回まで5回にわたって、中小企業の視点から経営者を取り巻く環境や経営課題、そしてM&Aを実行する方法や企業価値評価の手法などについて説明してきました。一口にM&Aといっても、その手法や目的、金額の決定方法が実に多岐にわたることをご理解いただけたと思います。

そこで今回からは、これまでの知識を踏まえて、TDBフュージョンが実際に携わったM&Aの具体的事例の紹介を通じて、成功までのプロセスをご紹介します。

事例その(1)〜事業継承×多角化のケース〜

【譲渡側企業(A社)の概要】
所在地 : 中部地区
資本金 : 4000万円
従業員 : 20名
売上高 : 約20億円
事業内容 : 男性用カジュアルシャツ製造

【譲受側企業(B社)の概要】
所在地 : 中部地区
資本金 : 3000万円
売上高 : 約100億円
事業内容 : 合成樹脂材料・製品販売

背景事情

A社は、長年男性用カジュアルシャツの企画・製造を行ってきました。中部地区を地場に堅調に事業を拡大してきましたが、創業社長が高齢となり事業承継の問題が現実的となっていました。社内に適当な人材がいないため、商社から後継候補を招聘したのですが、メーカーと商社との業務内容の差もあって失敗。その後、取引先と事業統合の話し合いを持ったものの頓挫していました。

B社は、合成樹脂材料・製品の商社で、社長の持ち前の営業力をベースに事業を拡大し、グループ売上高は100億円規模にまで成長しました。一方で、利幅の薄い現在の事業領域を拡大したいと考え、アパレル関連会社を買収。同事業の更なる拡大を目的として、アパレル会社の買収を積極的に推進する意向を持っていました。

M&Aのプロセス

M&Aスキーム

M&A実行スキーム

ポイント

この事例では、当初C社によるA社に対する買収打診からスタートしています(このようなケースを「仕掛け型」と呼ぶ場合もある)。A社社長が高齢で、ちょうど後継者問題に悩んでいたこともあって、打診から実質的なトップ面談まで1カ月半という短期間で進んでいます。当初、A社が売却の意思表示をしていなかったことを考慮すると、極めてスムーズに進行したことがうかがえるでしょう。

交渉開始時点から、条件を提示していたため、トップ面談のときには、おおむね条件面でもある程度妥結はしていましたが、最終的にC社の事情で見送りとなりました。これは、買収側の事前検討(体制整備)が充分になされる前に交渉が予想外に早く進んでしまったことが主たる要因と考えられます。

本件については、C社と独占交渉中は他の候補先との交渉はできませんでしたが、C社との交渉が頓挫した後、地理的・条件的な理由もあってすぐにB社との交渉をスタートできたことが大きなポイントとなりました。A社社長としても、C社に譲渡する気持ちになったところで頓挫したため、精神的な切り替えが難しかったのですが、すぐに良い相手先が見つかったことで、前向きに進める意思を固めることができたのです。

また、A社とB社の社長が「絶対に成功させる」という強い意思を持って交渉に当たったことも重要なポイントと言えるでしょう。その結果、本件については、B社への紹介から実質2カ月程度で最終決着まで進むことができたのです。

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