倒産集計

2023年 9月報

倒産件数、17カ月連続で前年同月を上回る
2023年1-9月累計は6128件 2021年通年を超える

倒産件数 679件
前年同月比 +16.5%
前年同月 583件
負債総額 6951億1000万円
前年同月比 +414.8%
前年同月 1350億3100万円

概況・主要ポイント

  • ■倒産件数は679件(前年同月583件、16.5%増)と、17カ月連続で前年同月を上回り、9月としてはコロナ禍前の2019年(687件)以来の水準となった。2023年1-9月の累計件数は6128件となり、倒産抑制期であった2021年通年(6015件)を既に上回った
  • ■負債総額は6951億1000万円(前年同月1350億3100万円、414.8%増)と、パナソニック液晶ディスプレイ鰍フ法的整理もあり、前年同月から400%以上の大幅増となった
  • ■業種別にみると、7業種中6業種で前年同月を上回った。『小売業』(前年同月108件→151件、39.8%増)では、「飲食店」(同34件→61件)が過去最長の12カ月連続増加。『運輸・通信業』(同22件→39件、77.3%増)は、「道路貨物運送」が前年同月を大幅に上回った
  • ■主因別にみると、『不況型倒産』の合計は542件となり、17カ月連続で前年同月を上回った
  • ■態様別にみると、「特別清算」は21件発生し、6年ぶりに5カ月連続で前年同月を上回った
  • ■規模別にみると、負債「50億円未満」が21件と、2年1カ月ぶりに20件を超えた
  • ■業歴別にみると、「30年以上」が最多。『新興企業』は19カ月連続で前年同月を上回った
  • ■地域別にみると、9地域中7地域で前年同月を上回った。最も増加率の高かった『九州』(前年同月41件→62件、51.2%増)は12カ月連続、『中部』(同82件→109件、32.9%増)は14カ月連続で前年同月を上回るなど、長期にわたる連続増加が続いている

  • ■業種別

    7業種中6業種で前年同月を上回る 「飲食店」は過去最長の12カ月連続の増加

    業種別にみると、7業種中6業種で前年同月を上回った。『サービス業』(前年同月157件→178件、13.4%増)が最も多く、『小売業』(同108件→151件、39.8%増)、『建設業』(同125件→125件)が続いた。『サービス業』は2012年3月以来、11年6カ月ぶりに4カ月連続で170件以上を記録した。『運輸・通信業』(同22件→39件、77.3%増)は、2年ぶりに前年同月から70%を超える増加率を記録した。
    業種を細かくみると、『小売業』では、「飲食店」(前年同月34件→61件)が比較可能な2000年以降初めて12カ月連続で前年同月を上回った。『卸売業』(同73件→77件、5.5%増)では、「飲食料品卸売」(同13件→26件)が倍増した。『運輸・通信業』では、ドライバー不足が深刻化する「道路貨物運送」(同16件→31件)で前年同月を大幅に上回った。

    ■倒産主因別

    『不況型倒産』は542件、17カ月連続で前年同月を上回る

    主因別にみると、「販売不振」が528件(前年同月416件、26.9%増)で最も多く、全体の77.8%(対前年同月6.4ポイント増)を占めた。内訳を業種別にみると、「サービス業」(前年同月99件→136件)が最も多く、「小売業」(同84件→128件)、「建設業」(同97件→101件)が続く。「業界不振」(同4件→7件、75.0%増)などを含めた『不況型倒産』の合計は542件(同421件、28.7%増)となり、17カ月連続で前年同月を上回った。
    「経営者の病気、死亡」(前年同月30件→32件、6.7%増)は2カ月連続で前年同月を上回った。一方、「放漫経営」(同25件→16件、36.0%減)は2カ月連続で、「その他の経営計画の失敗」(同30件→24件、20.0%減)は4カ月ぶりに前年同月を下回った。

    ※倒産主因のうち、販売不振、輸出不振、売掛金回収難、不良債権の累積、業界不振を「不況型倒産」として集計

    ■倒産態様別

    『清算型』は661件、「特別清算」は6年ぶりに5カ月連続増

    倒産態様別にみると、『清算型』倒産は661件(前年同月562件、17.6%増)となり、全体の97.3%(対前年同月0.9ポイント増)を占めた。『再生型』倒産は18件(同21件、14.3%減)発生し、3カ月連続で前年同月を下回った。
    『清算型』では、「破産」が640件(前年同月542件、18.1%増)で最も多く、18カ月連続で前年同月を上回った。「特別清算」は21件(同20件、5.0%増)発生し、6年ぶりに5カ月連続で前年同月を上回った。
    『再生型』では、「民事再生法」が18件(前年同月21件、14.3%減)発生した。内訳は個人事業主が11件、法人が7件だった。

    ■規模別

    負債「5000万円未満」は406件 「50億円未満」で20件超え

    負債規模別にみると、「5000万円未満」が406件(前年同月356件、14.0%増)で最も多く、「5億円未満」が130件(同122件、6.6%増)で続いた。中小零細規模の倒産が目立つ一方、「50億円未満」が21件(同12件、75.0%増)と、2年1カ月ぶりに20件を超えた。
    資本金規模別では、『個人+1000万円未満』の倒産が487件(前年同月408件、19.4%増)となり、全体の71.7%を占めた。

    ■業歴別

    業歴「30年以上」が最多 『新興企業』は19カ月連続で前年同月を上回る

    業歴別にみると、「30年以上」が220件(前年同月168件、31.0%増)で最も多く、全体の32.4%(対前年同月3.6ポイント増)を占めた。このうち、老舗企業(業歴100年以上)の倒産は9件(同3件、200.0%増)だった。
    業歴10年未満の『新興企業』[「3年未満」(前年同月36件→24件、33.3%減)、「5年未満」(同39件→49件、25.6%増)、「10年未満」(同99件→124件、25.3%増)]は197件(前年同月174件、13.2%増)と、19カ月連続で前年同月を上回った。内訳を業種別にみると、「サービス業」(同52件→63件、21.2%増)が最も多く、「小売業」(同29件→46件、58.6%増)、「建設業」(同43件→35件、18.6%減)が続いた。

    ■地域別

    9地域中7地域で前年同月を上回る 『九州』『中部』で過去最長の増加期間

    地域別にみると、9地域中7地域で前年同月を上回った。「福岡」(前年同月18件→29件)の件数が急増したこともあり、『九州』(同41件→62件、51.2%増)は増加率が最も高く、2000年以降で初めて12カ月連続で前年同月を上回った。『中部』(同82件→109件、32.9%増)でも、2000年以降で初めて14カ月連続で前年同月を上回るなど、長期にわたって増加傾向が続いている。このほか、『関東』(同228件→236件、3.5%増)は、「栃木」(同5件→18件)が大幅に増加したことで、全体では8カ月連続で前年同月を上回った。『近畿』(同126件→170件、34.9%増)では、「小売業」(同21件→42件)が前年同月から倍増、特に「飲食店」(同9件→20件)の倒産が目立った。

    ■景気動向指数(景気DI)

    2023年9月の景気DIは44.4、小幅な悪化傾向

    2023年9月の景気DIは前月比0.5ポイント減の44.4となり、2カ月連続で悪化した。規模・10業界・10地域のすべてが悪化したのは2020年4月(同6.7ポイント減)以来3年5カ月ぶり。国内景気は、エネルギーなどコスト負担増加や節約志向の高まりのほか海外経済の停滞も加わり、小幅ながら広範囲の地域や業種で下落傾向が続いた。
    原材料価格やガソリンなどエネルギーコストの高止まりに加えて、食品など生活必需品の値上げによる節約志向の高まりなどが下押し要因となった。また、中国ほか海外経済の減速、季節外れの猛暑も悪材料。他方、好材料としては、雨の少なさやインバウンドを追い風に観光DIが4カ月ぶりに改善、半導体不足の緩和による好調な自動車生産、株高による資産効果、10月開始のインボイス制度へのシステム需要などがあげられる。

    今後の見通しは横ばいで推移

    今後は、プラス材料として設備投資やインバウンドの拡大などがけん引役となろう。DXや脱炭素化の推進、政府による経済対策の実施、価格転嫁による企業の財務改善もプラス材料となりうる。他方、生活必需品の価格上昇や人手不足の長期化、2024年問題なども景気の下押し要因となろう。中国経済の成長鈍化や欧米における金利の先行き、為替動向なども注視する必要がある。今後の国内景気は、賃上げの継続がカギとなり、価格転嫁による企業の財務改善と家計の節約志向が交錯するなかで、横ばい傾向で推移するとみられる。

    今後の見通し

    ■2023年度上半期の企業倒産、4年ぶり4000件超 「増加局面」鮮明に

    2023年度上半期(4-9月)の企業倒産は4208件となった。前年同期(3123件)に比べて1000件以上多く、年度上半期としては2019年度以来4年ぶりに4000件を超えたほか、2年連続で前年を上回った。コロナ対策で導入された実質無利子・無担保融資、いわゆる「ゼロゼロ融資」の返済が本格化したなか、エネルギーなどの「物価高(インフレ)」、「人手不足」「事業承継」問題が中小企業の経営に影を落としている。また、足元ではコロナ禍で猶予されてきた社会保険料などの「公租公課」の徴収も強化され、社屋や土地など資産を差し押さえられたことで経営に行き詰まる公租公課滞納倒産も目立ってきた。こうした四重・五重の苦境が襲い、経営体力に乏しい中小企業を中心に倒産件数を押し上げる要因となっている。
    負債総額は1兆5868億3600万円となり、年度上半期としては2年連続で1兆円を突破した。前年同期に発生した自動車部品大手「マレリHD」のような超大型倒産の発生はなかったものの、「ユニゾHD」(4月、負債1262億円)や「パナソニック液晶ディスプレイ」(9月、負債5836億円)など、負債が100億円を超える大型倒産が10件発生した。この件数は13年度上半期(15件)以来10年ぶりの水準となる。
    なお、2023年1-9月の企業倒産は合計で6128件となり、10月に2022年通年の倒産件数(6376件)を超え、2年連続の前年比増加が確実となった。このペースで推移した場合、23年の倒産件数はコロナ禍前と同等の8400件前後に達するとみられる。

    ■発覚が相次ぐ「粉飾決算」 コンプライアンス違反倒産も最多ペースで推移

    粉飾決算で財務内容を欺いていた中小企業の倒産が相次いでいる。架空の売り上げ計上などが発覚した「粉飾倒産」の件数は、2023年度は8月までで38件判明し、年度上半期としては4年ぶりに前年を上回った。多額の簿外債務が発覚した「堀正工業」(東京、7月破産)、医療機器製造・販売の「白井松器械」(大阪、9月民事再生)など、10年以上にわたって行ってきた不適切な会計処理が経営破綻直前に判明し、自主再建に対する金融機関などの支援が得られず法的整理を余儀なくされたケースが目立つ。粉飾倒産のほか、業法違反や脱税などを含めた不正が発覚したことで経営破綻に追い込まれた「コンプライアンス違反倒産」は、23年度は8月までに146件判明し、年度上半期としては既に過去最多を更新している。
    手厚い資金繰り支援が各企業に行き渡り、倒産を回避できた企業が増加したコロナ禍では、コンプライアンス違反による企業の倒産が表面化しづらい状況が続いた。しかし、こうした支援策が順次縮小・終了し、資金繰りに苦慮する企業が増えるにつれて、過去の粉飾決算といった事例が明るみに出るケースが多い。コロナ対策のゼロゼロ融資も返済が本格化するなか、粉飾決算を隠し切れなくなった企業の倒産増加が顕在化する可能性がある。

    ■「スタートアップ」「インボイス」「中小企業版・事業再生ガイドライン」に注目

    政府は9月26日、物価高対策や賃上げなどを柱とした経済対策を10月末までにまとめると表明した。10月には4600品目以上の飲食料品が値上がりするほか、電気・ガス代など各種サービス価格も上がるなど、企業や家計の負担は今秋から一段と重くなる。2023年度上半期の「物価高倒産」は383件判明し、全倒産件数の約1割を占めるほか、前年同期(158件)の2.4倍に急増した。国内景気は緩やかに回復しているものの、長期化する物価高の影響が及ぼす企業経営への影響は無視できなくなっており、効果的な物価高対策が急がれる。ただ、今後しばらくは物価高の影響が続くとみられ、価格転嫁の状況とともに継続的なウォッチが必要となる。
    消費税の税率や税額を請求書に記載する「インボイス(適格請求書)」制度が10月1日にスタートした。足元では大きな混乱は聞かれないものの、課税事業者による免税事業者との取引打ち切りや、消費税額分の値下げを求めたりするケースが今後表面化する可能性がある。個人事業者を中心に、立場の弱い免税事業者ゆえの負担増に耐えかねた廃業や倒産の動向に注視が必要だ。近時になって目立ってきた「スタートアップ企業」の倒産や、「中小企業版・事業再生ガイドライン」の活用状況なども、今後の倒産動向をみるうえで欠かせない視点となる。

    詳細はPDFをご確認ください 全国企業倒産集計2023年度上半期報・9月報(倒産動向データ編)

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