倒産集計

2023年 7月報

倒産件数、前年同月から4割の大幅増
連続増加期間、リーマン前後に並ぶ

倒産件数 701件
前年同月比 +40.5%
前年同月 499件
負債総額 1804億7000万円
前年同月比 +99.7%
前年同月 903億9300万円

概況・主要ポイント

  • ■倒産件数は701件(前年同月499件、40.5%増)と、15カ月連続で前年同月を上回り、連続した増加期間はリーマン・ショック前後の2008年6月-09年8月に並んだ。3カ月ぶりに前月(81件・10.4%減)を下回ったものの、3年ぶりに2カ月連続の700件超えを記録した
  • ■負債総額は1804億7000万円(前年同月903億9300万円、99.7%増)と、前年同月を大幅に上回った。6カ月連続で1000億円を超えたのは2018年11月以来、4年8カ月ぶり
  • ■業種別にみると、全業種で前年同月を上回った。『サービス業』(前年同月123件→173件、40.7%増)が17カ月連続で前年同月を上回り、増加期間は2000年以降で最長となった。『運輸・通信業』(同31件→48件、54.8%増)は、7月としては2000年以降で過去最多を記録
  • ■主因別にみると、「販売不振」が全体の81.3%を占め、1年ぶりに80%を超えた
  • ■態様別にみると、『清算型』倒産が684件で、16カ月連続で前年同月を上回った
  • ■規模別にみると、負債「5000万円未満」の倒産が411件で、全体の58.6%を占めた
  • ■業歴別にみると、『新興企業』の倒産が222件発生し、17カ月連続で前年同月を上回った
  • ■地域別にみると、3カ月ぶりに全地域で前年同月を上回った。『北海道』(前年同月8件→21件、162.5%増)や『九州』(同34件→66件、94.1%増)などで大幅増となり、倒産の大幅増加トレンドが大都市圏から地方へと広がってきた

  • ■業種別

    全業種で前年同月を上回る 『サービス業』は2000年以降で最長の増加期間

    業種別にみると、全業種で前年同月を上回った。『サービス業』(前年同月123件→173件、40.7%増)が最も多く、『小売業』(同95件→152件、60.0%増)、『建設業』(同95件→139件、46.3%増)が続いた。『サービス業』は、17カ月連続で前年同月を上回り、増加期間は2000年以降で最長となった。『製造業』(同52件→63件、21.2%増)、『卸売業』(同62件→75件、21.0%増)は、5カ月連続で前年同月から10件以上の増加。『運輸・通信業』(同31件→48件、54.8%増)は、7月としては2000年以降で過去最多を記録した。
    業種を細かくみると、『小売業』では、「飲食店」(同43件→63件)が大幅増、10カ月連続で前年同月を上回った。人手不足が続く『建設業』では、「職別工事」(同35件→70件)で倍増、全体でみても7月としては2017年(141件)以来の件数となった。

    ■倒産主因別

    「販売不振」は570件 構成比は81.3%、1年ぶりに80%超える

    主因別にみると、「販売不振」が570件(前年同月400件、42.5%増)で最多。全体の81.3%(対前年同月1.1ポイント増)を占め、1年ぶりに80%を超えた。内訳を業種別にみると、「小売業」(前年同月85件→133件)が最も多く、「サービス業」(同95件→128件)が続いた。「売掛金回収難」(同0件→2件)などを含めた『不況型倒産』の合計は575件(同402件、43.0%増)となり、全体の82.0%(同1.4ポイント増)を占めた。
    「放漫経営」(前年同月9件→10件、11.1%増)は4カ月連続で、「その他の経営計画の失敗」(同22件→29件、31.8%増)は2カ月連続で前年同月を上回った。一方、「経営者の病気、死亡」(同18件→14件、22.2%減)は2カ月ぶりに前年同月を下回った。

    ※倒産主因のうち、販売不振、輸出不振、売掛金回収難、不良債権の累積、業界不振を「不況型倒産」として集計

    ■倒産態様別

    『清算型』倒産は684件、16カ月連続で前年同月を上回る

    倒産態様別にみると、『清算型』倒産は684件(前年同月481件、42.2%増)となり、2003年2月以来20年5カ月ぶりに16カ月連続で前年同月を上回った。『再生型』倒産は17件(同18件、5.6%減)発生し、7カ月ぶりに前年同月を下回った。
    『清算型』では、「破産」が665件(前年同月463件、43.6%増)で最も多く、11カ月連続で前年同月から10%を超える大幅増となった。「特別清算」は19件(同18件、5.6%増)発生し、5年10カ月ぶりに3カ月連続で前年同月を上回った。
    『再生型』では、「民事再生法」が17件(前年同月18件、5.6%減)発生した。個人事業主が13件、法人で4件発生した。

    ■規模別

    負債「5000万円未満」の倒産は411件 構成比は58.6%

    負債規模別にみると、「5000万円未満」が411件(前年同月265件、55.1%増)で最も多く、全体の58.6%を占めた。次いで、「5億円未満」が150件(同120件、25.0%増)、「1億円未満」が105件(同83件、26.5%増)と続いた。
    資本金規模別では、『個人+1000万円未満』の倒産が490件(前年同月325件、50.8%増)となり、全体の69.9%を占めた。

    ■業歴別

    業歴「30年以上」が最多 『新興企業』は17カ月連続で前年同月を上回る

    業歴別にみると、「30年以上」が221件(前年同月149件、48.3%増)で最も多く、全体の31.5%(対前年同月1.6ポイント増)を占めた。このうち、老舗企業(業歴100年以上)の倒産は5件(同7件、28.6%減)だった。
    業歴10年未満の『新興企業』[「3年未満」(前年同月21件→28件、33.3%増)、「5年未満」(同40件→55件、37.5%増)、「10年未満」(同77件→139件、80.5%増)]は222件(前年同月138件、60.9%増)と、17カ月連続で前年同月を上回った。内訳を業種別にみると、「サービス業」(同51件→65件、27.5%増)が最多、「小売業」(同26件→54件、107.7%増)、「建設業」(同20件→50件、150.0%増)が続いた。

    ■地域別

    全地域で前年同月を上回る 大幅増加トレンド、地方へと広がる

    地域別にみると、3カ月ぶりに全地域で前年同月を上回った。『関東』(前年同月190件→252件、32.6%増)は、「東京」(同97件→132件)が6カ月連続で前年同月から20%を超える大幅増となった。最も増加率の大きかった『北海道』(同8件→21件、162.5%増)は、「サービス業」(同2件→8件)などで増加が目立った。『中部』(同63件→91件、44.4%増)は、「静岡」(同6件→24件)が前年同月から4倍の大幅増を記録。『九州』(同34件→66件、94.1%増)は、15年6カ月ぶりに10カ月連続で前年同月を上回った。『東北』(同23件→41件、78.3%増)は、倒産の発生がなかった「不動産業」を除く全業種で前年同月を上回った。倒産の大幅増加トレンドが大都市圏から地方へと広がってきた。

    注目の倒産動向-1

    ■「クリーニング店」倒産動向

    原油高で経営危機 クリーニング店の倒産、過去最多ペースに
    在宅勤務に物価高、節約志向の「三重苦」 コインランドリーの台頭も脅威

    街のクリーニング店がかつてない危機に追い込まれている。2023年に発生した「クリーニング店」の倒産は、7月までに21件発生した。既に22年通年(15件)を上回ったほか、7月までに20件を超えたのは過去20年で初めてとなる。このペースで推移すれば、過去20年で最も多かった19年通年の28件を上回り、過去最多を更新する可能性が高い。
    クリーニング店はコロナ禍で甚大な影響を受けた業界の一つだ。外出自粛や在宅勤務の拡大で、スーツやワイシャツ類の受注が激減したほか、冠婚葬祭の中止でフォーマル衣装も大きく落ち込んだ。そのため、クリーニング店の業績はコロナ直後の21年3月期で8割超が減収、赤字も最大で半数に上った。22年以降は外出制限が緩和されたものの、在宅勤務の定着もあって需要が伸び悩んだ。こうしたなか、石油やガス代の急激な値上げに直面し、ハンガーや溶剤、袋など石油製品も相次ぎ高騰。さらに年3万品目に達する食品の値上げなどで家計の節約志向が強まり、安価なコインランドリーなどに需要が分散し、収益力がさらに悪化した。その結果、「在宅勤務」「物価高」「節約志向」の三重苦を前に経営体力が限界に達し、事業継続をあきらめるケースが23年以降に急増している。
    足元では、夏休み期間中の学生服需要も「節約志向で例年より量が少ない」など、需要が戻り切っていない。資材価格の上昇も、客離れを懸念して値上げが「一部しかできない」といった声もあるなど我慢比べの状態が続いており、経営体力に乏しい中小クリーニング店で「あきらめ倒産」がさらに増加する可能性がある。

    ■ゼロゼロ(コロナ)融資後倒産

    2023年7月は49件発生 喪失総額は推計約534億円

    「ゼロゼロ(コロナ)融資後倒産」は、2023年7月に49件(前年同月38件、28.9%増)発生し、前年同月を大幅に上回った。また、実際の融資額が判明した約300社のコロナ融資借入額平均は約5800万円だった。「焦げ付き」に相当するコロナ融資喪失総額は推計で約534億7900万円にのぼり、国民一人あたり約430円の負担が発生している計算になる。

    ■人手不足倒産

    2023年7月は14件発生 建設業が大半を占める

    「人手不足倒産」は、2023年7月において14件(前年同月15件、6.7%減)発生した。前年同月からほぼ横ばいで推移したものの、2023年1-7月累計では124件と、コロナ禍前の2019年1-7月(108件)を上回る過去最多ペースで推移している。7月の業種別では、『建設業』(7件)が倒産の大半を占めるなど、突出している。

    注目の倒産動向-2

    ■「喫茶店(カフェ)」倒産動向

    コーヒー豆高騰も「値上げできず」 街のカフェで倒産が急増
    コロナ禍上回るハイペースで過去最多に

    街のカフェで倒産が急増している。2023年に発生した「カフェ(喫茶店)」倒産は、7月までに44件発生した。22年通年の34件を既に上回っており、外出自粛や在宅勤務の急拡大で需要が急減したコロナ禍(20-21年)の水準も超えた。このペースが続けば、過去最多だった2020年(68件)を超える可能性がある。
    足元では、カフェの需要は徐々に回復している。近時は外出制限の緩和や対面への回帰からサラリーマンの休憩・商談利用なども増えてきたほか、デリバリーサービスやテイクアウトの利用も定着した。家計調査などを基に1世帯(2人以上)のコーヒー「購入杯数」を推計すると、23年は平均で1カ月当たり1.6杯だった。コロナ前の19年に並び、利用回数が戻っている。
    こうした環境にも関わらずカフェの倒産が相次ぐ背景には、原材料、特にコーヒー豆の価格高騰が影響している。国内に多く流通しているアラビカ種の価格は、2022年平均で1キロ700円を超え、300円台で推移したコロナ前に比べると約2倍に高騰した。食材価格や電気・ガス代、アルバイトなどの人件費も上昇している一方、提供するコーヒー1杯への価格転嫁は遅れており、利益が出しにくくなっている。もともと客単価が低く、回転率も良くないうえ、大型チェーンや周辺のカフェとの競合から大幅な値上げが難しい。そのため、物価高に耐え切る経営体力に乏しかった、中小零細が多い街のカフェで倒産が増加する要因となっている。
    大手チェーンでは、メニューの高付加価値化や居心地の良い空間への改装など攻勢を強めており、厳しさが増す経営環境のなかで中小カフェの淘汰がさらに進む可能性がある。

    ■後継者難倒産

    2023年7月は40件発生 1-7月累計で初の300件超え

    「後継者難倒産」は、2023年7月に40件(前年同月24件、66.7%増)発生し、前年同月を大幅に上回った。2023年1-7月累計(312件)では集計開始後初の300件超えとなるなど、通年で過去最多を更新するペースが続く。業種別では、『小売業』が12件と最多となり、『建設業』(10件)が続いた。また、負債5000万円未満の小規模零細企業が5割を超えた。

    ■物価高(インフレ)倒産

    2023年7月は67件発生 「値上げ難型」倒産は22年から倍増ペース

    「物価高(インフレ)倒産」は、2023年7月において67件(前年同月31件、116.1%増)発生した。年間累計では442件に達し、既に前年(320件)を大きく上回っている。また、コストアップ分を価格転嫁できないことが直接・間接的な要因となって倒産した「値上げ難型」物価高倒産も23年は23件発生し、前年同期の12件から倍増した。

    今後の見通し

    ■企業倒産は701件、15カ月連続増 リーマン後「最長」更新へ

    2023年7月の企業倒産は701件発生した。22年5月以降、15カ月連続で前年同月を上回り、増加期間はリーマン・ショック前後の08年6月-09年8月に並び、リーマン後で最長となった。民間ゼロゼロ融資を借りたほぼすべての企業で返済開始時期を迎えているほか、エネルギー価格などの物価高、人手不足問題やそれに伴う人件費負担の増加が重荷となり、先行き見通し難から事業の継続をあきらめるケースは多い。また、コロナ禍に創業したデリバリーなどの業種や、資金調達環境が急速に悪化しているスタートアップといった新興企業の倒産も目立ってきた。企業倒産はこれまでの「抑制された」低水準から、明瞭な「増加基調」へ転じた。
    負債総額は1804億7000万円となり、前年同月(903億9300万円)から倍増した。ただ、これは当月に発生した「堀正工業」(負債282億6640万円)や「東名小山カントリー倶楽部」(同175億3100万円)など負債100億円を超える複数の大型倒産が影響したためで、全体では中小零細企業が多数を占める傾向に変化はなかった。

    ■「値上げ難型」の物価高倒産が急増、根深い価格転嫁問題

    物価高が企業経営へ及ぼす影響が深刻化している。2023年に発生した、原油や燃料、原材料などの「仕入れ価格上昇」により収益が維持できず倒産した物価高倒産は、7月までの累計で442件発生し、22年通年の320件を既に大きく上回った。この発生ペースが続けば、23年通年は前年のほぼ2倍となる750件前後まで増加する可能性がある。
    2023年の物価高倒産では、価格転嫁を取引先から拒絶されたり、僅かな価格しか値上げすることができず倒産した「値上げ難型」の物価高倒産が目立つ。23年の「値上げ難型」物価高倒産は23件発生し、前年同期の12件からほぼ倍増した。
    足元の価格転嫁は十分に進んでいるといえず、企業間でばらつきがあるほか、最終的なしわ寄せが立場の弱い中小企業に集まる構図は今なお強い。各種の資源高による燃料代や電気代などのコストアップに加え、最低賃金の引き上げによる労務費の上昇も迫るなか、コスト増を価格転嫁する後ろ盾となる政府の後押しが欠かせない。

    ■不正の発覚相次ぐ「ビッグモーター」、改めて問われるコンプライアンス経営

    中古車販売大手「ビッグモーター(BM)」の保険金不正請求問題を受け、企業の組織風土やコーポレートガバナンス、コンプライアンス(コンプラ)の在り方が見直されている。これまで、ステークホルダーを多数抱える上場企業などでは様々なコンプラ対策が導入・浸透してきたものの、非上場の大企業や中小企業では投資家など第三者の十分なチェック体制が行き届きにくく、法令や倫理観から逸脱した経営が行われても表面化することが少なかった。
    ただ、コンプラ違反の発覚は企業価値を毀損し、企業の存続問題にも発展しやすいほか、取引先など周辺産業に与える影響も大きい。BM社の場合、同社を頂点としたサプライチェーンは全国に410社あり、パーツ供給や店舗建設などに関わる周辺企業への影響が懸念される。企業の9割超を占める非上場の中小企業における、「コンプラ経営」の在り方が改めて問われそうだ。

    ■「倒産予備軍」企業、足元で増加の可能性も 23年倒産「8000件超え」へ

    全国信用保証協会連合会が毎月公表している「代位弁済件数」が増勢基調を強めている。直近2023年6月の代位弁済件数は3795件発生し、前年同月(2080件)を大きく上回ったほか、2023年1-6月の合計も、前年同期から67.1%増の1万9182件と大幅に増えた。代位弁済件数の増加は「資金繰り難」などに直面した『倒産予備軍』企業の増加を示唆しており、企業倒産がさらに増加するシナリオも可能性としてありうる。
    今後は、企業の収益力が回復せずゼロゼロ融資が返済できない企業の倒産や、景況感の好転で仕入増などに伴う運転資金需要に資金調達が追い付かない「息切れ」倒産の急増が懸念される。足元では、2023年1-7月の企業倒産が4707件と、前年同期(3544件)の1.3倍ペースで推移しており、23年通年の企業倒産は22年(6376件)を大きく上回って8000件を超えるとみられる。

    詳細はPDFをご確認ください 2023年度7月報 別紙号外リポート

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