倒産集計

2019年 8月報

倒産件数は669件、3カ月ぶりの前年同月比減少
負債総額は837億2100万円、3カ月連続の前年同月比減少

倒産件数 669件
前年同月比 ▲1.2%
前年同月 677件
負債総額 837億2100万円
前年同月比 ▲25.9%
前年同月 1129億2900万円

主要ポイント

調査結果

■件数・負債総額

倒産件数は669件、3カ月ぶりの前年同月比減少

倒産件数は669件(前年同月比1.2%減)と、3カ月ぶりに前年同月を下回った。
負債総額は837億2100万円と、負債100億円規模の倒産が発生せず、8月としては比較可能な2000年以降で最小となった。

■業種別

小売業、運輸・通信業など4業種で前年同月比増加

業種別に見ると、7業種中4業種で前年同月を上回った。
小売業(161件、前年同月比8.1%増)は、飲食料品小売(32件、同23.1%増)などで増加が目立ち、3カ月連続の前年同月比増加。運輸・通信業(31件、同93.8%増)は、ドライバー不足などを背景に道路貨物運送(15件、同87.5%増)の増加が、業種全体を押し上げた。
一方、3業種は前年同月を下回った。建設業(100件、前年同月比20.0%減)は、職別工事(39件、同32.8%減)と設備工事(14件、同44.0%減)の減少が大きく影響した。

■主因別

「不況型倒産」は530件、構成比79.2%

主因別に見ると、「不況型倒産」の合計は530件(前年同月比0.6%減)と、2カ月ぶりに前年同月を下回った。構成比は79.2%(同0.5ポイント増)を占めた。

※倒産主因のうち、販売不振、輸出不振、売掛金回収難、不良債権の累積、業界不振を「不況型倒産」として集計

■規模別

負債5000万円未満の構成比63.8%

負債規模別に見ると、負債5000万円未満の倒産は427件(前年同月比7.8%増)、構成比は63.8%を占めた。負債5000万円未満の倒産では、小売業(116件)が構成比27.2%(同2.7ポイント増)を占め最多、サービス業(93件)が同21.8%(同5.7ポイント減)で続く。資本金規模別では、資本金1000万円未満(個人事業主含む)の倒産が466件(前年同月比6.4%増)、構成比は69.7%を占めた。

■地域別

関東、北陸など5地域で前年同月比増加

地域別に見ると、9地域中5地域で前年同月を上回った。
関東(248件、前年同月比8.3%増)は、千葉県や東京都の小売業が増加傾向で推移していることなどを受け、3カ月連続の前年同月比増加。北陸(22件、同29.4%増)は、低水準が続いていた前年の反動もあり、5カ月連続で前年同月を上回った。
一方、中部(91件)が前年同月比11.7%減、中国(20件)が同48.7%減となるなど、4地域で2ケタ減となった。

■態様別

「破産」は620件、構成比92.7%

態様別に見ると、破産は620件(構成比92.7%)、特別清算は20件(同3.0%)となった。民事再生法(29件)は、個人事業主(22件)で大幅増となった。

■特殊要因倒産

人手不足倒産

18件(前年同月比20.0%増)発生。2カ月連続の前年同月比増加

後継者難倒産

32件(前年同月比27.3%減)発生。2カ月ぶりの前年同月比減少

返済猶予後倒産

31件(前年同月比27.9%減)発生。2カ月ぶりの前年同月比減少

※特殊要因倒産では、主因・従因を問わず、特徴的な要因による倒産を集計

■景気動向指数(景気DI)

景気DIは44.7、小幅ながら9カ月ぶりに改善

2019年8月の景気DIは前月比0.1ポイント増の44.7となり、9カ月ぶりに改善した。
8月の国内景気は、防災関連を中心とした堅調な公共工事の執行がプラス材料となった。加えて8 月に入って気温が上昇したことで、7月に停滞していた季節商品の需要が活発化したほか、消費税率引き上げを前にした駆け込み需要が、システム投資や住宅建築など一部でみられた。他方、中国などアジア向け輸出の減少傾向や、先行き不透明感にともなう設備投資意欲の低下は製造業の景気を下押しした。さらに、お盆時期の台風上陸や月下旬の大雨、日韓関係の悪化による訪日客数の減少、金融市場の変動なども悪材料となった。
国内景気は、輸出減速や設備投資意欲の低下が続き後退局面入りの可能性が高まっているなか、公共工事の増加などが押し上げ要因となった。

消費税率引き上げ後の消費減退や、海外リスクにともなう輸出減速を懸念

今後は、緩やかな駆け込み需要が一部で発生するものの、消費税率引き上げ後は消費が一時的に大きく落ち込むと予想される。加えて、最低賃金引き上げや人手不足の長期化によって人件費を含めたコスト負担が増大するであろう。また、世界的な景気低迷や為替レートの変動を背景に輸出の減速が続くと見込まれ、米中貿易摩擦や各国中央銀行による世界的な利下げの動向、日韓関係が及ぼす影響などを注視する必要がある。他方、省力化需要や都市再開発の活発化などはプラス材料になるとみられる。
今後の国内景気は、消費税率引き上げ後の消費減退やコスト負担増に海外リスクも加わり、不透明感が一層強まっている。

今後の見通し

■8月は建設業、サービス業の減少が件数全体を押し下げ

2019年8月の倒産件数(669件、前年同月比1.2%減)は、前年同月をわずかに下回り、3カ月ぶりの前年同月比減少となった。業種別では、3カ月連続プラスとなった小売業(161件、同8.1%増)や今年最多となった運輸・通信業(31件、同93.8%増)など、7業種中4業種が前年同月を上回ったものの、建設業(100件、同20.0%減)、サービス業(137件、同16.5%減)の2業種のマイナスが件数全体を押し下げた。
負債総額は837億2100万円と、8月としては比較可能な2000年以降で最小だった2017年の負債総額(887億5400万円)をさらに下回った。100億円規模の倒産は3カ月連続で発生せず、大型倒産の発生は低水準が続いている。

■事業承継問題が深刻化、「後継者難倒産」が年間最多ペースで発生

政府は2021年までの5年間を中小企業の事業承継集中期間と定めているものの、後継者不在により事業継続の見通しが立たなくなったなどの「後継者難倒産」は、2019年1〜8月累計で290件(前年同期比12.4%増)発生した。調査開始(2013年1月)以降の年間最多件数だった2013年の1〜8月期(285件)を上回っており、負債総額は302億4600万円にのぼる。代表の体調不良をきっかけに業績不振に陥り、高齢から事業継続を断念せざるを得なくなった企業や、後継者不在のため当初廃業を予定していたものの、資産売却によっても金融債務を整理できず倒産に追い込まれた企業などが目立つ。
経済産業省は8月30日、2020年度の経済産業政策の重点や税制改正の要望ポイントを公表し、親族以外の第三者による事業承継の促進や、事業承継時の経営者保証を不要とする新たな信用保証メニュー創設などを掲げた。経営者の高齢化や後継者不在が進むなか、円滑な事業承継の重要性が一段と高まっている。

■小売業の倒産、さらなる増加を懸念

内閣府が発表した直近8月の消費動向調査によると、消費者態度指数(2人以上の世帯、季節調整値)は、前月から0.7ポイント低下し37.1と、11カ月連続の悪化で、消費税率が8%へ引き上げられた2014年4月以来5年4カ月ぶりの低水準となった。消費マインドが弱まるなか、TDB景気動向調査においても、「小売」の景況感は判断の分かれ目となる50を8月調査で大きく下回り、10業界中で最低(40.2)を記録。なかでも「繊維・繊維製品・服飾品小売」は36.5とさらに低位にとどまっている。
小売業の倒産は2019年1〜8月累計で1274件(前年同期比4.0%増)と、企業倒産全体のおよそ4件に1件を占める。8月も、靴専門店「Take5」など約100店舗を展開していた(株)タケヤ(負債約36億9100万円、民事再生、東京都)や、自社アパレルブランド「THE FLAT HEAD」を展開していた(株)グローバルユニット(グループ2社の負債合計約16億8900万円、民事再生、長野県)、ピーク時は婦人服ショップ30店舗以上を展開していた(株)バックシャンプロジェクト(グループ4社の負債合計約4億6100万円、破産、栃木県)など、とくに負債数億円から数十億円規模の倒産が相次いでいる。
10月からの消費税率引き上げが景気を下押しする懸念は払しょくできず、今後の倒産件数は、単月ベースでは増減を繰り返しながらも、販売不振や借入過多に窮する小売業の倒産が全体を押し上げ、緩やかな増加傾向に転じる可能性が高まっている。

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