倒産集計

2018年 8月報

倒産件数は677件、7カ月ぶりの前年同月比増加
負債総額は1129億2900万円、5カ月ぶりの前年同月比増加

倒産件数 677件
前年同月比 +1.7%
前年同月 666件
前月比 ▲1.7%
前月 689件
負債総額 1129億2900万円
前年同月比 +27.2%
前年同月 887億5400万円
前月比 +10.4%
前月 1022億8400万円

主要ポイント

調査結果

■件数・負債総額

ポイント倒産件数は677件、7カ月ぶりの前年同月比増加

倒産件数は677件(前年同月比1.7%増)と、7カ月ぶりに前年同月を上回った。負債総額は1129億2900万円(同27.2%増)と、5カ月ぶりに前年同月を上回った。

要因・背景

件数…業種別では卸売業など3業種で、地域別では中国など6地域で前年同月比増加
負債総額…負債100億円以上の倒産(1件)が2カ月ぶりに発生

■業種別

ポイント卸売業、不動産業など3業種で前年同月比増加

業種別に見ると、7業種中3業種で前年同月を上回った。なかでも、卸売業(98件、前年同月比22.5%増)、不動産業(32件、同100.0%増)の2業種は大幅増。一方、建設業(125件、同4.6%減)など3業種は前年同月を下回り、製造業(78件)は前年同月と同数だった。

要因・背景

■主因別

ポイント「不況型倒産」の構成比78.7%

主因別の内訳を見ると、「不況型倒産」の合計は533件(前年同月比0.7%減)となり、7カ月連続で前年同月を下回った。構成比は78.7%(同1.9ポイント減)を占めた。

※倒産主因のうち、販売不振、輸出不振、売掛金回収難、不良債権の累積、業界不振を「不況型倒産」として集計

要因・背景

■規模別

ポイント負債5000万円未満の構成比58.5%

負債規模別に見ると、負債5000万円未満の倒産は396件(前年同月比9.8%減)となった。構成比は58.5%を占め、小規模倒産が過半を占める傾向が続いた。資本金規模別では、資本金1000万円未満(個人経営含む)の倒産が438件で構成比64.7%を占めた。

要因・背景

■地域別

ポイント北海道、中国など6地域で前年同月比増加

地域別に見ると、9地域中6地域で前年同月を上回った。なかでも、北海道(17件、前年同月比54.5%増)、中国(39件、同50.0%増)の2地域は前年同月比50%以上の大幅増。また、九州(50件、同13.6%増)は6カ月連続の増加となった。一方、関東(229件、同9.5%減)など2地域は前年同月を下回り、四国(9件)は前年同月と同数だった。

要因・背景

■上場企業倒産

上場企業の倒産は発生しなかった。

■景気動向指数(景気DI)

景気DIは49.5、国内景気は足踏み状態続く

2018年8月の景気DIは前月から横ばいの49.5となった。
8月の国内景気は、自動車・部品生産の持ち直しや訪日外国人観光客の増加に加え、地震および豪雨災害からの復興に向けた建設需要なども景況感の押し上げ要因となった。一方、連日の猛暑や相次ぐ自然災害が消費関連業種の悪化につながり、企業活動へも一部影響を及ぼした。また好調が続いた輸出で米国向けが減少するなど、減速感がみられた。海外では、米中双方により追加関税が発動されたほか、トルコリラの大幅下落など新興国の通貨安が広がった。国内景気は、自動車関連の生産持ち直しや旺盛なインバウンド需要が続くなか、猛暑や自然災害がさまざまな影響を及ぼし、足踏み状態が続いた。

米中貿易摩擦や新興国リスクの影響を懸念

国内は、東京五輪およびインバウンド需要向け建設投資や、人手不足にともなう省力化投資が増え、好調な企業収益を背景に設備投資は高水準で推移すると見込まれる。輸出も堅調に推移するほか、個人消費の緩やかな回復が国内景気を下支えすると予想される。加えて、消費税率引き上げ前の駆け込み需要や、豪雨・地震災害からの復興需要も見込まれる。一方で海外リスクとして、米中貿易摩擦の激化や中国および新興国の景気悪化が懸念されるほか、自動車分野の関税引き上げを巡る米国との通商交渉の行方が注目される。今後は設備投資や輸出が堅調に推移するなか、復興需要も見込まれるものの、海外リスクの高まりから先行きの不透明感が強まっている。

今後の見通し

■米中貿易摩擦の激化、資本財生産企業への影響も懸念される

米国と中国における貿易摩擦が激しさを増している。2018年8月23日、米国は知的財産権侵害に対する制裁関税として、半導体など中国からの輸入品160億ドル分に25%の上乗せ関税を発動した。一方で、中国も同規模の追加関税をかけることを表明している。さらに米国は第3弾として2000億ドル分の輸入品に対する関税上乗せを実施することも発表した。
国際的な生産分業体制が進展するなか、こうした米中間の貿易摩擦は、中国に資本財などを多く輸出している日本企業にも影響する可能性が高い。制裁関税とそれに続く報復関税の応酬は、世界貿易を萎縮させ、米中両国や日本を含む各国の便益が減少していくとみられる。その結果、貿易摩擦の激化は日本の景気にも大きく影響すると予測され、製造業や卸売業など輸出に関連する企業を中心に今後の倒産動向に波及することが懸念材料となる。

■採用方法の改革機運高まり、人材確保難に直面する中小企業に影響する可能性も

2018年1〜8月の人手不足倒産は累計92件(前年同期比35.3%増)発生した。企業の半数超が人手不足と考えるなか(帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査(2018年7月)」)、追加就労希望就業者や潜在労働力人口、失業者など今後の労働力供給余地を測る“未活用労働”は400万人を超えており、最も広く未活用の労働力を把握する未活用労働指標4(LU4)は5.9%にのぼる(総務省「労働力調査」)。また、経済団体からは採用方法の見直しが提起され、通年採用の普及や新卒一括採用の弊害抑制など人材採用の改革に向けた動きが活発化している。
さらに、6月29日には働き方改革関連法が成立し、大企業は2019年4月、中小企業は2020年4月から施行予定となっている。今後は、人手不足の深刻化が継続すると予想されるなかで、優秀な人材の確保や定着に対する競争が一段と激しくなるとみられる。人材採用方法の変化は、人材確保難に直面する中小企業にとっても対応が必要な流れとなる可能性がある。

■経済の基礎的条件が堅調ななかで、倒産動向は抑制された状態で推移

国内景気は、好調な企業業績や人手不足に伴う省力化投資など高水準の設備投資のほか、東京五輪需要などが期待される。また、賃金上昇を背景に個人消費の緩やかな回復など、経済のファンダメンタルズは堅調に推移すると見込まれる。一方で、米中貿易摩擦の激化や新興国のインフレ・通貨安、自動車分野の関税交渉の行方など、海外リスクの高まりには注視する必要がある。
また、相次ぐ自然災害の影響も懸念される。ゴルフ場運営の西日本観光(負債52億7900万円、兵庫県、民事再生)は、西日本豪雨や大阪府北部の地震などによる被害が来場者の減少に追い打ちをかける結果となった。さらに台風21号に伴う空港被害や北海道胆振東部地震による電力供給停止など、経済基盤となるインフラへの打撃が企業活動に長期的に影響する可能性もある。事業継続計画(BCP)の策定企業が14.7%にとどまるなか(帝国データバンク「事業継続計画(BCP)に対する企業の意識調査(2018年)」)、各社は一段のリスク管理が求められよう。
8月の倒産では、不動産業が32件と急増した。金融機関からの新規個人向け住宅融資の減少が続くなか、住宅着工戸数はマンションや貸家を中心に減少傾向にある。さらに、住宅ローン金利の上昇も見込まれている。今後、消費税率引き上げを前にした駆け込み需要が発生する可能性はあるものの、不動産や住宅関連業界の先行きが懸念される。
こうした状況下、8月の倒産件数は677件(前年同月比1.7%増)と7カ月ぶりに増加したものの、2018年累計は5395件(前年同期比3.8%減)となっており、当面の倒産動向は抑制された状態で推移すると見込まれる。

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