2023/9/6
首都圏・本社移転動向調査(2023年上半期)
企業の本社「脱首都圏」減速
〜 1-6月は8社の「転出超過」、22年から大幅減 〜
はじめに
新型コロナが感染症法上の位置づけとして「5類」に移行して以降、対面営業や従業員のオフィス回帰を促す企業が増えている。パーソル総合研究所(東京・港)の調査では、正社員のテレワーク実施率は2023年7月時点で22.2%となり、20年4月以降で最低水準だった。大手企業では首都圏の本社機能やワークスペースを削減・縮小し、地方へ拠点を分散化する動きが続いているほか、ウェブ会議を活用したビジネススタイルやリモートワークなどの多様な働き方は定着したものの、企業の「脱首都圏」を後押しする推進力はコロナ禍だった20〜22年に比べて弱まっている。
足元では、東京都心を中心に高機能オフィスの供給が拡大するなど企業の受け入れ態勢が整ってきているほか、取引先との関係構築、人材採用の強化、海外や地方へのアクセス面など、首都圏に本社を置くメリットが再び見直され、地方の中堅企業を中心に首都圏への本社移転が増えている。こうした流れが続けば、首都圏の本社移転動向は3年ぶりに転入超過に転じる可能性がある。
■帝国データバンクは、2023年1-6月に首都圏(東京・神奈川・千葉・埼玉)⇔地方間を跨いだ「本社所在地の移転」が判明した企業(個人事業主、非営利法人等含む)について、保有する企業概要データベースのうち業種や規模が判明している企業を対象に分析を行った
[注1] 本社とは、実質的な本社機能(事務所など)が所在する事業所を指し、商業登記上の本店所在地と異なるケースがある
[注2] 首都圏の企業転出・転入は、首都圏内外をまたぐ道府県との本社移転を指しており、首都圏内での県境を跨ぐ本社移転は含まれない
調査結果
- 1 企業の「脱首都圏」急減速 23年上半期は8社の「転出超過」、前年から大幅減
- 2 首都圏からの転出先、37 → 34道府県に減少 「首都圏近郊」へ回帰の兆し
