2022/11/16
全国企業「後継者不在率」動向調査(2022)
後継者不在率、初の60%割れ
〜 後継候補「非同族」が初のトップ、事業承継は「脱ファミリー」化が加速 〜
はじめに
地域の経済や雇用を支える中小企業。しかし、近年は後継者が見つからないことで、事業が黒字でも廃業を選択する企業は多い。日本政策金融公庫の調査では、60歳以上の経営者のうち50%超が将来的な廃業を予定。このうち「後継者難」を理由とする廃業が約3割に迫る。
後継者が不在であるなか、新型コロナウイルスによる業績悪化などが追い打ちとなり事業継続を断念する事例も想定され、その回避策としての事業承継支援が今まで以上に注目されている。中小企業庁は2022年3月、従業員承継や第三者承継(M&A)、「引き継ぎ手」により焦点を当てた「事業承継ガイドライン」を新たに改定、円滑な事業承継に向けたサポートを進めている。
■帝国データバンクでは、信用調査報告書ファイル「CCR」(190万社収録)など自社データベースをもとに、2020年10月-22年10月の3年を対象として、事業承継の実態について分析可能な約27万社(全国・全業種)における後継者の決定状況と事業承継動向について分析を行った。同様の調査は2021年11月以来9回目
調査結果
- 1 2022年の全国・全業種約27万社の後継者不在率は57.2%となり、コロナ前の2019年からは8.0pt、21年の不在率61.5%からも4.3pt低下し、5年連続で不在率が低下した。また、調査を開始した11年以降、後継者不在率は初めて60%を下回った
- 2 2022年の代表者の就任経緯では、買収や出向を中心にした「M&Aほか」の割合が20.3%と、調査開始以降で初めて2割を超えた。具体的な後継候補では、最も高いのは「非同族」の36.1%で、前年を2.9pt上回った。2011年の調査以降、後継者候補は「子供」の割合が最も高い状態が続いてきたものの、初めて「非同族」が首位となった
