2021/10/14
東京五輪・パラリンピックに関する企業の意識調査
東京五輪のレガシー、今後5年間で8兆8千億円の売上増を期待
〜旅行業など「運輸・倉庫」業で将来の効果を見込む企業が多い 〜
はじめに
2021年7月から9月にかけて、当初より1年延期された東京五輪・パラリンピックが開催され、開催国の日本はこれまでの大会を上回る数の金メダルを獲得するなど「スポーツの祭典」は多くの人々に感動を与えた。一方で、新型コロナウイルス感染拡大防止のため多くの会場で無観客や移動制限などの制約があるなかでの開催となり、さまざまな関連消費が伸び悩んだことによって企業が当初想定していた効果と異なった結果も生じている。
そこで、帝国データバンクは、東京五輪・パラリンピックに対する企業の見解について調査を実施した。本調査は、TDB景気動向調査2021年9月調査とともに行った。
■調査期間は2021年9月15日〜30日、調査対象は全国2万4,516社で、有効回答企業数は1万2,222社(回答率49.9%)。なお、東京五輪に関する調査は2019年10月に続いて、今回で4回目
■本調査における詳細データは景気動向オンライン(https://www.tdb-di.com)に掲載している
調査結果
- 1 東京五輪の開催によって売り上げが増加した企業の割合は、「開催前」においては8.6%、「開催期間中」では4.8%、「開催後の見込み」では4.3%となった。減少した割合では「開催期間中」が4.1%で最も高かった。また、売上高の平均額ではそれぞれ2,150万円、447万円、657万円だった。また、企業全体でみると今後の5年間で8兆8,263億円の売上増加を期待していると試算された
- 2 東京五輪の開催によって売り上げが増加した企業の割合を業界別にみると、旅行業を含む『運輸・倉庫』がいずれの期間においても最も割合が高かった。また、『建設』では開催前の売上高平均額が最も高くなるなどの特徴がみられた。地域別では主な開催地となった『南関東』において、他地域と比較していずれの期間においても増加した企業の割合が最も高かった
- 3 東京五輪の開催が2021年の日本経済にとって有効だったかを尋ねたところ、「有効だと思う」と回答した企業は22.4%となった。規模別では、「大企業」では全体(22.4%)を上回ったものの、「中小企業」や「小規模企業」は下回った。また、主な開催地となった『東京都』(21.1%)や『南関東』(20.9%)においても全体を下回る結果となった
