レポート

倒産集計 2026年 9月報

2026/10/08

倒産件数、4カ月ぶりに前年を下回る
負債総額、7カ月連続で前年を上回り増加傾向に

概況・主要ポイント

  1. 倒産件数は800件(前年同月909件、12.0%減)と、4カ月ぶりに前年を下回った。2026年1-9月の累計は7999件で、前年同期(7619件)を380件・5.0%上回った
  2. 負債総額は1029億4600万円(前年同月986億400万円、4.4%増)となり、7カ月連続で前年を上回った。負債額トップは、不動産開発を手がけていた㈱Hatch Outの約107億6200万円
  3. 業種別にみると、主要7業種中5業種で前年を下回った。最も減少したのは、『小売業』(前年同月209件→164件、21.5%減)だった。一方で、最も増加したのは『不動産業』(同26件→32件、23.1%増)で2カ月ぶりに前年を上回った
  4. 主因別にみると、「販売不振」が651件で最も多く、全体の81.4%を占めた
  5. 態様別にみると、『清算型』倒産は769件となり4カ月ぶりに前年を下回った。『再生型』倒産は31件発生し、2カ月連続で前年を上回った
  6. 規模別にみると、負債「5000万円未満」が501件と、4カ月ぶりに前年を下回ったものの、9月としては過去2番目に多かった
  7. 業歴別にみると、すべての業歴で前年を下回った。「30年以上」は262件(前年同月291件、10.0%減)で、4カ月ぶりに前年を下回った
  8. 地域別にみると、9地域中7地域で前年を下回った。『関東』は2カ月連続で、『北陸』は3カ月連続で前年を下回った

業種別

主要7業種中5業種が前年を下回る 『サービス業』が220件で最多 

業種別にみると、主要7業種中5業種で前年を下回った。最も減少したのは、『小売業』(前年同月209件→164件、21.5%減)だった。一方で、最も増加したのは『不動産業』(同26件→32件、23.1%増)で2カ月ぶりに前年を上回った。内訳をみると『サービス業』(同225件→220件、2.2%減)が全業種で最多となり、全体の27.5%を占めた。次いで『小売業』、『建設業』(同178件→145件、18.5%減)が続いた。
業種を細かくみると、『小売業』では、「飲食店」(前年同月76件→57件)が大幅に減少し、約3年ぶりに50件台に落ち込んだ。一方、『サービス業』では、広告代理業や警備業などの「広告・調査・情報サービス」(同70件→73件)が増加した。

主因別

「販売不振」が651件、全体の81.4%を占める

主因別にみると、「販売不振」が651件(前年同月744件、12.5%減)で最も多く、全体の81.4%を占めた。このほか、「売掛金回収難」(前年同月6件→2件、66.7%減)、「業界不振」(同7件→4件、42.9%減)を含めた『不況型倒産』は657件(同757件、13.2%減)となり、4カ月ぶりに前年を下回った。
「放漫経営」(前年同月24件→14件、41.7%減)は5カ月ぶりに前年を下回った。一方、「設備投資の失敗」(同1件→6件、500.0%増)は大幅に増加し、3カ月ぶりに前年を上回った。  
※倒産主因のうち、販売不振、輸出不振、売掛金回収難、不良債権の累積、業界不振を『不況型倒産』として集計

態様別

「破産」は736件、4カ月ぶりに前年を下回る

態様別にみると、『清算型』倒産は769件(前年同月881件、12.7%減)となり4カ月ぶりに前年を下回った。『再生型』倒産は31件(同28件、10.7%増)発生し、2カ月連続で前年を上回った。
『清算型』では、「破産」が736件(前年同月838件、12.2%減)と4カ月ぶりに前年を下回った。他方、「特別清算」は33件(同43件、23.3%減)と前年を下回ったものの、4カ月連続で30件以上の推移となった。
『再生型』では、「民事再生法」が30件(前年同月25件、20.0%増)発生し、個人が25件、法人が5件だった。「会社更生法」(同3件→1件、66.7%減)は2カ月連続で発生した。

規模別

資本金『個人+1000万円未満』は594件、全体の74.3%を占める

負債額を規模別にみると、「5000万円未満」が501件(前年同月572件、12.4%減)と、4カ月ぶりに前年を下回ったものの、9月としては過去2番目に多かった。他方、「10億円以上50億円未満」は18件(同13件、38.5%増)と2カ月連続で前年を上回った。
資本金を規模別にみると、『個人+1000万円未満』の倒産が594件(前年同月667件、10.9%減)となり、全体の74.3%を占めた。

業歴別

すべての業歴で前年を下回る 『新興企業』は2カ月ぶりに前年を下回る

業歴別にみると、すべての業歴で前年を下回った。「30年以上」は262件(前年同月291件、10.0%減)で、4カ月ぶりに前年を下回った。「15年未満」は115件(同121件、5.0%減)と、14カ月ぶりに前年を下回った。
業歴10年未満の『新興企業』〈「3年未満」(前年同月39件→38件、2.6%減)、「5年未満」(同53件→31件、41.5%減)、「10年未満」(同177件→154件、13.0%減)〉は223件(前年同月269件、17.1%減)となり、2カ月ぶりに前年を下回った。内訳を業種別にみると、「サービス業」(同82件→82件)が最も多く、「小売業」(同63件→51件、19.0%減)、「建設業」(同52件→33件、36.5%減)が続いた。

 

地域別

9地域中7地域で前年を下回る 『関東』は2カ月連続で前年を下回る

地域別にみると、9地域中7地域で前年を下回った。『関東』(前年同月294件→263件、10.5%減)は2カ月連続で、『北陸』(同41件→33件、19.5%減)は3カ月連続で前年を下回った。『近畿』(同247件→232件、6.1%減)は、「京都」(同41件→22件)や「大阪」(同131件→118件)が地域全体を引き下げ、4カ月ぶりに前年を下回った。一方、『中国』(同32件→35件、9.4%増)は、3カ月ぶりに前年を上回った。
最も減少率が高かったのは、全県で減少となった『四国』(前年同月20件→8件、60.0%減)で、『中部』(同139件→103件、25.9%減)が続いた。
47都道府県中24都府県が前年を下回った。

景気DI

2026年9月の景気DIは44.6、横ばい

2026年9月の景気DIは前月から横ばいの44.6となった。国内景気は、機械関連需要や旅行需要が下支えしたものの、仕入単価の高止まりや天候不順など悪材料も多く、上向き傾向が一服した。
9月は、好調なAI・半導体関連を軸とした機械需要のほか、大型シルバーウィークによる旅行・レジャー需要、堅調な建設需要が好材料だった。一方で、売り上げや生産・出荷量は力強さを欠き、仕入単価の高止まりや人手不足、日銀の利上げによる金利負担への警戒、天候不順などが悪材料となった。

今後の見通しは緩やかに持ち直し

今後は、政府の成長投資や国土強靱化、企業の省力化・更新投資が内需を支えよう。飲食料品の消費税率引き下げを含む物価高対策や賃上げの定着で家計の実質購買力が改善すれば、個人消費の持ち直しも期待される。輸出の回復も下支え材料となる。一方で、人手不足や人件費上昇は企業収益を圧迫し、長期金利の上昇は設備・住宅投資の重荷となる。中東情勢や海外景気、通商政策の不透明感も残る。今後の景気は、コスト高と金利上昇が勢いを抑える一方、内需の回復が下支えし、緩やかな持ち直しが続くとみられる。

今後の見通し

年度上半期の倒産、2年連続の5000件超 物価高・人手不足が中小事業者を直撃

2026年度上半期の全国企業倒産は5362件発生し、2年連続で5000件を超えた。前年同期(5146件)を216件上回り、5年連続の増加となった。中東情勢の悪化を背景として原材料価格やエネルギー価格が高騰したほか、財政悪化懸念と日米金利差の影響による円安の進行で物価上昇が続き、とくに4月以降、物価高倒産が高水準で発生した。また、従前から続く人手不足や後継者難などを要因とする中小事業者の倒産も高水準で推移、倒産と前後して粉飾が発覚するケースも相次いだ。
負債総額は8304億700万円となり、前年同期(6705億800万円)を23.8%上回った。負債100億円以上の倒産が7件発生し、全体を押し上げた。最大の倒産となった全東信(負債1151億6400万円、7月破産)に関しては、60以上におよぶ金融機関が融資を行っていたが、同社が本社を置く大阪の金融機関が取引を減らしていた一方で「越境融資」が増加、また長年にわたる「粉飾」も指摘されるなど話題となった。

金利上昇で注目される企業の収益環境の変化

9月18日、日本銀行は政策金利を1.25%へと引き上げることを決定した。1995年以来、31年ぶりの水準となるが、過度のインフレや円安の進行を抑制することを目的に、今後も追加利上げの可能性が高いとみられている。ゼロ金利時代から「金利ある世界」へと移行するなか、企業は資金の調達金利と利益確保のバランスをこれまで以上に意識した資金運営にシフトしていかなければならない。
帝国データバンクが行った「日銀の追加利上げが企業に与える影響度調査」(調査対象16.8万社、9月18日発表)による最新の試算では、借入金利が現状から 0.25%上昇した場合、金利負担の増加で経常損益が黒字から赤字へ転換する企業は約 2700 社・1.6%発生すると試算。
業種別では「不動産業」への影響が最も大きく、経常黒字から赤字に転落する企業は 3.6%となった。長期金利も上昇しており、企業からは「物価高、金利上昇により売れ行きが悪くなっていく可能性がある」(建物売買)との声も聞かれる。不動産業界に関しては、9月に金融庁が公表した『2026事務年度 金融行政方針』においても「不動産等の信用リスク」として、投融資方針や案件審査、リスク管理の実効性を確認していくことが示されている。金利情勢と併せて動向を注視していく必要があるだろう。

企業間の競争力格差は拡大、倒産は高水準で発生する可能性

10月1日以降、各都道府県で最低賃金が順次発効され、人件費が引き上げられる。人材確保が難しく、人手不足倒産も高水準で発生しているなかで、企業は人件費高騰にも対応していかなければならない。特に中小・小規模企業が人件費の上昇にあわせて価格転嫁をどれだけ進められるかがポイントとなるだろう。また、物価上昇が続くなかにあって、消費者の生活防衛意識もしばらく続くものとみられ、2026年度上半期に増加が目立った飲食料品小売のほか、木造建築工事などの業界動向が引き続き注目される。 
国内景気は今後もAI、半導体関連企業がけん引するものとみられるが、こうした恩恵の及ばない企業や、コロナ禍からの業績回復に至らず、収益悪化と借入負担からリスケ対応で事業を継続している企業との二極化がさらに強まりそうだ。9月の倒産件数は前年比減少となったが、成長戦略やインフレ経済のもとで、企業間格差は拡大している。こうした状況下、企業倒産は中小・小規模企業を中心に2026年度下半期も5000 件を超えるペースで推移するものとみられる。

次回発表日は11月10日(火)13時30分を予定しております。

詳細はPDFをご確認ください
2026年度上半期報・9月報(倒産動向データ編)