2019/6/10
「飲食店」の倒産、休廃業・解散動向調査(2018年度)
倒産、休廃業・解散計1180件、過去最多
〜 倒産は減少も休廃業・解散の増加が全体を押し上げ 〜
はじめに
飲食店を取り巻く環境が厳しくなっている。消費者の嗜好やトレンドが一巡し、流行の波に乗ってきたとみられるチェーン店の雲行きが怪しくなってきた。飲食業界は、消費者マインドが直接的に反映されるだけに経営に影響が生じやすい。人手不足、社長の高齢化、後継者問題、キャッシュレス化への適応、10月に予定されている消費増税など懸念材料が山積みだ。
今回、帝国データバンクでは、2018年度の飲食店の倒産、休廃業・解散動向について集計・分析した。なお、飲食店の倒産動向調査(2017年度)は2018年4月、飲食店の休廃業・解散動向調査(2016年)は2017年3月に発表しているが、倒産と休廃業・解散をまとめて調査するのは今回が初めて。
■飲食事業を主業とする事業者(法人・個人事業者)で、倒産(法的整理)は負債1000 万円以上を対象としている
■「休廃業」とは、企業活動を停止している状態を指す(官公庁等に「廃業届」を提出して企業活動を終えるケースを含む)。調査時点では当該企業の企業活動が停止していることを確認できているが、将来的な企業活動再開を否定するものではない
■「解散」とは、主に商業登記等で解散を確認した場合を指す
調査結果
- 1 2018年度(2018年4月〜2019年3月)の倒産、休廃業・解散の合計は1180件(前年度比7.1%増)となり、東日本大震災が発生後の2011年度(1134件)、リーマン・ショックが発生した2008年度(1113件)を上回り、2000年度以降で最多を更新した
- 2 2018年度の飲食店の倒産は657件(前年度比6.3%減)、負債総額は322億1900万円(前年度比3.5%減)。飲食店の休廃業・解散は523件(前年度比30.4%増
- 3 業態別にみると、最も多かったのは「酒場・ビヤホール」(214件、構成比18.1%)。倒産では「西洋料理店」が101件(前年度比29.5%増)で3年連続、「喫茶店」が73件(同19.7%増)で2年連続増加した。休廃業・解散をみると、「中華・東洋料理店」の79件(同315.8%増)、次いで「一般食堂」の70件(同169.2%増)の増加率が目立った
- 4 都道府県別に倒産、休廃業・解散をみると、「東京都」192件(前年度比17.1%増)がトップ。以下、「大阪府」126件(同0.8%減)、「愛知県」84件(同13.5%増)と続いた
