2017/7/10
「人手不足倒産」の動向調査(2013年1月〜2017年6月)
人手不足倒産、2.9倍に増加
〜「建設業」「サービス業」に集中〜
はじめに
ビジネスの現場で人手不足が高まっている。全国1万社以上の回答を集計した「人手不足に対する企業の動向調査」(帝国データバンク、2月21日発表)によると、正社員が不足していると回答した企業は全体の43.9%を占め、2016年7月の同調査から6.0ポイント増加し、過去10年で最高となった。5月の有効求人倍率(季節調整値、厚生労働省、6月30日発表)も、3カ月連続上昇の1.49倍と、1974年2月以来43年3カ月ぶりの高水準となるなど、今後の企業活動への影響の広がりが注目されている。
こうしたなか、帝国データバンクでは従業員の離職や採用難等、人手を確保できなかったことが要因となって倒産(法的整理)した企業(負債1000万円以上、個人事業主含む)を「人手不足倒産」と定義し、集計を開始した2013年1月以降、2017年6月末までの4年半で発生した倒産について集計・分析した。
調査結果
- 1 2013年1月から2017年6月末までの4年半で発生した「人手不足倒産」の累計件数は290件となった。半期別では、直近の「2017年上半期」は49件(前年同期比44.1%増)と、2年連続で前年同期を上回り、「2013年上半期」(17件)と比べて2.9倍増
- 2 負債規模別件数を見ると、4年半累計の最多は「1億円未満」の137件(構成比47.2%)と、小規模企業の倒産が目立つ
- 3 業種別件数を見ると、4年半累計の最多は「建設業」の105件(構成比36.2%)。これに「サービス業」が92件(同31.7%)で続き、この2業種で全体の67.9%を占めた。業種細分類別では、「老人福祉事業」が19件で最多。以下、「道路貨物運送」(17件)、「ソフトウエア受託開発」(16件)と続いた
