レポート菓子製造小売業の倒産動向調査(2025年1月-7月)

菓子製造小売業の倒産、過去最多ペース 設備投資の負担増、原材料の高騰も打撃に

株式会社帝国データバンクは「菓子製造小売業」の倒産動向について調査・分析を行った。

SUMMARY

2025年1-7月の菓子製造小売業の倒産は39件となり、過去最多のペースで推移している。菓子業界では、原材料価格の高騰による収益悪化や、人手不足、大手チェーンとの競争激化など、厳しい経営環境が続いているほか、老朽化した設備のメンテナンスや買い換えの負担も大きい。2025年の倒産件数ははじめて70件に達する可能性がある。

集計期間:2000年1月1日~2025年7月31日まで
集計対象:倒産は負債1000万円以上、法的整理によるもの

2025年1-7月は39件、昨年同期の約1.6倍

2025年1-7月の菓子製造小売業の倒産は39件で、昨年同期(24件)の1.6倍となった。このままのペースで推移すると、2025年は過去最多(2019年=49件)を大きく更新する見通し。

39件を分析すると、法人・個人別では、法人が27件、個人が12件だった。業態別では、ケーキや焼き菓子などを扱う洋菓子店が25件、まんじゅうやもなかなどを扱う和菓子店が13件、その他(あめ店)が1件だった。倒産態様別では、39件すべてが「破産」で、都道府県別では、大阪府、福岡県(各5件)、青森県、東京都、愛知県(各3件)など19都道府県で発生。業歴別では「30年以上」が14件と全体の35.9%を占めた。

負債額1億円未満の小規模倒産は31件と、全体の79.5%を占めた。負債額が最大だったのは、お菓子のみやきん(青森県、負債約7億1600万円)。同社は、1861年(文久元年)創業の老舗和菓子店で、皇室に献上された「駒饅頭」なども製造していたが、新工場建設や店舗開設の投資負担が収益を圧迫するなか、2025年度に入り原材料の高騰が加わり、資金繰りに行き詰まって事業継続を断念した。

業界全体では、小豆、洋菓子店では卵や牛乳などの原材料価格の高騰による収益悪化や人手不足、大手チェーンや近隣同業者との競争激化により、厳しい経営環境が続いている。また、製造工場での設備機器のメンテナンスや買い換えの負担も大きい。

今後、後継者問題や設備更新のタイミングで、事業を断念するケースの増加が懸念され、2025年の倒産件数は年間70件に到達する可能性がある。

20250808_菓子製造小売業の倒産動向調査(2025年1-7月)

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