レポート2017年4月の景気動向調査

好調な輸出や生産が寄与し3カ月連続で改善 ~ 個人消費の本格的な持ち直しに期待 ~

2017/05/08

■調査結果のポイント

  1. 2017年4月の景気DIは前月比0.3ポイント増の46.5となり、3カ月連続で改善した。国内景気は、好調な輸出や生産が追い風となった『製造』の改善が寄与するかたちで回復が続いた。今後の景気は、個人消費の本格的な持ち直しが期待されるなか、好調な輸出および生産の継続や公共工事の増加が好材料となり、緩やかな回復が続くと見込まれる。
  2. 『製造』『運輸・倉庫』『サービス』『農・林・水産』など8業界が改善、『建設』『小売』の2業界が悪化した。半導体関連や自動車部品などの輸出が好調で、関連する業種の景況感を上向かせた。また、人手不足が深刻化する一方、契約価格の値上げが進む運輸業やニーズを取り込んだ人材紹介などの景況感が改善した。『北海道』『北関東』『九州』など10地域中9地域が改善、『中国』が悪化となった。公共工事の増加が各地の景況感を改善するプラス材料となったほか、『九州』では震災復興や観光業の回復などもあり、7カ月連続の全国10地域中第1位となる高水準で推移した。


< 2017年4月の動向 : 回復続く >

2017年4月の景気DIは前月比0.3ポイント増の46.5となり、3カ月連続で改善した。

4月の国内景気は、世界経済の持ち直しを受け半導体など電子部品や自動車関連品の中国および米国向け輸出の回復が鮮明となるなか、『製造』の改善が景況感全体を押し上げた。『運輸・倉庫』は値上げ機運の高まりに加え、輸出入量の増加や大型連休を控えた荷動きの活発化が寄与したほか、人手不足対策やシステム投資需要を取り込んだ『サービス』が8カ月連続で改善し、先月に続き10業界中唯一50台となった。また、熊本地震から1年が経過し、復興需要や観光関連の持ち直しが地域経済の回復につながった。

国内景気は、好調な輸出や生産が追い風となった『製造』の改善が寄与するかたちで回復が続いた。

< 今後の見通し : 緩やかな回復続く >

今後については、発足から100日が経過した米トランプ政権の通商政策の行方やFRBの利上げのほか、欧州の政治リスクや地政学的リスクにも注視していく必要があるだろう。国内は、人手不足の深刻化やコスト負担増が景気回復の下押し圧力となる可能性を抱える一方で、雇用・所得環境が改善するなか、賃金総額の増加が回復の兆しの見える個人消費の本格的な持ち直しにつながることが期待される。さらに、輸出および生産の拡大継続、東京五輪に向けた建設投資の本格化や補正予算執行が景気を押し上げる要因となるだろう。

今後の景気は、個人消費の本格的な持ち直しが期待されるなか、好調な輸出および生産の継続や公共工事の増加が好材料となり、緩やかな回復が続くと見込まれる。

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