レポート2015年3月の景気動向調査

設備投資意欲が改善し、景気は上昇基調へ ~ 機械生産関連の伸びが顕著 ~

2015/04/03

■調査結果のポイント

  1. 3月の景気DIは前月比0.7ポイント増の45.8となり、3カ月連続で改善した。金融市場が安定的に推移するなか、経済対策の効果が徐々に表れはじめた。EU向け自動車輸出の増加もあり車載用電子機器や工作機械など生産関連の景況感が改善した。国内景気は企業の設備投資意欲が緩やかに改善しており、上昇している。賃上げが家計の実質所得を上昇させる結果、個人消費が景気上昇のけん引役を果たし、今後の国内景気は緩やかに改善すると見込まれる。
  2. 業界別では『不動産』『製造』『卸売』『サービス』など10業界中9業界が改善した。『製造』では、生乳の生産量が回復傾向にあり、乳製品や肉製品製造などで改善がみられた。『サービス』は景気上昇による所得増加期待から広告関連が改善したほか、娯楽サービスなども全体を押し上げた。
  3. 地域別では、『近畿』や『中国』など10地域中9地域が改善した。特に低水準での推移が続いていた『近畿』は、建設関連の内装工事や土木工事が堅調で10地域中最大の改善幅となった。

< 2015年3月の動向 : 上昇基調 >

2015年3月の景気DIは前月比0.7ポイント増の45.8となり3カ月連続で改善した。

3月の国内景気は、為替レートが1ドル=120円前後で推移したことや日経平均株価が23日に1万9,754円(終値)をつけ15年ぶりの高値となるなど、金融市場が安定して推移した。また、2014年度補正予算に盛り込まれた省エネ住宅ポイント制度が開始されるなど、経済対策の効果が徐々に表れはじめた。自動車関連ではEU向け輸出が大幅に増加したことにより、設備投資意欲が上昇傾向を続けるなかで、車載用電子機器や工作機械など生産関連の景況感も改善した。これまでの急激な原材料価格の上昇は落ち着いてきたものの、人手不足にともなう人件費の増加が企業のコスト負担要因として重要性を増している。

国内景気は、企業の設備投資意欲が緩やかに改善しており、上昇している。

< 今後の見通し : 緩やかに改善 >

今年の春闘において大手企業が大幅な賃上げを回答しているほか、企業の正社員採用意欲が過去7年で最高となるなど、雇用の改善と同時に消費の基盤となる所得環境が改善するとみられるため、個人消費の回復が期待される。原油・天然ガスの価格下落は企業や家計のエネルギー関連支出軽減に寄与することが見込まれ、2014年度補正予算の本格的な執行とともに、地方創生、高速道路や新幹線などインフラ整備、東京五輪など建設需要は高水準で続くとみられる。

消費税率引き上げによる物価上昇の影響は4月から剥落するため、賃上げが家計の実質所得を上昇させる結果、個人消費が景気上昇のけん引役を果たし、国内景気は緩やかに改善すると見込まれる。

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