レポート

TDB景気動向調査2026年4月(東北ブロック:青森・岩手・宮城・秋田・山形・福島)

■東北ブロック

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

38.2

-0.4

2カ月連続の悪化

・概況

景気DI(38.2)は、2カ月連続で悪化した。「中東情勢の影響で石油由来製品の供給が停滞し、土木・建築工事が中断している現場もある。先行きが不透明で民間の投資意欲も減退している」(建設、宮城県)とあるように、原油価格の高騰やナフサ供給懸念を背景に、住宅設備や塗料などの原材料価格の上昇や納期遅延の影響を指摘する声は多い。このナフサ問題では『建設』や『製造』を中心に幅広い業種への影響が懸念されるほか、度重なる価格上昇に価格転嫁が追い付かない可能性もあり、景気が一段と下振れするリスクは高まっている。

・景気DI

景気DI(38.2)は前月比0.4ポイント減となり、2カ月連続で悪化した。『全国』(41.5)との格差は3.3で前月比1.0ポイント縮小した。県別では、改善3県(「青森」「岩手」「福島」)、悪化3県(「宮城」「秋田」「山形」)となった。

・規模別DI

「大企業」(41.9)が前月比0.7ポイント減、「中小企業」(37.8)が同0.4ポイント減となった。その結果、「大企業」と「中小企業」の格差は4.1となり、同0.3ポイント縮小した。

・業界別DI

改善が『金融』『不動産』『運輸・倉庫』などの4業界、悪化が『建設』『卸売』『製造』などの6業界となった。『その他』を除く9業界では『農・林・水産』(47.3)が最も高く、『運輸・倉庫』(32.7)が最も低かった。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は38.5(当月比0.3ポイント増)、「6カ月後」は38.6(同0.4ポイント増)、「1年後」は40.6(同2.4ポイント増)となった。前月との比較では「1年後」を除く2指標で悪化した。

■青森県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

40.6

1.1

3カ月ぶりに改善

・概況

「青森」の景気DIは前月から1.1ポイント増の40.6となり、3カ月ぶりの改善となった。中東情勢の悪化により、調達に支障が生じた『製造』などが悪化したほか、『運輸・倉庫』もいまだ低水準にある。一方、観光シーズンを迎えて「旅館・ホテル」が改善したほか、4月20日に発生した大地震後に備蓄用の食料品や防災グッズの売れ行きが増加したことで『小売』も改善した。全体としては、物価高や最低賃金の高まりなど、依然としてコスト上昇圧力が強まるなか、今後もしばらくは一進一退の足踏み状態が続く可能性が高い。

・景気DI

景気DIは40.6となり、1.1ポイント改善した。都道府県別順位は15位と前月の35位から大幅にアップし、東北6県の中では秋田と同率1位。「弘前さくらまつり」などの桜の名所や観光地への入込客数の増加等により「旅館・ホテル」が大幅に改善した。

・規模別DI

「大企業」が、50.0と前月から7.1ポイント改善したほか、「中小企業」も39.9と同0.7ポイントの小幅改善となった。一方、「小規模企業」は37.4と同3.5ポイント悪化し、「大企業」と「中小企業」・「小規模企業」との規模別DIでは差が広がる結果となった。

・業界別DI

業界別では、観光シーズンを迎え、入込客数の増加により「旅館・ホテル」が大幅に改善したほか、4月20日に発生した大地震により、防災グッズや食料品の備蓄需要を取り込んだ「飲食料品小売」をはじめとした『小売』も改善した。

・先行き見通しDI

先行き見通しDIは、3カ月後は改善したが、6カ月後、1年後がともに悪化した。中東情勢の悪化を受けて、包装用資材や燃油の調達が進まず、『製造』や『運輸・倉庫』において、6カ月後と1年後が悪化している。

■岩手県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

36.9

0.5

2カ月ぶりに改善

・概況

景気DIは2カ月ぶりに改善したが、8カ月連続で40を下回り、都道府県順位は全国41位となった。「大企業」が前月調査から一転して判断の分かれ目となる50を割り込み、「中小企業」は19カ月連続で40を下回った。業界別では引き続き『小売』や『卸売』の苦境が目立つ。先行き見通しの「6カ月後」と「1年後」はブロック最低にとどまった。円安や物価高、金利上昇の影響に加え、中東情勢の行方にも留意が必要であり、当面は一進一退の景気動向が続くと見込まれる。

・景気DI

景気DIは前月比0.5ポイント増の36.9となり、2カ月ぶりに改善したが、8カ月連続でDIが40を下回った。過去1年間で40を上回ったのは2025年8月の1度のみ。過去3カ月間の都道府県順位は全国47位と46位で推移していたが、今回調査では41位となった(前年同月は全国42位)。

・規模別DI

「大企業」は前月比3.7ポイント減の46.3となり、前月調査から一転して判断の分かれ目となる50を割り込んだ。「中小企業」は同0.7ポイント増の35.9となり、19カ月連続で40を下回った。「大企業」と「中小企業」の格差(大企業-中小企業)は10.4となった(前月は14.8)。

・業界別DI

『小売』が前月比0.5ポイント増の26.0とわずかに上向いたが、引き続き低水準にとどまった。『卸売』は28.8、『製造』が35.6と、いずれも前月からやや低下した。前月持ち直した『サービス』は45.1と続伸しており、この水準を今後も維持できるか注目される。

・先行き見通しDI

「3カ月後」が37.7、「6カ月後」が35.7、「1年後」が37.7と、いずれも前月から悪化した。「6カ月後」と「1年後」はブロック最低にとどまり、全国の水準にも及ばなかった。

■宮城県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

36.6

-1.0

16カ月連続の30台

・概況

景気DI(36.6)は前月比1.0ポイント減で、16カ月連続の30台となった。業界別では、『卸売』が2カ月連続で20台にとどまっているほか、『建設』は受注自体が停滞しているなかでナフサ不足が影響し、前月から5.0ポイント減となった。企業からは、すでに資材の調達が困難になっているとの声も複数聞かれ、先行きの不透明感を懸念する見方が強まっている。今後、資材不足が一層顕著となってくる可能性があり、企業業績にとどまらず、消費者の生活にも影響が及ぶ懸念もあり、景気動向は低位で推移していくことが見込まれる。

・景気DI

「宮城」の景気DIは前月比1.0ポイント減の36.6となり、16カ月連続で30台となった。『全国』(41.5)との比較では4.9ポイント下回ったが、格差は前月から0.4ポイント縮小した。都道府県別順位は43位と前年同月(47位)から改善しているものの依然として低位にとどまった。

・規模別DI

「大企業」(39.4)が前月比2.7ポイント、「中小企業」(36.2)が同0.9ポイントそれぞれ減少した。その結果、「大企業」と「中小企業」の格差は3.2で同1.8ポイント縮小した。「大企業」は10カ月ぶりに40を割り込んだ。

・業界別DI

改善は『農・林・水産』『小売』の2業界、悪化は『建設』『卸売』『不動産』などの6業界、横ばいは『金融』『運輸・倉庫』の2業界となった。『その他』を除く9業界では『農・林・水産』『金融』(各50.0)が最も高く、『卸売』(26.2)が最も低かった。前月に続いて半数以上の業界で前月から悪化している。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は37.1(当月比0.5ポイント増)、「6カ月後」は38.4(同1.8ポイント増)、「1年後」は41.2(同4.6ポイント増)となった。前月との比較では「1年後」を除く2指標で悪化した。

■秋田県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

40.6

-1.6

3カ月ぶりに悪化

・概況

景気DIは、『東北』が前月比0.4ポイント、『全国』は同1.4ポイントそれぞれ悪化している。『東北』では、「青森」、「岩手」、「福島」の3県がやや改善したものの、本県と「宮城」、「山形」が悪化している。中東情勢の緊迫化による石油関連施設の被害やホルムズ海峡封鎖による石油関連製品の不足、値上げから大企業、中小企業ともに景気の先行き不安が急激に増している。また、燃料価格の高騰でさらに物価高の様相を呈してきていることから一般消費に対しての懸念の声も増えている。このため、当面は一進一退の景気動向が続くであろう。

・景気DI

「秋田」の景気DIは40.6と3月から1.6ポイントダウンした。『東北』6県では「青森」と並んで前月の第1位をキープし、『東北』(38.2)を2.4ポイント上回った。また、都道府県順位は前月の第18位から第15位にアップしたものの、『全国』(41.5)を0.9ポイント下回った。

・規模別DI

規模別では、「大企業」(41.7)は前月と同率であったものの、「中小企業」(40.5)は同1.8ポイントダウンした。この結果、「大企業」と「中小企業」のDIは逆転し、「大企業」の方が高くなった。

・業界別DI

業界別では、『建設』『製造』の2業界が前月比で改善したものの、『不動産』『小売』『卸売』『サービス』『農・林・水産』の5業界が悪化した。悪化した中では『卸売』(41.2)の同6.4ポイント減が目立った。

・先行き見通しDI

先行き見通しDIは、特に起爆剤となる要因は見当たらず、「3カ月後」40.6、「6カ月後」40.6、「1年後」41.3と引き続き低位で推移するとの声が多く、先行きへの不安要素が強まっている。

■山形県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

37.4

-1.5

2カ月連続悪化

・概況

県内企業の声として「中東情勢により資材調達が難しい。工期が遅延する恐れがある」(建設、中小企業)、「石油製品不足により品物が従来通り入手できない。価格転嫁ができず、粗利がさらに悪化している」(出版印刷、中小企業)など、中東問題を背景とした課題が浮き彫りとなっている。「観光業として来館者数、売上高ともに前年比プラスで推移中」(小売、大企業)、「自治体で商品券を配ったことがプラス要因」(小売、中小企業)など、一部業界では前向きなコメントもあるが、先行きについては中東情勢による不透明感が根強く残る。

・景気DI

「山形」の景気DIは前月比1.5ポイント悪化し37.4となった。『全国』のDIは同1.4ポイント悪化の41.5を示し、『東北』のDIも同0.4ポイント悪化して38.2となるなど、いずれの指標も2カ月連続悪化した。

・規模別DI

「大企業」は前月比4.7ポイントと大幅な悪化となり35.0を示した。「中小企業」は同1.2ポイント悪化の37.6となり2カ月連続の悪化、うち「小規模企業」は同1.0ポイント悪化して34.3となり4カ月連続の悪化。3指標ともに前月比悪化した。

・業界別DI

前月比改善したのは『製造』『小売』『運輸・倉庫』の3業界のみ。『金融』『不動産』は横ばい。『農・林・水産』『建設』『卸売』『サービス』の4業界は悪化した。『運輸・倉庫』は4カ月ぶりに改善した一方、『建設』は2カ月ぶりに悪化に転じた。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は前月比2.2ポイント減の38.0となり2カ月連続で悪化した。「6カ月後」は同2.4ポイント減の38.5と4カ月連続悪化、「1年後」は同0.3ポイント改善し41.4となった。目先の厳しさを示す結果となった。

■福島県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

39.1

0.7

2カ月ぶりに改善

・概況

5業界が改善したことから、「福島」の景気DI(39.1)は前月比0.7ポイント上昇した。企業からは「公共インフラ工事の案件が増加している」(建設)との声がある一方、「中東情勢の悪化に伴うコスト高が収益を圧迫している」「シンナー不足に加え、樹脂系材料の入荷にも懸念」(各製造)などの声も聞かれた。中東情勢については歴史的な緊張局面にあるとの見方が多く、これに伴うエネルギー価格の高騰が中小企業の経営に直接的な影響を及ぼしている事象も出始めており、当面は景気動向が不安定に推移することを想定しておく必要がある。

・景気DI

「福島」の景気DIは、39.1と3月を0.7ポイント上回って、2カ月ぶりに改善したものの、2カ月連続で30台にとどまった。『全国』の景気DIは、前月(42.9)を1.4ポイント下回り、41.5となった。「福島」の都道府県別順位は、前月の第42位から第29位となった。

・規模別DI

「大企業」(44.4)は前月比2.7ポイント上昇、「中小企業」(38.4)は同0.3ポイント上昇、「小規模企業」(34.6)は同0.9ポイント上昇した。格差(大企業-中小企業)は6.0となり、2カ月連続で「大企業」が「中小企業」を上回った。

・業界別DI

『運輸・倉庫』『小売』『製造』は悪化したが、『不動産』『農・林・水産』『建設』『卸売』『サービス』の5業界が改善した。『建設』『卸売』は2カ月ぶりに40台に改善したものの、『小売』は20カ月連続で30台にとどまった。

・先行き見通しDI

「1年後」の先行き見通しDIは4業界が当月からの改善を見込んでいる。特に『運輸・倉庫』は当月(30.6)から16.6ポイント、『卸売』『不動産』はそれぞれ当月(40.0)から3.3ポイントの改善を見込んでいる。一方、業界比率の突出している『建設』の「1年後」が当月(40.3)から1.4ポイント低下を見込んでおり、やや懸念される。

「東北ブロック(2026年4月)」の詳細(青森・岩手・宮城・秋田・山形・福島)