■調査結果のポイント
- 10月の景気DIは前月比0.4ポイント増の43.3となり2カ月連続で改善した。金融市場が堅調に推移したなか、震災や台風被害からの復旧工事、住宅投資の増加が全体を押し上げた。国内景気は、自動車生産の回復とともに旺盛な建設関連需要が継続し、2カ月連続で上向いた。今後の景気は、当面の不安定な動きをともないつつ、雇用・所得環境の改善などを受け、緩やかに上向いていくとみられる。
- 『運輸・倉庫』『製造』『建設』など6業界が改善、『小売』『農・林・水産』など4業界が悪化した。公共工事および住宅工事が増加した『建設』や好調な自動車生産を受けた『製造』が、『運輸・倉庫』などにも波及するかたちで6業界が改善した。
- 『北海道』や『東北』『中国』など6地域が改善、『北陸』『東海』『四国』の3地域が悪化、『北関東』が横ばいとなった。台風被害からの復旧工事のほか、地方圏ではマンションなどの住宅着工戸数増加もあり建設関連需要が活発だった。また、補正予算の執行やTPP対策として補助金交付なども景気押し上げ要因となった。
< 2016年10月の動向 : 持ち直し続く >
2016年10月の景気DIは前月比0.4ポイント増の43.3となり2カ月連続で改善した。2カ月連続の改善は2015年3月以来1年7カ月ぶり。
10月は、外国為替相場が円安傾向で推移したうえ、日経平均株価も上昇するなど、金融市場は堅調に推移した。国内の景気動向は、震災や台風被害からの復旧工事に加え、住宅ローンの金利低下や各種助成金などを追い風に旺盛となった住宅投資など、中小企業を中心に景気の持ち直し傾向が続いた。さらに、好調な半導体関連や国内鋼材市況の底入れに加え、自動車の生産が好調だったことも景況感を押し上げる要因となった。
国内景気は、自動車生産の回復とともに旺盛な建設関連需要が継続し、2カ月連続で上向いた。
< 今後の見通し : 緩やかに上向き >
今後の国内景気は、拡張的な財政・金融政策とともに、震災復興や東京五輪に向けた公共工事が下支えしていくとみられる。また、個人消費について、大手企業の冬季賞与が3年連続で増加すると見込まれていることはプラス材料といえる。海外動向では、米国の7~9月期GDPが2年ぶりの高い成長率となり、米連邦準備制度理事会(FRB)による年内の利上げ材料が増えたことなどもあり円高懸念は幾分後退した。しかしながら、原油価格が徐々に上昇しているほか、液化天然ガス(LNG)価格の上昇にともなう電力料金の値上げは、企業の業績を下押しする要因となろう。また、韓国の政情不安も懸念材料となる可能性がある。
今後の景気は、当面の不安定な動きをともないつつ、雇用・所得環境の改善などを受け、緩やかに上向いていくとみられる。
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