レポート

倒産集計 2025年度報(2025年4月~2026年3月)

2026/04/08

2年連続の1万件超え
物価高、人手不足が中小企業を直撃

概況・主要ポイント

  1. 2025年度の倒産件数は1万425件(前年度1万70件、3.5%増)となり、4年連続で前年度を上回り、2年連続で年度1万件を超えた
  2. 負債総額は1兆5537億8100万円(前年度2兆2525億7200万円、31.0%減)で、前年度から大きく減少し、2年連続で前年度を下回った。負債5000万円未満の倒産が比較可能な2000年度以降で最多となるなど、中小零細規模の倒産が目立った
  3. 業種別にみると、7業種中5業種で前年度を上回った。『サービス業』(前年度2638件→2677件、1.5%増)が最も多く、『小売業』(同2109件→2233件、5.9%増)が続いた。『サービス業』と『小売業』は、ともに2000年度以降で最多を更新した
  4. 地域別にみると、唯一前年度を下回った『東北』(前年度572件→545件、4.7%減)を除く8地域が過去10年で最多となった。『関東』(同3470件→3525件、1.6%増)は、4年連続で前年度を上回り、全体の33.8%を占めた。増減率でみると、『北陸』(同323件→375件、16.1%増)が最も高く、全県で前年度を上回った
  5. 「ゼロゼロ(コロナ)融資後倒産」は625件判明し、2年連続の減少となった
  6. 「人手不足倒産」は441件判明し、初めて400件を超え過去最多を大幅に更新した
  7. 「後継者難倒産」は533件判明し、2年ぶりに前年度を上回った
  8. 「物価高倒産」は963件判明し、2年連続で過去最多を更新した

業種別

『サービス業』『小売業』が2000年度以降で最多

業種別にみると、7業種中5業種で前年度を上回った。『サービス業』(前年度2638件→2677件、1.5%増)が最も多く、『小売業』(同2109件→2233件、5.9%増)が続いた。『サービス業』と『小売業』は、ともに2000年度以降で最多を更新した。『建設業』(同1932件→2041件、5.6%増)と『不動産業』(同296件→309件、4.4%増)は過去10年で最多となった。『運輸・通信業』(同458件→457件、0.2%減)は前年度から微減となったものの、3年連続で400件を上回った。
業種別の特徴を細かくみると、『サービス業』では、医療スタッフの確保難や代表者の高齢化を背景に「医療」(前年度181件→194件)が2000年度以降で最も多かった。『小売業』では、物価高や人件費高騰の影響を受け、「飲食店」(同901件→924件)は2000年度以降で最多となり、「飲食料品小売」(同321件→358件)は2000年度以降で2番目に多かった。

主因別

『不況型倒産』は8608件、全体の82.5%を占める

主因別にみると、「販売不振」が8478件(前年度8261件、2.6%増)で最も多く、2年連続で8000件を上回った。「売掛金回収難」(前年度49件→62件、26.5%増)や「業界不振」(同59件→51件、13.6%減)などを含めた『不況型倒産』の合計は8608件(同8389件、2.6%増)と、4年連続で前年度を上回り、全体の82.5%(対前年度0.8ポイント減)を占めた。
「経営者の病気、死亡」(前年度316件→350件、10.8%増)は、2000年度以降で最多だった前年度を上回り、最多を更新した。「放漫経営」(同162件→194件、19.8%増)は4年連続で増加し、過去10年で最多となった。
※倒産主因のうち、販売不振、輸出不振、売掛金回収難、不良債権の累積、業界不振を『不況型倒産』として集計

態様別

『清算型』は1万115件、全体の97.0%を占める

態様別にみると、『清算型』倒産の合計は10115件(前年度9804件、3.2%増)となった。全体の97.0%を占め、構成比は3年連続で97.0%台となった。『再生型』倒産は310件(同266件、16.5%増)発生した。
『清算型』では、「破産」が9725件(前年度9435件、3.1%増)で最も多く、4年連続で前年度を上回り、全体の93.3%を占めた。「特別清算」は、390件(同369件、5.7%増)で、2000年度以降で最多を更新した。
『再生型』では、「会社更生法」が9件(前年度13件、30.8%減)となった。「民事再生法」は、301件(同253件、19.0%増)となり、このうち個人が240件、法人が61件発生した。

規模別

資本金『個人+1000万円未満』が7580件、2000年度以降で最も多く

負債額を規模別にみると、「5000万円未満」の倒産が6475件(前年度6122件、5.8%増)で、2000年度以降で最多となり、全体の62.1%を占めた。「5000万円以上1億円未満」は1505件(同1465件、2.7%増)で、4年連続で前年度を上回った。
資本金を規模別にみると、『個人+1000万円未満』の倒産が7580件(前年度7153件、6.0%増)発生し、全体の72.7%を占めた。件数、構成比ともに2000年度以降で最多となった。

業歴別

業歴「30年以上」が3278件、全体の31.4%を占める

業歴別にみると、「30年以上」が3278件(前年度3210件、2.1%増)で最も多く、全体の31.4%を占めた。2年連続で3000件を上回り、過去10年で最多となった。このうち、老舗企業(業歴100年以上)の倒産は147件(同152件、3.3%減)となった。
業歴10年未満の『新興企業』〈「3年未満」(前年度385件→409件、6.2%増)、「5年未満」(同714件→658件、7.8%減)、「10年未満」(同2007件→1959件、2.4%減)〉は3026件(前年度3106件、2.6%減)と、4年ぶりに減少したものの3000件を上回る高水準で推移した。内訳を業種別にみると、「サービス業」(同1035件→1000件、3.4%減)が最も多く、「小売業」(同779件→707件、9.2%減)、「建設業」(同602件→603件、0.2%増)が続いた。

地域別

9地域中8地域が過去10年で最多

地域別にみると、唯一前年度を下回った『東北』(前年度572件→545件、4.7%減)を除く8地域が過去10年で最多となった。『関東』(同3470件→3525件、1.6%増)は、4年連続で前年度を上回り、全体の33.8%を占めた。『近畿』(同2595件→2700件、4.0%増)は、「兵庫」(同544件→618件)の増加が目立った。
増減率でみると、『北陸』(前年度323件→375件、16.1%増)が最も高く、全県で前年度を上回った。特に「新潟」(同131件→144件)や「富山」(同71件→100件)が増加した。『四国』(同203件→225件、10.8%増)は2年連続で200件を超えた。『九州』(同872件→916件、5.0%増)は、2008年度(1066件)に次ぎ2000年度以降で2番目に多かった。
都道府県別では、29都道府県が前年度を上回った。「栃木」(前年度171件→194件)と「新潟」は2000年度以降で最多、「徳島」(同49件→71件)は2000年度以降で最多タイとなった。

注目の倒産動向 -1

「道路貨物運送業」の倒産動向(2025年度)

「道路貨物運送業」の倒産、高水準続く
2025年度は321件、過去4番目の高水準

2025年度の道路貨物運送業の倒産は321件となった。前年度を下回ったものの、2008年度(371件)、2024年度(351件)、2009年度(341件)に次ぐ過去4番目の高い水準となっており、高止まりの状態が続いている。 
背景には、「人手不足」「燃料価格の上昇」がある。人手不足を要因とした倒産(人手不足倒産)は、2025年度で判明した441件のうち、道路貨物運送業は55件で全体の12.5%を占めた。また、物価高を要因とした倒産(物価高倒産)は、2025年度で判明した963件のうち、道路貨物運送業は91件で9.4%を占めた。倒産件数が高水準にあったリーマン・ショック時も軽油価格の高騰によるコストアップが収益悪化要因として挙がっており、足元の状況と共通している。一方、当時は急速な景気減速を背景として荷動きの停滞が生じ受注難が発生していたが、現在は一定の物流ニーズがありながらも、人手不足から受注をさばききれないという違いがある。
労働人口の減少に加え、ドライバーの高齢化、時間外労働問題、人材確保競争、賃上げなど「人」に関わるコストアップに加え、燃料費を中心とした物価高の問題もある。とりわけ収支改善のカギとなる軽油価格(店頭小売価格、1リットル)は、中東情勢の緊迫化を背景に一時180円に迫るなど、人手不足に加え物価高(燃料高)の問題が運送業者に重くのしかかっている。その後、政府は緊急的激変緩和措置として、ガソリン補助金を4月2日から8日までは過去最高額となる49.8円とするとしているが、情勢の不透明感が続くなか、今後の見通しを立てることも難しい。
今後も道路貨物運送業の倒産は高水準で推移する可能性が高い。業界環境の改善には近年指摘されている運送料金の引き上げや、再委託構造の改善、共同輸送、価格転嫁率の改善が不可欠となるだろう。

ゼロゼロ(コロナ)融資後倒産

ゼロゼロ(コロナ)融資後倒産は625件判明 2年連続の減少

「ゼロゼロ(コロナ)融資後倒産」は、625件(前年度681件、8.2%減)判明した。2年連続で前年度を下回り、前年度に続き減少傾向となった。業種別では、『小売業』(146件)が最多で、『卸売業』(118件)、『建設業』(113件)が続いた。最も多かった『小売業』では「飲食店」(61件)や「飲食料品小売」(31件)など、食品関連の倒産が目立った。

人手不足倒産

人手不足倒産は441件判明 初めて400件を超え過去最多を大幅更新

「人手不足倒産」は、441件(前年度350件、26.0%増)判明した。年度としては、初めて400件を超え、過去最多を大幅に更新した。業種別では、『サービス業』(114件)が最も多く、『建設業』(112件)、『運輸・通信業』(69件)が続いた。「従業員10人未満」の小規模企業が333件と、全体の約75%を占めた。

注目の倒産動向 -2

「公租公課滞納型」の倒産動向(2025年度)

社保料・税金滞納で倒産、2025年度は221件 過去2番目の高水準
ほぼ全件で「破産」 滞納後の事業再建、難易度の高さ鮮明

社会保険料や税金など「公租公課」の滞納が要因となった企業の倒産(「公租公課」滞納型倒産、負債1000万円以上)は、2025年度に221件発生した。前年度(269件)から48件・17.8%減少したものの、過去10年で2番目の高水準で推移した。倒産態様別では、2025年度に発生した221件のうち、97.3%・215件が「破産」だった。
手元資金の確保を目的とした「公租公課の滞納」は、金融機関のリスケジュールと異なり、売掛金や事業用口座が強制的に差し押さえられる。その場合、金融機関などからの借入金は期限の利益を喪失し、資金繰りが大幅に悪化しやすく、経営再建の大きな障害となっている。
2025年度の公租公課滞納型倒産を業種別でみると、「建設業」が最も多く62件だった。以下、ソフトウェア開発等を含む「サービス業」(60件)、トラック運送などの「運輸・通信業」(26件)となった。多くの業種で前年度から減少したものの、資材費や燃料費の高騰を発注元へ価格転嫁できず、社保料・税金の滞納で事業停止に追い込まれた建設業や運輸業で発生が目立った。
社会保険料や各種税金の納付は企業が公平に負う義務であり、差し押さえ等で事業継続に行き詰まる企業の増加を税務当局の責めに帰すことはできない。ただ、足元の円安や資源高による物価高などの影響も重なり、公租公課の支払い催促に対して十分な資金が不足する中小企業は少なくない。2026年度は中小企業でも人手確保に向けて高水準の賃上げをせざるを得ない局面を迎える。ただ、無理な賃上げは社会保険料の負担が増大し、賃上げ原資に乏しい中小企業にとっては大きな負担にもつながりかねない。増加した社会保険料や税金の支払いを賄えるだけの利益確保ができず、事業継続を断念するケースは、今後さらに増えていくことが予想される。

後継者難倒産

後継者難倒産は533件判明 2年ぶりに前年度を上回る

「後継者難倒産」は、533件(前年度507件、5.1%増)判明した。2年ぶりに前年度を上回り、3年連続で500件を超え高水準で推移した。業種別では、『建設業』(123件)が最も多く、『サービス業』(97件)、『製造業』(90件)が続いた。2025年度で過去最多となった「経営者の病気・死亡」は、後継者難倒産のうち45.2%を占めた。

物価高(インフレ)倒産

物価高倒産は963件判明 2年連続で過去最多を更新

「物価高倒産」は、963件(前年度925件、4.1%増)判明した。2年連続で900件を超え、過去最多を更新した。業種別では、『建設業』(247件)が最も多く、『小売業』(227件)、『製造業』(177件)が続いた。負債額別にみると、「1億円以上5億円未満」が368件で最も多く、「5000万円未満」が318件で続いた。

今後の見通し

2025年度の企業倒産、2年連続1万件超え

2025年度の全国企業倒産は1万425件発生し、2024年度(1万70件)に続き2年連続で1万件を超えた。小規模倒産が大半を占めており、長引く物価高に加え、人件費高騰、金利負担増加などコスト上昇分を販売価格に転嫁できず、資金繰りが悪化した中小零細企業の厳しい現状が浮き彫りとなった。単月ベースでみても3月は943件となり、足元においても倒産は増勢を続けている。
負債総額は1兆5537億8100万円となり、2年連続で前年度(2兆2525億7200万円)を下回った。1億円未満の倒産が76.5%を占めたことに加え、50億円を超える倒産は26件(前年度34件)にとどまったことが要因となった。負債額最大は12月に発生した㈱ドローンネット(負債1444億円)。50億円以上の倒産はコンプライアンス違反に起因したものが38.1%を占めた。

海外情勢に翻弄された1年

補助金や助成金、コロナ関連融資によって倒産が抑制されていたコロナ禍を経て、倒産件数は4年連続で前年度を上回った。その背景にはデフレ脱却に伴う急激な物価高、人件費高騰、円安、金利上昇、コロナ禍での借り入れ負担増加など多方面にわたるコスト上昇要因があった。
2025年度はそれらの要因に加えて海外情勢の急激な変化に翻弄された1年となった。4月に発表されたアメリカ関税政策に伴う大手企業の業績低迷は、サプライチェーン企業の受注環境の悪化を引き起こした。11月以降は日中関係の悪化により訪日中国人の減少やレアアースの輸出規制などが発生。メーカーからサービス・小売業者まで幅広く影響が出ている。さらに今年3月には、米国とイスラエルによるイラン攻撃をきっかけに原油価格が急騰し、供給不安が高まっている。帝国データバンクの3月の景気動向調査では全業界、全地域、全規模が悪化する結果となった。特に運輸・倉庫業の悪化幅は過去3番目となり、化学品製造業でも大幅な悪化がみられた。

経営安定性、コスト上昇への耐性、価格転嫁の可否で二極化が加速

今年1月には中小事業者の利益保護と取引適正化を目的とした中小受託取引適正化法が施行された。これにより中小企業の価格転嫁が進む可能性はあるが、帝国データバンクが今年2月に調査した「価格転嫁の実態調査」では価格転嫁率は42.1%にとどまり、目に見える改善には至っていない。また、物価高倒産や人手不足倒産が大きく減少に転じる経済環境にはない。
今後は原油高騰のあおりを受けて、燃料や化学品だけでなく、プラスチック製品、建材、アパレル資材、飼料など幅広い分野で価格が上昇し、企業の仕入れコストが増加する懸念が広がっている。原油供給量の減少が続けば、幅広い分野で減産や生産中止に陥り、サプライチェーンの断絶のリスクも高まる。手元資金の乏しい企業にとっては調達が困難となり、経営が立ち行かなくなる可能性も出てくるだろう。同業者間でも、経営基盤の安定性やコスト上昇への対応力、価格転嫁の可否などによって優勝劣敗が明確になり、二極化が進んでいくことは避けられない。夏頃から倒産が急増する懸念があり、2026年度は倒産が増加する可能性が高いだろう。

次回発表日は5月13日(水)13時30分を予定しております。

詳細はPDFをご確認ください
2025年度報・2026年3月報(倒産動向データ編)