レポート白井松器械株式会社
20年以上の粉飾決算が発覚
TDB企業コード:580013342 医療・理化学器械、研究用試験機器の製造・販売 民事再生法の適用を申請 負債86億9682万円
「大阪」 白井松器械(株)(資本金3000万円、大阪市中央区森ノ宮中央1-19-16、代表弘野俊彦氏)は、9月19日に大阪地裁へ民事再生法の適用を申請し、同日保全処分および監督命令を受けた。
申請代理人は鈴木規央弁護士(東京都港区虎ノ門1-17-1虎ノ門ヒルズビジネスタワー5階、アクトアドヴァイザーズ法律事務所、電話080-5881-3872)ほか2名。監督委員には加藤清和弁護士(大阪市北区堂島1-1-5関電不動産梅田新道ビル12階、梅田総合法律事務所、電話06-6348-5566)が選任されている。
当社は、1872年(明治5年)に医療器械商として創業し、1924年(大正13年)12月に法人改組した医療・理化学器械の製造・販売業者。とりわけ、解剖台や撮影装置付切出し台、ホルマリン濃度監視モニターなどの病理・解剖用機器に関しては、長年にわたり培ってきた高い技術力を生かし、顧客からのニッチなニーズにも対応する製品を開発していた。病理検査室を持つ国内ほぼ全ての主要病院と取引実績を有するなど業界のリーディングカンパニーとしての地位を築き、東京や九州、北関東に営業所などの拠点を順次開設。94年10月期には年売上高約47億円を計上した。
しかし、同業他社との競争激化、製薬会社の相次ぐ合併のほか、国立大学の独立行政法人化による予算カットで研究分野市場が縮小したことで受注が減少し、業績が悪化。借入金が増加するなか、金融機関から追加融資を受けることが難しくなり、99年ごろから粉飾決算を行うようになった。その後も粉飾決算を続けながら安定した業績推移をたどっているように装っていたものの、借入金が大きく膨らんでいた。
新型コロナウイルスが蔓延した2020年以降は、第三の事業分野として脱臭・除菌・害虫忌避システムなどの環境改善機器を開発し、東南アジアのホテルや介護施設などに売り込み窮境を脱することを計画していたが、今年に入り、決算内容に疑念を抱いた一部の金融機関から借入金の一括返済を求められる事態となり、資金繰りが急速に悪化。民事再生での再建を目指すこととなった。
負債は2022年9月期末時点で約86億9682万円。申請時点で判明している金融債務は約28億7000万円。
なお、今後、スポンサーを募集し、事業の再生を図る予定である。
債権者説明会は、9月25日午前10時より「毎日新聞オーバルホール」(大阪府大阪市北区梅田3-4-5毎日新聞ビル地下1階)で開催される。