2023/05/30(火)
FCNT株式会社など3社
「arrows」のブランドで有名な携帯端末メーカー
大手スマートフォンメーカーで初の倒産
民事再生法の適用を申請
TDB企業コード:013023835
負債1193億円
FCNT(株)が入居しているビル
「神奈川・兵庫」 携帯電話の企画から開発、製造などをグループで一貫して手がけるFCNT(株)(資本金91億9650万円、大和市中央林間7-10-1、代表田中典尚氏)と、ジャパン・イーエム・ソリューションズ(株)(TDB企業コード:384023065、資本金16億5250万円、加東市佐保35、代表橋英明氏)および両社の持ち株会社であるREINOWAホールディングス(株)(TDB企業コード:657024223、資本金89億4055万円、大和市中央林間7-10-1、登記面=東京都港区芝4-13-3、代表田克美氏)は、5月30日に東京地裁へ民事再生法の適用を申請した。
3社は、富士通グループの携帯端末事業を投資ファンドのポラリス・キャピタル・グループ(株)に譲渡するにあたり、携帯端末事業の運営を目的として2018年(平成30年)1月に設立された。
FCNT(株)(旧商号:富士通コネクテッドテクノロジーズ(株))は、スマートフォンやタブレットなどのモバイル通信機器や情報端末機器の開発から販売、サポートまでを手がけ、製造はジャパン・イーエム・ソリューションズ(株)が手がけていた。古くはNTTdocomoのiモード端末など富士通製として約30年に及ぶ開発実績を有し、「arrows」ブランドは高い知名度を誇ったほか、高齢者向けの「らくらくスマートフォン」シリーズも使いやすさが評価され市場に浸透するなど技術・開発力を生かして大手キャリアのほかMVNO事業者向けに製品を提供、2021年3月期の年売上高は約965億3900万円を計上していた。
ジャパン・イーエム・ソリューションズ(株)(以下、JEMS)も富士通グループが手がけていた携帯端末事業およびユビキタス関連事業を承継し、スマートフォンを中心に携帯端末の製造やパソコン、医療向けなどのモニター、プリント回路基板の製造を手がけ、2021年3月期は年売上高約832億1800万円を計上していた。
しかし、コロナ禍での携帯ショップの営業時間短縮や廉価機種を選択する消費者の増加による販売単価の低下、半導体不足による仕入れ価格上昇などから、グループの業績が悪化。FCNTの2022年3月期の年売上高は約843億5500万円に対し最終赤字を計上し、JEMSの2022年3月期の年売上高は約695億5300万円にとどまっていた。加えて、昨今の円安進行などによって原価や費用が急騰したこともあって、グループの資金繰りが急速に悪化し、今回の措置となった。
負債は、FCNT(株)が債権者約298名に対し約872億5505万円、JEMS(株)が債権者約363名に対し約613億1534万円、REINOWAホールディングス(株)が約290億円となっている。なお、グループ会社間の債権債務を除いた負債合計は約1193億円。
FCNTは、携帯端末関連のサービス事業については複数の事業会社よりスポンサー支援が表明されている。一方、携帯端末の製造・販売事業、修理・アフターサービス事業、ソリューション事業についてはスポンサー支援が得られない状況であり、事業を停止する予定。
JEMSについては、エンデバー・ユナイテッド(株)を含む3社で構成するスポンサーグループにより、FCNT向け内製・修理事業を除く事業を承継する旨を意向表明されており、デューデリジェンスや事業譲渡契約の締結を進め、今年7月末をメドに譲渡を完了する予定。ただし、FCNT向け内製・修理事業は事業を停止する予定。
●再生対策室(開設時間:平日10時〜17時)
・FCNT(株) 電話050-3358-3553
・JEMS(株) 電話0795-27-8061
・REINOWAホールディングス(株) 電話050-3358-3564
●債権者説明会〈6月2日(金) TKP新橋カンファレンスセンター12階〉
・FCNT(株) 16:00〜
・JEMS(株) 13:00〜
・REINOWAホールディングス(株) 16:00〜