レポート

電線・ケーブル業界の動向と展望

2025/09/30

■業界天気図

業界の情勢を、「快晴/晴れ/薄日/曇り/小雨/雨/雷雨」の7段階で表しています。

電線・ケーブル

2024年度
2025年度

■SUMMARY

電線・ケーブル業界は、電力供給や情報通信を支えるインフラとして重要な役割を果たしている。従来は銅やアルミニウムなどの金属導体を用いて電力や信号を伝送していたが、最近ではガラスを用いた光ファイバーが普及し、高速かつ大容量の情報伝送が可能となっている。電線・ケーブルは用途に応じて多様な種類があり、電力用電線、EM(エコマテリアル)電線・ケーブル、通信用電線、巻線、機器用電線、輸送用電線の六つに分類される。近年は、5G対応の電線部材やEV用ワイヤハーネス、再生可能エネルギー向けの電線など、高付加価値製品の需要が増加している。

電線・ケーブル業界の主な課題には、主原料となる金属の価格変動や地政学リスクへの対応がある。銅やアルミニウムは価格変動が激しく、特に銅はロンドン金属取引所(LME)の相場に強く依存している。また、環境規制の強化に伴い、製造工程での二酸化炭素排出削減やリサイクル対応が求められており、中小規模の事業者にとっては負担が大きい。労働安全衛生法に基づく化学物質管理の厳格化も進んでおり、対応が不十分だと行政指導や罰則の対象となるリスクがある。

市場動向を見ると、2023年度の銅電線出荷量は横ばいだったが、出荷金額は銅価格の上昇に伴い電線価格も上昇したため増加した。2024年度は出荷量が減少したが、価格上昇により出荷金額は増加し、特に輸出金額が大幅に伸長した。2025年度は、電力業向けの需要は設備更新や再生可能エネルギー関連の拡大により増加が期待される一方、建設業や自動車業向けの需要は米国のエネルギー・関税政策などの不確実性の高まりや建設費高騰、人手不足が影響し、減少傾向を見込む。

このレポートでは、電線・ケーブル業界の最新動向や市場展望、業績動向について解説する。また、業界が直面している資源価格の変動や地政学リスク、環境規制への対応などの課題についても述べる。市場動向については、2019年度から2024年度までの出荷量と伸び率を概観し、企業の業績動向では2023年度、2024年度の実績と2025年度の見通しを掲載する。

■CONTENTS

  • 業界の概要
  • 市場の動向と展望
  • 電線・ケーブル製造業の業績動向
  • 統計データ、関連法規・団体
  • 業界天気図
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