レポート「トヨタ自動車グループ」下請企業調査(2021年)

AIなどのソフトウェア産業、製造業を抑え1次下請でトップに ~ 下請企業の業績、20年度は7割超が減収 生産調整が響く ~

2021/06/03
サプライチェーン  輸送機械

はじめに

米欧各国や中国などで急速に進む自動車の電動化や自動運転の普及など、自動車産業は「CASE」と呼ばれる100年に一度の一大変革期を迎えている。なかでも自動車の電動化が急速に進み、国内完成車メーカーでもホンダをはじめ、二次電池を使用する外部充電式のピュア電動車(BEV)を主軸に据えた「脱内燃機関」シフトが鮮明となっている。こうした動きはガソリンエンジンなどに使われる部品をはじめ、従来の自動車部品産業にとって需要減少となる可能性が高い。

他方、完成車メーカー最大手のトヨタ自動車はBEVに加え、水素を燃料とした水素エンジン車、燃料電池車(FCV)、プラグイン・ハイブリッド車(PHEV)など、多様なパワーユニットの開発に着手、BEV以外のカーボンニュートラルに向けた道のりを探っている。こうした同社の動きは、これまで自動車産業との関わりが乏しかったソフトウェアや素材メーカー、スタートアップにとっては新たなビジネスチャンスとなり、トヨタ自動車を頂点とした同社グループの「ケイレツ」による下請企業構造にも大きな変化が起きている。

帝国データバンクは、トヨタ自動車グループ※と直接・間接的に取引のある下請企業(一次下請・二次下請)について、保有する企業概要データベースを対象に分析を行った。なお、本調査は2019年3月以来2年ぶり4回目。


■トヨタ自動車グループとは、トヨタ自動車及び同社の国内製造子会社・持分法適用関連会社など計15社が対象。なお、新・アイシン(旧・アイシン精機)については吸収した旧・アイシン・エィ・ダブリュの下請企業を含む
■トヨタ自動車グループの複数社と取引関係がある企業については1社としてカウント。なお、取引の有無・売上高・所在地は最新の調査データを反映しているが、その後変動している可能性がある
■対象は「製造・卸売・サービス」の3業種のうち、自動車製造、またはそれに関連した商材を取り扱う企業で、かつ資本金3億円以下の企業を「下請企業」と定義している

調査結果

  • 1 トヨタ自動車グループ(主要関連会社・子会社計15社)の下請企業は、全国で合計4万1427社となった。前回調査から約3000社増加したほか、2014年の調査開始以降で初めて4万社を超え過去最大となった
  • 2 業種細分類別に見ると、一次下請では「ソフト受託開発」(296社)が2位の「自動車部分品製造」(261社)を30社超上回って首位となった。二次下請でも、2019年に続き「ソフト受託開発」が1525社でトップ
  • 3 下請企業の2020年度業績(対象:約2万5000社、通期・見込業績含む)は、「増収」:18.9%(4846社)、「減収」:73.2%(1万8718社)、「前期並み」:7.9%(2009社)
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