レポート山形県内「トヨタ自動車グループ」下請企業調査(2021年)

1次下請けで製造業が100%を占める ~ 下請企業の業績、2020年度は7割超が減収へ 生産調整が響く ~

2021/06/11
サプライチェーン  輸送機械

はじめに

米欧各国や中国などで急速に進む自動車の電動化や自動運転の普及など、自動車産業は「CASE」と呼ばれる100年に一度の一大変革期を迎えている。なかでも自動車の電動化が急速に進み、国内完成車メーカーでもホンダをはじめ、二次電池を使用する外部充電式のピュア電動車(BEV)を主軸に据えた「脱内燃機関」シフトが鮮明となっている。こうした動きはガソリンエンジンなどに使われる部品をはじめ、従来の部品産業にとって需要減少となる可能性が高い。

他方、完成車メーカー最大手のトヨタ自動車はBEVに加え、水素を燃料とした水素エンジン車、燃料電池車(FCV)、プラグイン・ハイブリッド車(PHEV)など、多様なパワーユニットの開発に着手、BEV以外のカーボンニュートラルに向けた道のりを探っている。こうした同社の動きは、これまで自動車産業との関わりが乏しかったソフトウエアや素材メーカー、スタートアップにとっては新たなビジネスチャンスとなり、トヨタ自動車を頂点とした同社グループの「ケイレツ」による下請企業構造にも大きな変化が起きている。

帝国データバンク山形支店では、トヨタ自動車グループ※と直接・間接的に取引のある下請企業(一次下請・二次下請)について、保有する企業概要データベースを対象に分析を行った。なお、本調査は山形支店としては初の試みとなる。


■トヨタ自動車グループとは、トヨタ自動車および同社の国内製造子会社・持分法適用関連会社など計15社が対象。なお、新・アイシン(旧・アイシン精機)については吸収した旧・アイシン・エィ・ダブリュの下請企業を含む
■トヨタ自動車グループの複数社と取引関係がある企業については1社としてカウント。なお、取引の有無・売上高・所在地は最新の調査データを反映しているが、その後変動している可能性がある
■対象は「製造・卸売・サービス」の3業種のうち、自動車製造、またはそれに関連した商材を取り扱う企業で、かつ資本金3億円以下の企業を「下請企業」と定義している

調査結果

  1. トヨタ自動車グループ(主要関連会社・子会社計15社)の下請企業は、山形県内で合計266社となった。過去データとの比較では、分析可能な2014年以降では最多となった
  2. 業種細分類別に見ると、一次下請では「製造」(17社)で100.0%となった。二次下請では、「製造」(184社)で73.9%を占め、「卸売」(47社)が18.9%、「サービス」(18社)が7.2%で続いた
  3. 下請企業の2020年度業績(対象:163社、通期・見込業績含む)は、「減収」が76.1%で最も多く、「増収」が14.7%、「前期並」が9.2%となった
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