レポート

ガス業界の動向と展望

需要減少圧力が続く中、脱炭素化と事業領域拡大で成長を模索するガス業界

2026/09/30

■業界天気図

業界の情勢を、「快晴/晴れ/薄日/曇り/小雨/雨/雷雨」の7段階で表しています。

ガス

2025年度
2026年度

■SUMMARY

ガス業界は、天然ガスやLPガスを調達し、家庭や商業施設、工場、発電所などへ供給する。そのうち、都市ガス事業はLNG受入基地から導管網を通じて需要家へ供給する仕組みを基盤に都市圏で発展してきた。

近年はガス小売全面自由化や大手事業者の導管部門の法的分離により競争環境が変化し、従来の地域独占型市場から、ガス小売事業者や新規参入事業者が競争する市場へ移行している。一方で、導管網や保安体制を維持する社会インフラとしての役割は変わらず、安定供給と安全確保が事業の根幹となっている。

国内では工業用需要が全体の販売量を左右する構造が続くなか、省エネや生産効率向上の進展により需要は伸び悩んでいる。そうした中で、石炭や石油から天然ガスへの燃料転換需要や、コージェネレーション、分散型エネルギーシステムなどの導入が需要を下支えしている。

2025年に政府が策定した「第7次エネルギー基本計画」では、都市ガス分野の脱炭素化を担う技術としてe-メタンが明確に位置付けられた。これを受け、各社では導管への注入実証やサプライチェーン構築、クリーンガス証書制度の活用など、社会実装に向けた取り組みが本格化している。また、ガスと電気のセット販売に加え、住宅設備、蓄電池、見守りサービスなどを組み合わせた総合エネルギーサービスへの展開も進んでいる。

一方で、ガス業界は多くの構造的課題に直面している。天然ガスの原料であるLNGは大半を輸入に依存しており、国際市況や為替、地政学リスクの影響を受けやすい。近年も中東情勢を背景にLNG価格の変動が続いており、調達コストの安定化が重要な経営課題である。

また、人口減少や省エネの進展に伴う需要減少圧力に加え、社会インフラとしての重要性から導管や保安設備の維持更新、人材の高齢化・不足への対応は不可欠である。脱炭素化に向けてe-メタンをはじめとするカーボンニュートラルガスの普及には、製造設備やサプライチェーン構築への巨額投資が必要となほか、製造コスト低減や再生可能電力・CO2調達体制の確立など解決すべき課題も多い。安定供給を維持しながら脱炭素化投資を進め、その負担をいかに吸収していくかが業界最大のテーマである。

このレポートでは、ガス業界の市場構造や自由化後の競争環境、脱炭素化に向けた事業モデルの変化を整理する。市場動向では、都市ガス需要の推移、LNG調達環境、e-メタンやクリーンガス証書制度をはじめとする脱炭素化の取り組み、総合エネルギーサービスへの展開などについて述べる。業績動向では主要企業の2024年度、2025年度の実績と2026年度の見通しを掲載する。

■CONTENTS

  • 業界の概要
  • 市場の動向と展望
  • ガス業の業績動向
  • 関連法規・団体
  • 業界天気図
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