レポートパン製造小売業者756社の経営実態調査

緩やかに拡大傾向を辿るも、前年度比微減 ~ 大手は減収企業が7割を占める ~

2019/04/23
食品

はじめに

パンブームと言われて久しい。大手スーパーマーケット内には焼きたてパンを訴求するベーカリーコーナーが定着し、コンビニエンスストアにおけるパンの品質も大きく向上した。国内パン市場が成熟状態にあるなか、新たな需要を喚起するため、天然酵母・国産小麦粉など健康志向や高級志向などに応じた新商品の展開へ乗り出す業者の攻勢が続いている。なかでも、空前の“高級食パンブーム”が到来し、「乃が美」や「一本堂」などプレミアム感を打ち出した食パン専門店が次々と全国へ進出している。

一方で、大手ベーカリーチェーンや多品種を揃える地域のベーカリーは苦戦気味だ。原材料の価格高騰や人件費等のコスト増と懸念材料がはらんでおり、販売競争の激化で余波が出始める業者が散見される。

帝国データバンクは、「パン製造小売」を主業としている全国756社(法人、個人営業)を企業概要ファイル「COSMOS2」(147万社収録)から抽出し、分析した。同様の調査は今回が初めて。

※「パン製造小売」はパン類を製造し、その場所で小売をする企業とし、移動販売式パン屋も対象に含まれる

※「パン製造」を主業としている製パン業者は対象から除外した

調査結果

  1. 2016年度までは緩やかに拡大傾向を辿っていたものの、2017年度の売上高合計は2814億5800万円となり、前年度比1.2%の微減
  2. 売上高規模別では、「1億円未満」(458社)が約6割を占め最多。一方、年商規模の大きい50億円以上は10社(構成比1.3%)となった。売上高規模別の増減比率を見ると、減収率が最も高いのは50億円以上の大手企業で70%(7社)を占め、増収率が最も高いのは「10億円以上50億円未満」の中堅業者で64.9%(24社)となった
  3. 売上高増減比率推移を見ると「増収」比率が17.3%となり、前年度から4.2ポイント減少した
  4. 地域別では「関東」が最多だが、以下「中部」「九州」「近畿」など“西高東低”となった
  5. 売上高上位企業を見ると8社中6社が減収となった。大手は採算を重視した店舗閉鎖や同業者との競争激化、天候不順による客足減少等で、軒並み業績が芳しくない様子がうかがえる
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