鉄鋼業界の動向と展望

■業界天気図

業界の情勢を、「快晴／晴れ／薄日／曇り／小雨／雨／雷雨」の7段階で表しています。

SUMMARY

鉄鋼業界は、鉄鉱石を原料とする高炉業や鉄スクラップを再利用する電炉業、特殊鋼・ステンレス鋼製造業、鋼材加工業、鉄鋼卸売業などで構成される。鋼材は幅広い分野で利用され、特に建設向けと自動車向けの需要が業況を左右する。国内需要は人口減少や経済成長の鈍化により漸減傾向にあり、利益を確保するための合理化や海外展開が成長のカギとなっている。高炉メーカーは老朽化設備の休止や生産拠点の集約を進める一方、インドや東南アジアなど成長市場での現地生産強化に注力している。

業界の課題としては、原材料価格やエネルギーコストの変動による収益への影響、CO2排出削減への対応が挙げられる。鉄鋼業は国内産業部門の排出量の約4割を占めるため、脱炭素化は国のカーボンニュートラル目標に直結する重要課題である。高炉メーカーは既存設備の低炭素化に加え、水素製鉄や電炉による高級鋼生産など新技術の開発を進めている。また、製造時のCO2排出量を削減したグリーン鋼材の供給拡大も求められており、各社は市場投入を加速している。さらに、中国からの鋼材輸入急増や米国の関税政策など、国際的な競争環境の変化もリスク要因となっている。

このレポートでは、鉄鋼業界の最新動向や市場展望、業界が直面する課題と対応策について解説する。脱炭素への取り組みや国際通商リスク、価格形成の仕組みなども取り上げる。市場動向については、2023年度から2025年度までの粗鋼生産量や需給動向を整理し、業績動向では主要企業の2023年度、2024年度の実績と2025年度の見通しを掲載する。

CONTENTS

• 業界の概要
• 市場の動向と展望
• 製鉄・製鋼業の業績動向
• 鉄鋼卸売業の業績動向
• 統計データ、関連法規・団体
• 業界天気図