レポート特別企画 :愛知県の「スズキ」グループの下請企業実態調査

はじめに

自動車大手のスズキは5月18日、ワゴンＲやスイフトなど国内で販売している全16車種について、国が定める規定と異なる方法で燃費データを測定していたことを発表した。三菱自動車工業に続き、スズキでも発覚した燃費データ不正問題。会社側は改ざんを否定し、燃費そのものに不正はなく、「販売は継続する」としているが、ブランドイメージの低下による販売不振など今後の影響が懸念される。

帝国データバンク名古屋支店は、企業概要データベース「COSMOS2」（146万社収録）の中から、スズキグループと直接、間接的に取引がある下請企業（一次下請先、二次下請先）を抽出し、社数･従業員数合計、都道府県別、業種別、年商規模別に調査・分析した。

スズキグループの下請企業実態に関する調査は、今回が初めて。

■ 調査対象は、スズキ本体のほか、同社の2014年度･有価証券報告書に記載があり、自動車および自動車部品の製造を手がける子会社など4社＜スズキ部品製造、スニック、スズキ部品富山、浜名部品工業＞とした
■ 抽出条件は、製造業、卸売業、サービス業の3業種＜食品・繊維などスズキグループの本業と関連の薄い業態は除く＞で、資本金3億円以下の企業（個人含む）を「下請先」とした
■ スズキグループの複数社と取引関係がある企業については、「1社」としてカウントした
■ 取引の有無、売上高、所在地は最新のものとしたが、弊社調査後に変動している可能性もある

調査結果

1. スズキグループの下請企業のうち、愛知県に本社を置くのは1382社にのぼり、都道府県別では全国最多であることが判明。これらの一次下請先（137社）、二次下請先（1245社）の総従業員数は6万7349人（全国6587社の合計は34万4305人）に達した。
2. 都道府県別に見ると、一次下請先では主な生産拠点が集中する「静岡県」が266社（構成比38.8％）でトップ、豊川工場がある「愛知県」は137社（同20.0％）で2位だった。
3. 業種別に見ると、一次下請先では「自動車部分品製造」が11社（構成比8.0％）で最多。二次下請先では「機械工具卸」が58社（同4.7％）でトップ。
4. 年商規模別に見ると、一次下請は「10億～50億円未満」が57社（構成比41.6％）、二次下請は「1億～10億円未満」が663社（構成比53.3％）でそれぞれ最多となった。