レポート京都府内のホテル・旅館の経営実態調査(2022年度~2023年度)

2022年度は観光需要の回復で、全体の約半数が増収 ~ 売上高合計は2016年の調査開始以来、最大の増加率 ~

2024/03/29
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はじめに

2023年の訪日外国人客数(訪日外客数)は前年比6.5倍の2,506万6,100人と大幅増となり、コロナ前の2019年比21.4%減まで回復した(日本政府観光局2024年1月17日発表)。
京都府においても、国内外の観光客が増加し、観光消費額および外国人宿泊客数は増加基調となっている。新型コロナウイルスが感染症法上の5類に移行したほか、円安効果などで外国人観光客が増加したことが寄与した。2024年に入ってからも堅調な推移が続いており、京都の観光業界は着実な回復基調に入ったと言えるだろう。
一方、コロナ禍の長期化や物価高、外資を含めた新設ホテルの建設ラッシュにより、ホテル・旅館の競争は激化しており、設備老朽化などで集客力の劣る企業は事業継続を断念する事例がみられる。また、人手不足による受け入れ客数の制限、物価高や人件費高騰に伴う客室単価の上昇もみられ、約3年間のコロナ禍で京都の宿泊業界は大きな転換点を迎えている。

帝国データバンク京都支店では、2024年3月時点の企業概要データベース「COSMOS2」(147万社収録)に収録されている京都府内に本店を置く「ホテル・旅館」を主業とする企業のうち、業績比較が可能な147社(個人経営含む)の業績動向などについて分析した(簡易宿所を除く)。同調査は2022年6月に続き7回目。なお、売上高は一部推定値を含む。


調査結果

  1. 京都府内に本店を置く「ホテル・旅館」業者147社の2022年度(2022年4月~2023年3月)の売上高合計は、新型コロナウイルス感染拡大が落ち着きをみせたことや、各種支援策により前年度に比べて大幅増となり、2016年の調査開始以来、最大の増加率となった
  2. 全体では増収企業が増加した一方、売上高「1億円未満」では増収企業は約25%にとどまるなど、中小規模の企業では回復が遅れている
  3. 「50年以上」の企業は横ばいも多く、業歴が長い企業は集客力向上が課題となっている
  4. 2023年度は、インバウンドの回復や宴会需要の増加で更なる回復が見込まれるが、物価高や人手不足が足かせとなる企業も見られ、収益性改善が今後の課題となる
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