◆旅館・ホテルの販売単価は高止まり傾向、国内宿泊旅行単価は 63,212 円/人・回(2023 年)
観光庁は、2023 年における日本人の国内宿泊旅行の旅行単価は 63,212 円/人・回(※1)(速報値) だったと発表した。コロナ禍以前の 2019 年の 55,054 円と比較すると 14.8%増で 8,000 円以上の 増加となっている。 国内宿泊旅行単価は、新型コロナウイルスの影響が一服した 2022 年の段階ですでに、2019 年の旅行単価を超えていた。
※1:観光庁「旅行・観光消費動向調査 2023 年年間値(速報)」

その背景には、抑制されていた旅行へのリベンジ消費による需要増加 や原材料・エネルギーコストの高騰がある。さらに、価格転嫁の進展や、人材確保にともなう賃金の上昇も、観光地における飲食代やお土産代、宿泊料金などの値上げにそのまま直結し、旅行単価の上昇につながっているとみられる。
また、堅調に回復している訪日外国人の存在も、需要 が供給を上回る状況を引き起こし、単価上昇が加速する要因となっている。とりわけ、帝国デー タバンクの「TDB 景気動向調査」によると、「旅館・ホテル」の販売単価が上昇したとする割合(※2) は 2022 年 8 月以降 20 カ月連続で 60%を超え、2024 年 3 月時点では 75.3%と 4 社に 3 社は上昇 したと捉えていた。
※2:TDB 景気動向調査において、対前年同月の販売単価について「非常に上昇した」「上昇した」「やや上昇した」のいずれかを回答した企業の割合

◆「旅館・ホテル」の直近の景況感、6 割の企業で『良い』と捉える
2024 年 3 月の TDB 景気動向調査では、「旅館・ホテル」の 60.0%の企業で景況感を『良い』(※3) と捉えていた。他方、『悪い』(※4)とする企業は 16.7%にとどまった。 特に 3 月は春休みシーズンを迎えるなか、企業からは「海外を含め国内のお客さまも多い」 「ようやくコロナ前の売り上げ水準に戻ってきた」というように、明るい声が寄せられている。

また、コロナ禍で低下していた設備稼働率についても、2022 年 4 月以降は『上昇』(※5)と捉える 企業の割合が『低下』(※6)を逆転し、直近の 2024 年 3 月は 59.7%となった。

観光・レジャー需要ほか、出張需要の復活なども好材料となっていよう。 ただし、深刻化する人手不足への対応や、食材をはじめアメニティ、リネン関連費用、冷暖房 費などの高止まりなどは企業収益を圧迫する要因となっており、宿泊料金の値上げは続くと見込 まれる。
その結果、国内のリベンジ消費が一巡する方向にあるなかで、消費者の宿泊離れを回避 するために各社は独自性や希少性、高級感などの対応を迫られることとなり、生き残りをかけ優 勝劣敗が顕著となっていくと予想される。
※3:TDB 景気動向調査において、現在の景気について「非常に良い」「良い」「やや良い」のいずれかを回答した企業の割合
※4:同調査において、現在の景気について「非常に悪い」「悪い」「やや悪い」のいずれかを回答した企業の割合
※5:同調査において、対前年同月の設備稼働率について「非常に上昇した」「上昇した」「やや上昇した」のいずれかを回答した企業の割合
※6:同調査において、対前年同月の設備稼働率について「非常に低下した」「低下した」「やや低下した」のいずれかを回答した企業の割合

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