はじめに
国内の公共交通の一翼を担う路線バス業界では、安全運行を担う運転手の深刻な不足に直面している。背景には、他業種に比べて給与水準が低いことや、長時間労働など待遇面の悪さが人材定着に悪影響を及ぼしているとの指摘がある。加えて、コロナ禍で落ち込んだ乗客数が完全に戻り切れていないことや、燃料費高騰による収益面での打撃も重なり、賃上げで運転手を確保する余力のあるバス会社が少ないことも、問題解決の糸口が容易に見つからない要因となっている。
足元では、4市町村で路線を運行していた金剛バス(大阪)が運転手不足を理由にバス事業から全面撤退するなど、都市部でも減便を余儀なくされるケースが増えている。既に8割の路線バス会社が路線を2023年中に減便・廃止するほか、24年以降に路線縮小を検討するバス会社もみられる。「2024年問題」解決の要となる、運転手不足の短期的な解決が難しいなか、利用者の多い市街地路線でも一層のダイヤ縮小や路線の統合などによる「減便・廃止」が進む可能性が高い。
■路線バスの「減便・廃止」は、路線数が2022年度末時点で30本以上有する民営バス事業者127社が対象。高速バス路線のみの事業者は除いた。減便・廃止の判断は、各社のダイヤ改正情報などに基づく。路線等の情報は、2022年度末時点の国土数値情報(国土交通省)を参考とした
■各社の従業員数(人手)は帝国データバンクが保有する企業情報から、乗合バス運行事業者を対象に調査を行った。なお、この中には一般路線バスのほか、都市間高速バス運行会社も含まれる
調査結果
- 路線バスの8割が今年「減便・廃止」を実施 全路線数の約1割に影響の可能性
- 「人手不足」深刻 コロナ前から人手「減少」が約半数を占める

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