レポート

百貨店業界の動向と展望

2025/08/29

■業界天気図

業界の情勢を、「快晴/晴れ/薄日/曇り/小雨/雨/雷雨」の7段階で表しています。

全国展開型百貨店

2024年度
2025年度

地方百貨店

2024年度
2025年度

■SUMMARY

百貨店業界は、全国展開型百貨店と地方百貨店に分類され、主要都市圏を中心に展開する店舗が業界の中心を担っている。しかし、購買チャネルの多様化や人口減少の影響で国内市場は縮小傾向が続いており、業界再編が加速している。

近年は、都市部での旗艦店舗の建て替えや大規模リニューアルが進む一方で、不採算店舗や地方百貨店の閉店が相次ぎ、大都市圏と地方における市場の二極化が顕著となっている。また、消費者の消費行動変化に対応するため、オンラインとオフラインを統合したオムニチャネル戦略やデジタル技術を活用した顧客体験の向上が重要視されている。

市場動向を見ると、2023年度は外出機会の増加やインバウンド需要の回復により、コロナ前の販売水準に戻るなど堅調に推移した。2024年度は円安効果で訪日外国人による免税売上高が急増し、高額商材やインバウンド需要が市場をけん引したが、地方店舗の閉鎖が続き採算の厳しい状況が続いた。2025年度の展望では、円安から円高への転換や世界的な景気後退懸念の影響を受けてインバウンド需要が減速し、国内売上高も前年を下回る可能性がある。これに伴い業界各社の業績はまだら模様となる見込みである。

業界の課題として、オンラインショッピングやディスカウントストアとの競争激化が挙げられており、各社は差別化戦略が求められている。また、環境意識の高まりに対応するエコフレンドリーな商品やサービスの提供、店舗運営のサステナビリティも重要な課題である。

さらに、ミレニアル世代やZ世代など新世代の顧客層を取り込むためのマーケティング戦略の再構築が急務とされている。地方百貨店では、人口減少やインフレによる消費抑制が業績を圧迫しており、大都市圏との格差が拡大している。

このレポートでは、百貨店業界の最新動向や市場展望、業績動向について分析する。市場規模では、統計に基づき2013年度以降の百貨店販売額や2022年以降の免税売上高の推移を示す。業績動向では全国展開型百貨店および主要な地方百貨店の2023年度および2024年度の実績と2025年度の見通しを詳述する。

■CONTENTS

  • 業界の概要
  • 市場の動向と展望
  • 百貨店の業績動向
  • 統計データ、関連法規・団体
  • 業界天気図
TDB REPORT ONLINEログインページへ