レポート

セメント業界の動向と展望

国内需要縮小と脱炭素化対応が進展、再編と資源循環機能の強化が進むセメント業界

2026/09/30

■業界天気図

業界の情勢を、「快晴/晴れ/薄日/曇り/小雨/雨/雷雨」の7段階で表しています。

セメント製造

2025年度
2026年度

セメント二次製品製造

2025年度
2026年度

■SUMMARY

セメント業界は、基礎素材産業として、石灰石を原料とするセメントの製造・販売を中核に、生コンクリートやプレキャストコンクリート製品などの二次製品までが含まれる。

社会インフラの整備や土木建築工事業を支える重要な産業であり、高度経済成長期には旺盛な建設需要を背景に市場を拡大した。しかしその後は、公共投資の縮小や住宅着工の減少、人口減少などを背景に国内需要の減少が続いている。そのため、業界では大手専業メーカーへの集約が進み、UBE三菱セメントの誕生など事業統合による再編が進展しているほか、需要縮小を背景に兼業メーカーによる事業撤退や事業譲渡が続いている。

足元では、建設投資額が底堅く推移するものの、建設コストや労務費の上昇、人手不足に加え、働き方改革関連規制による施工能力の制約などから、セメントや生コンクリートの数量需要は弱含みの推移となっている。

国土強靱化、防災・減災、老朽化した橋梁やトンネル、上下水道などの更新需要が下支え要因となっているほか、企業による設備投資や再開発案件などの民間建設需要にも期待が寄せられている。また、国内市場の縮小を補うため輸出拡大が進められているほか、道路陥没事故などを契機に社会インフラの維持更新への重要性が増している。

セメント産業は建設資材の供給だけではなく、循環型社会を支える役割も担っている。セメント製造工程では、廃プラスチック、汚泥、焼却灰などの産業廃棄物や副産物を原燃料として活用できるため、廃棄物の有効利用や最終処分場負担の軽減に貢献している。近年は、資源循環や環境ソリューションを提供する産業としての重要性も高まっており、リサイクル事業の拡大や環境関連設備への投資も進む。

業界としては、国内需要の長期的な縮小、輸出市場における競争激化、燃料価格や物流費の変動といった課題を抱える。加えて、セメント製造では石灰石の焼成工程で大量のCO2を排出するため、脱炭素化対応が業界全体の経営課題である。CCUS(CO2回収・利用・貯留)や代替燃料、低炭素セメントの開発には多額の投資が必要であり、需要低迷下でも収益性を維持しながら環境対応を進めることが求められる。

このレポートでは、セメント業界の市場構造や需給動向、業界再編の進展を整理する。国内需要と輸出の動向、インフラ更新需要、資源循環・リサイクル事業の拡大、脱炭素化への取り組みについて述べるほか、業績動向では主要企業の2024年度、2025年度の実績と2026年度の見通しを掲載する。

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