レポート2021年長野県内旅館・ホテルの倒産動向調査

倒産件数は8件、前年を下回るも2年連続全国最多 ~別会社に事業を承継したものが6件、支援強化を反映~

2022/01/26
倒産・休廃業  サービス

はじめに

2020年、2021年と厳しい環境に置かれた観光業界。長野県は雄大な自然や歴史的建造物に恵まれる全国有数の観光県として知られ、近年はインバウンドの増加も目立っていたが、2020年以降新型コロナウイルス感染拡大の直撃を受ける形で強い逆風が吹き続けている。1年延期され、昨年開催された東京オリンピック・パラリンピックが原則無観客となったこともあって、国内観光全体が当初の見込みから大幅に変化。その後、新規感染者数は沈静化しつつあったが、今年に入りオミクロン株の拡大と連動する形で急増、再び暗雲が立ち込めている。

コロナ前から財務内容が弱体化していた旅館・ホテル経営業者は少なくなかったが、コロナ禍で事業環境は一層悪化。一方、金融機関や再生支援機関が関与して抜本的な事業再生計画が構築・実行され、別会社のもとで施設の運営が継続されるケースも増えている。

旅館・ホテルの数が多く、倒産件数が全国上位となることが多い長野県。2020年は全国最多の12件が集計されたが、2021年はどのような状況だったのだろうか。今回、2021年に発生した県内の旅館・ホテルの倒産(法的整理、負債1000万円以上)に焦点を当て、動向を分析した。

調査結果

  1. 県内では8件の旅館・ホテルが倒産、前年比4件減
    2021年、県内で集計された旅館・ホテルの倒産は8件だった。前年(2020年、12件)からは4件減、率にして33.3%減少している。一方、負債は39億8400万円で、前年(79億2700万円)比49.7%減とほぼ半減した
  2. 都道府県別では、件数が2年連続全国最多
    全国で倒産した旅館・ホテルの件数は、前年比44.9%減の70件(前年127件)。47都道府県別にみると、長野県の8件は全国最多である。長野県が最多となるのは2年連続。次いで多かったのは、北海道・栃木県・東京都の各5件
  3. 態様別では「特別清算」5件、別会社が事業を継続しているものが6件
    2021年に県内で倒産した旅館・ホテルを態様別にすると、「特別清算」が5件、「破産」が3件だった。「特別清算」が高水準となっているのは、別会社のもとで事業継続を図る抜本的な事業再生計画が構築・実行されるケースの拡大と連動している。この「特別清算」5件と、「破産」3件のうち1件、合計6件で施設の運営を別会社が継続している
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