レポート2020年長野県内旅館・ホテルの倒産動向調査

倒産件数は前年から3倍増の12件、全国最多 ~新型コロナウイルスの影響を受けた倒産は5件~

はじめに

2020年、観光業界は強い逆風に晒された。新型コロナウイルスである。雄大な自然環境や歴史的建造物に恵まれる一方、著名なイベントをいくつも擁する長野県も例外ではなかった。人類が初めて直面する新型ウイルスの感染拡大を防止するため、人の動きを大幅に抑制せざるを得なくなり、一時は全国を対象とした緊急事態宣言が発出される事態に。宣言解除後も手探り状態を強いられ、夏以降旅行需要を喚起したGo Toトラベルキャンペーンも、感染者の急増により年末から一時停止となっている。

一方、観光庁が毎年行う「宿泊旅行統計調査」で“客室稼働率全国最下位”が定位置となっている長野県。観光産業が地場産業として地域に根ざし、宿泊施設数が多いことが関係しているとみられるが、実際に財務内容が悪化した施設運営企業も多く、近年は周囲の支援を受け、抜本的な事業再生を目指す事例が増加している。

旅館・ホテルの倒産が全国上位となることが多い長野県。新たなマイナス材料が加わった2020年はどのような状況だったのだろうか。今回、2020年に発生した県内の旅館・ホテルの倒産(負債1000万円以上、法的整理)に焦点を当て、動向を分析した。

調査結果

  1. 旅館・ホテルの倒産は12件、前年比3倍増
    2020年、県内で集計された旅館・ホテルの倒産は12件。前年(4件)からは3倍増、率にして200.0%増と大幅に増加した。10件以上となるのは、2018年(13件)以来2年ぶり。一方、負債は前年比1392.8%増の79億2700万円と、こちらも急増している
  2. 都道府県別では2年ぶりに全国最多
    全国で倒産した旅館・ホテルは127件。前年比92.4%増と前年を大きく上回っている。47都道府県別では、長野県の12件が最も多い。負債は大阪府に次いで2番目に大きかった
  3. 別会社で事業継続を目指すケースが6件
    民事再生法など再建型法的整理手続きを適用する動きはなかったが、施設の運営を別会社に譲渡した後の破産など、何らかの形で事業継続が図られているものは6件と半数に達した。
  4. 新型コロナウイルス関連倒産は5件
    業種を問わず、新型コロナウイルスの影響を受けた倒産が目立った2020年。県内の旅館・ホテルの倒産12件のうち、新型コロナウイルス関連倒産は5件(構成比41.7%)だった
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