はじめに
2016年に日本を訪れた外国人旅行者数と消費額が過去最高を更新した。観光庁のまとめによると、訪日旅行者数は前年比21.8%増の2403万9000人、消費額が同7.8%増の3兆7476億円。“爆買い”の沈静化など消費額の伸びの鈍化により、1人当たりの消費額は減少(11.5%減)したものの、依然としてインバウンドは増加基調にあり、長野県内でも外国人旅行者の姿を見かけるケースは珍しくなくなっている。
一方、テレビドラマや映画、あるいは大型イベントの効果も加わり、国内旅行者数も堅調に推移したと言われる長野県。県内の旅館・ホテルはこうした需要を取り込むための努力を続けているが、競争は激しさを増し、施設の老朽化や過剰債務といった問題を抱え、厳しい環境に直面している事業者も少なくない。
ここ数年、強力な金融支援を背景に全体として倒産の発生は抑制されているが、旅館・ホテル経営業者の倒産はどのように推移しているのだろうか。今回、2016年(1月~12月)に県内で倒産(法的整理、負債1000万円以上)した旅館・ホテルに焦点を当て、その動向を分析した。
調査結果
- 2016年、全国では81件の旅館・ホテルが倒産
2016年に全国で倒産した旅館・ホテルは81件で、前年(2015年、86件)から5.8%減少した。100件を下回るのは3年連続。負債は前年比14.8%減の425億8600万円だった。 - 長野県内では8件の旅館・ホテルが倒産、都道府県別で最多
2016年に長野県内では8件の旅館・ホテルが倒産した。前年(5件)を60.0%上回っている。47都道府県別では最多である。負債も大幅に増加しており、前年比556.3%増の53億2900万円に達している。 - 地区別では「北信」が6件、スキー場周辺施設が半数
8件を地区別にすると、「北信」が6件(構成比75.0%)を占めた。また、8件中4件と半数が、スキー客向けの営業を主体とする施設を経営する企業だった。 - 8件すべてが清算型手続き、事業譲渡後の手続きが半数を超える
態様別では「破産」が6件(構成比75.0)、「特別清算」が2件(同25.0%)と、いずれも清算型手続きだったが、事前に事業譲渡を行っていたケースが5件を数えた。
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