レポート旅行業者の経営実態・倒産動向調査

旅行業者の倒産、3年ぶりの増加に転じる ~ 新型コロナウイルスの流行以前から業績は悪化の傾向 ~

2020/12/11
倒産・休廃業  金融  サービス

はじめに

先月24日、政府は新型コロナウイルスの感染拡大を受けて「Go Toトラベル」の対象地域から大阪、札幌の両市を除外した。これまでの利用者数は約4000万人、観光産業の苦境を緩和するのに一定の効果を発揮したと思われる「Go Toトラベル」事業だが、足元では感染者数が再拡大しており、今後も実効性が維持されるかどうか判断の難しい局面に差し掛かっている。ようやくひと息ついた観光産業従事者にとっては、あまりに辛過ぎる状況だろう。

帝国データバンクでは、旅行業者(※)の経営実態調査と倒産動向調査(法的整理のみ、負債1000万円以上)を実施した。国内に約1万社存在するとされる旅行業者のうち、2020年11月時点の企業概要ファイル「COSMOS2」(147万社収録)の中から、経営実態が判明している2924社の売上動向や地域別、業歴別などのほか、2000年1月から2020年11月までに746件発生した旅行業者の倒産について、分析を行った。

※旅行業者と旅行業代理店業者

調査結果

  • 1 「売上規模別」では、10億円に満たない企業が全体の88.2%を占めた。「売上高動向」では「増収」が2017年度と2019年度の比較で9.8ポイント減少し、「減収」が6.8ポイント増加した
  • 2 「地域別」では、「南関東」が961社(構成比32.9%)と最多。「業歴別」では、10~50年未満が全体の72.9%を占めた。「資本金別」では1億円に満たない企業が全体の96.7%に達した。「従業員別」では10人未満が80.1%を占めた
  • 3 2020年1-11月の倒産件数は24件、既に2019年の20件を上回って推移している。通年では3年ぶりの増加に転じた。特に10月は6件、11月も3件と、足元で増加傾向にある
  • 4 倒産の「地域別」では、「関東」「近畿」「中部」に全体のおよそ8割が集中、「負債額」では5億円に満たない小規模事業者が全体の9割強を占めた
  • 5 倒産の「資本金別」では、5000万円に満たない企業が全体の8割強を占め、「従業員別」では、50人未満が98.5%とほとんどを占めた
  • 6 倒産の「業歴別」では、「20~30年未満」が189件(構成比25.3%)と最多
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