はじめに
造船業界が苦境にあえいでいる。リーマン・ショック前における新造船の大量建造に加え、2013年前後の需要回復を見込んだ投機的な新造船の建造により、現時点においても世界の船腹供給量は需要を上回る状況にある。一般社団法人日本造船工業会がまとめた『造船関係資料』によると、2020年末における世界の新造船手持工事量は1億2099万総トンと、2008年(3億6807万総トン)のおよそ3分の1にまで減少し、「造船不況」と呼ばれる状況に陥っている。この間、中国や韓国の造船業者との価格競争により船価も低迷。中小造船所では操業維持のための赤字受注を余儀なくされるケースも散見され、業界中堅・大手では再編や撤退の動きが活発化している。
2021年を振り返ると、業界首位の今治造船(株)(愛媛県今治市)と業界2位のジャパンマリンユナイテッド(株)(JMU、横浜市西区)が資本業務提携。2月に(株)新来島どっく(愛媛県今治市)の傘下にサノヤス造船(株)が加わり(同時に(株)新来島サノヤス造船へ商号変更)、6月にはJMUが舞鶴事業所における新造船事業から撤退するといった動きが見られている。
そこで、帝国データバンク大阪支社では、企業概要データベース「COSMOS2」(約147万社収録)から鋼船製造(修繕を含む)を主業とする全国の企業488社(個人経営を含む)を抽出し、地域別に集計したほか、最近の業況などを分析した。今回が初めての調査となる。
調査結果
- 2020年度の売上高合計は1兆9782億7400万円で前年度比3.0%減
「減収」企業の割合は58.9% - 2020年度の当期利益が「赤字」の割合は27.9%、このうち約半数が2期連続赤字
『利益が減った企業』の割合は43.8%にのぼった - 地域別の社数は『九州』が116社(構成比24.4%)で最多、西日本が328社(同69.1%)
売上高合計は『四国』が最多、従業員数合計は『関東』が最多 - 倒産は2000年以降で58件発生、最大の倒産は昭和ナミレイ(株)(堺市西区、負債374億円)
再建型倒産(「民事再生法」「会社更生法」の合計)の割合が全体の約3分の1を占めた
詳細はPDFをご確認ください

Contact Usお問い合わせ先
担当部署
お問い合わせ先 株式会社帝国データバンク 大阪支社 TEL:06-6441-3100 FAX:06-6445-9532