レポート

全国「花屋市場」動向調査(2025年度見通し)

「フラスタ」新たな起爆剤? 花屋市場は2250億円、2年ぶりに増加

2026/03/26

株式会社帝国データバンクは、全国の「花屋」市場について調査・分析を行った。              

SUMMARY

2025年度の花屋市場(事業者売上高ベース)は約2250億円規模となり、前年比1.4%増と2年ぶりの増加に転じた。生活必需品ではない花卉(かき)類への買い控えや冠婚葬祭の小規模化により、店頭販売は低迷が続いた。一方、「母の日」需要の底堅さに加え、ライブ・舞台・コンサートで定着したフラスタ(フラワースタンド)需要、フォトスポット・フラワーウォールなど体験型消費の拡大が市場の回復を下支えした。

                         

[調査対象] 「花・植木小売業(花屋)」を主力事業として展開する企業

[注1] 業績等のデータについては、2026年3月時点における帝国データバンクが保有する企業概要ファイル

(COSMOS2、約150万社収録)、企業信用調査報告書(CCR、約200万社収録)、外部情報などを基に集計した。

[注2] 事業者売上高(セグメント売上高、推定を含む)の合計。2025年度の数値は各社の予想値に基づく。


「フラスタ」新たな起爆剤? 花屋市場、2年ぶり増加

2025年度(2025年4月~2026年3月期決算)における花屋の市場規模(事業者売上高ベース)は、およそ2250億円前後に達する見通しとなった。前年度からは約1.4%の増加となり、2年ぶりに前年を上回る見込みとなる。花屋の市場はコロナ禍で大幅に落ち込み、近年は横ばい傾向が続いたものの、「母の日」などイベント向けのほか、ライブやコンサートで最近定着してきた高単価・高収益な「フラワースタンド(フラスタ)」の需要増など、新たなジャンルへの取り組み・開拓が進んでいる。

国内の花卉(かき)類を取り巻く環境では他に、大阪花博以来37年ぶりとなる国際園芸博覧会(花博)が2027年に神奈川県横浜市で開催される(2027国際園芸博覧会、GREEN×EXPO 2027)。花屋業界では、プレイベントや関連イベントを通じた「花とのふれあい」が増加することで、ライフスタイルに花を取り入れる文化が再評価されるといった効果への期待度も高い。

 

花屋の業績動向(見通しを含む)をみると、2025年度は前年度から横ばいの「前年度並み」が6割超を占めた。一方で、「増収」が18.5%に上ったほか、損益面では前年度からの「増益」が40.9%を占め、前年度(32.6%)から上昇した。母の日イベントをはじめとして、家族や友人へのカジュアルな贈り物としてフラワーアレンジメントが選ばれるようになったほか、「体験型」フラワーウォールやフォトスポットなど、写真映え・没入型コンテンツとしての花の価値が見直されつつある。その結果、利益率の高いイベントや展示会など空間プロデュース案件、オフィス・商業施設向けのグリーンレンタルが増加し、大型ディスプレイ用の装花が提供可能な花屋を中心に業績が改善傾向で推移した。ドライフラワーや塊根植物(コーデックス)など趣味性・専門性が高い商品を展開する花屋では、インターネット通販(ECサイト)を通じて根強いファン層を開拓し、成長につなげるケースがみられた。

また、最近はライブやコンサート、舞台の出演者に向けてファンが推し活の一環として個人・グループで贈る「フラワースタンド(フラスタ)」が定番化している。演者やキャラクターのイメージ、コンセプトを花やパネルで表現するフラスタは、高いデザイン力と技術力が問われることから競合相手が少なく、一般的な生花販売に比べて高単価・高収益を狙いやすい。店頭でのホームユース向け花卉販売が低迷するなか、大型装花を得意とする花屋では、こうした「推し活」「体験型」の拡大も業績の下支えに貢献した。

一方で、損益面で「減益」(見通しを含む)となった花屋は24.8%、「赤字」が33.6%を占め、減益と赤字を合わせた「業績悪化」の割合は58.4%に達した。6割を超えた前年度(66.6%)からは低下したものの、依然として利益確保が難しい花屋も多く見られた。長引く物価高のなか、生活必需品ではないホームユース(家庭用)の買い控えが続いており、食品スーパーやホームセンターなど大手量販店との価格競争も激しい。また、巨大な生花祭壇など安定した需要が見込めた冠婚葬祭向けでは小規模化・簡素化が進み、こうした販売先を主力とする花屋では受注減少による影響が大きかった。他方で、肥料や資材費の高騰で花卉類の仕入れ価格が上昇しているほか、物流費、水道光熱費も高騰するなど、花の鮮度を維持するための運営コストも嵩み、利益面で余裕のない状況が続いている。この結果、客離れを恐れて価格転嫁が遅れた花屋では、減収と大幅な赤字を余儀なくされるケースが目立つようになった。

 


推し活などの「体験価値」、花を通じた訴求が市場拡大のカギ

足元では、従来型の店頭小売りや「従来型の冠婚葬祭依存」では生き残りが難しくなっている。また、肥料高に加え、原油高を背景とした花卉類のさらなる価格高騰が見込まれ、仕入れ価格の上昇が避けらない情勢取っている。また、花卉類は商品特性上、温度や水分管理など鮮度維持が必須で、輸送コスト増や輸送力の低下といった影響を受けやすいほか、人件費や水道光熱費などコスト増への対応も必要となっている。一方で、デジタル化や効率化のなかで「思いを伝える」体験(トキ)を演出するツールとしての花の価値が見直されているほか、「推し活」などで注目を集めるフラワースタンド文化の浸透、「バレンタインに男性が女性に花を贈る」など花を材料とした新たな文化の定着が花卉類の需要を生み出す原動力にもなっている。

「映える」フラワーアレンジメントなど花屋の技術(スキル)も試されるなかで、「花を通じた体験価値」をどう提供できるかが、今後の花屋業界を生き抜くカギになるとみられる。

20260326_「花屋」市場動向調査

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