レポート

「歯医者」の倒産・休廃業解散動向(2026年1-9月)

歯科医院の倒産・廃業、過去最多ペース 都市部と地方で進む二極化

株式会社帝国データバンクは、「歯医者(歯科医院)」の倒産・休廃業解散発生状況について調査・分析を行った。         

SUMMARY

2026年1-9月に発生した「歯医者(歯科医院)」の休廃業・解散(以下「廃業」)は120件発生し、前年同期(106件)から14件・約1割の増加となった。9カ月累計の廃業件数としては2年連続で100件を超えた。また、倒産(負債1000万円以上、法的整理)は23件発生し、同期間で過去最多となる計143件の歯医者が消滅した。                    

集計期間 :2026年9月30日まで

集計対象 :負債1000万円以上、法的整理による倒産

休廃業・解散:特段の手続きを取らずに企業活動が停止した状態を確認(休廃業)、もしくは商業登記等で解散(ただし「みなし解散」を除く)を確認した企業(休廃業・解散とは、倒産(法的整理)を除く)

調査方法:帝国データバンクが継続的に収集・蓄積している倒産情報を基に、集計対象期間内に発生した倒産件数および負債総額を集計


歯科医院の倒産・廃業、都市部と地方で進む二極化

2026年1-9月に発生した「歯医者(歯科医院)」の休廃業・解散(以下「廃業」)は120件発生し、前年同期(106件)から14件・約1割の増加となった。9カ月累計の廃業件数としては2年連続で100件を超えた。また、倒産(負債1000万円以上、法的整理)は23件発生し、同期間で過去最多となる計143件の歯医者が消滅した。競争激化による利益圧迫に加え、人件費や歯科材料の高騰、院長の高齢化や後継者不足を背景とした「廃業」の傾向もみられ、地域医療を支えてきた歯医者の退出が相次いでいる。

歯医者の経営を取り巻く環境は、近年大きく変化している。歯科衛生士を中心とした人材確保は年々難しくなっているほか、スタッフの人件費増も負担となっている。加えて、銀やパラジウムなど歯科用金属や医療機器価格の値上げ、電子カルテやマイナ保険証の読み取り機といったデジタル投資も必要となり、診療報酬だけではこうしたコスト増を賄えない状況が続いている。

「コンビニより多い」といわれる歯医者の競争も、地域によって様相が異なる。都市部では、大型医療法人やマウスピース矯正など自由診療に強みを持つ専門医院の開院が相次ぎ、患者獲得競争が激化している。一方、地方では人口減少や高齢化を背景に患者数そのものが減少し、小規模医院ほど厳しい経営環境に置かれている。こうしたなかで、歯科医院の廃業により治療先の確保が難しくなる地域もあり、歯科業界では「競争過多の都市部」と「担い手不足の地方」という二極化が鮮明となっている。

こうしたなか、院長の高齢化や後継者不足から、事業承継を断念し、自主的な閉院を選択するケースが目立っている。過去5年間に廃業となった歯医者のうち、直近期の業績が判明した120件の損益動向をみると、半数超が黒字経営だった。また、廃業時の院長年齢は平均で70歳(2026年9月時点)を超えており、高齢化や後継者不足を背景とした自主的な閉院が増えている。一定の経営基盤を抱え、経営面では黒字を維持していても、「子どもが継がない」「承継相手がいない」といった理由から閉院を選択する「静かな廃業」が歯科業界で広がっている可能性がある。


足元では、倒産・閉院したことで周辺の歯医者に患者が流入し、新規の患者数が増加した歯医者もみられるほか、複数の歯科医師を抱える大型医院への集約もみられ、業界全体で再編の動きも進んでいる。今後も診療報酬改定への対応に加え、医療DXへの投資や人件費上昇への対応が求められるなかで、こうした経営変化への対応が難しい歯医者では、先行きへの諦めから余力のあるうちに事業を畳む廃業がさらに増加するとみられる。

20261006_「歯科医院」の倒産動向(2026年1-9月)

Contact Usお問い合わせ先

担当部署

株式会社帝国データバンク 情報統括部 TEL:03-5919-9343 Email:tdb_jyoho@mail.tdb.co.jp