レポート

「和菓子店」の倒産動向(2026年1-9月)

倒産相次ぐ「和菓子店」、 2026年は 過去最多ペース

株式会社帝国データバンクは、「和菓子店」の倒産発生状況について調査・分析を行った。

SUMMARY

2026年1~9月に発生した「和菓子店」の倒産(負債1000万円以上、法的整理)は22件だった。これまで最も多かった2025年を上回り、過去最多を更新するペースで推移している。原材料高による収益圧迫に加え、職人の高齢化による技術承継の困難化、店舗や工場の新設に伴う設備投資負担、さらにコロナ禍で借り入れた資金の返済負担が重なり、経営環境は一段と厳しさを増している。

集計期間:2000 年 1 月 1 日~2026 年 9 月 30 日まで

集計対象:負債 1,000 万円以上 ・法的整理による倒産

「和菓子店」とは、菓子製造(小売を含む)のうち「まんじゅう」や「干菓子」、「練り切り」など和菓子を製造する企業

調査方法:帝国データバンクが継続的に収集・蓄積している倒産情報を基に、集計対象期間内に発生した倒産件数および負債総額を集計


倒産相次ぐ「和菓子店」、2026年は過去最多ペース

2026年1~9月に発生した「和菓子店」の倒産(負債1000万円以上、法的整理)は22件だった。これまで最も多かった2025年を上回り、過去最多を更新するペースで推移している。原材料高による収益圧迫に加え、職人の高齢化による技術承継の困難化、店舗や工場の新設に伴う設備投資負担、さらにコロナ禍で借り入れた資金の返済負担が重なり、経営環境は一段と厳しさを増している。

2026年には、長年地域に親しまれてきた老舗の和菓子店における倒産が多く発生した。看板商品の「加賀の巻絹」で知られた高砂屋(石川、破産)や、「よこすか焼き」などで知られたいづみや(神奈川、破産)など、人口減少や消費者ニーズの変化に加え、原材料価格の上昇による採算悪化が重なり、経営が行き詰まった。2020年以降に発生した138件を業歴別にみると、業歴100年以上の和菓子店が24件・17.4%を占めるほか、50年以上では半数に上るなど、長い業歴を有する老舗和菓子店が目立った。

和菓子店の倒産や閉店が相次ぐ背景の一つに、和菓子特有の「値上げの難しさ」が挙げられる。和菓子は日常の茶請けや地域の贈答品として購入される機会が多く、嗜好品としての側面が強い洋菓子などに比べて価格改定への抵抗感が生じやすい。一方で、和菓子の主要な原材料となる小豆や砂糖、もち米などの原材料価格は上昇傾向が続いているほか、包装資材や光熱費、人件費の上昇も経営を圧迫している。こうしたなか、値上げに踏み切った和菓子店もあるものの、結果的に値上げ後に来店頻度の低下や販売数量の減少に直面し、仕入価格の上昇分を十分に販売価格へ転嫁できず、苦境に陥った和菓子店は少なくない。

需要面でも逆風が続く。若年層の和菓子離れが指摘されるなか、主な顧客層の高齢化が進み、冠婚葬祭の簡素化や手土産需要の減少もあって、贈答向け需要は縮小傾向が続いている。また、菓子職人の高齢化で生産量を維持できなくなったほか、代表者の体調不良や職人の引退を契機に事業継続が困難となるケースもみられるなど、高度な技術の承継問題も課題となっている。


足元では、観光地でインバウンド需要を取り込む店舗や、コンビニ・スーパー向けのOEM製造、ネット通販やふるさと納税で販路を広げる和菓子店など、業績を伸ばす例もみられる。また、写真映えや新食感が楽しめる、あんことチョコレートの組み合わせなど「ネオ和菓子」や、フルーツ大福、わらび餅などのトレンド商品の開発で若年層の顧客を開拓し、新たな需要の獲得につなげる和菓子店もある。老舗として培ったブランド力だけでは成長が難しい局面を迎えるなか、伝統の味や技術を守りながら、販路や商品開発を通じていかに新たな需要を取り込めるかが、今後の事業継続を左右する重要な要素となりそうだ。

20261003_「和菓子店」の倒産動向(2026年1-9月)

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