レポート

「米作農業」の休廃業解散・倒産動向(2026年1-8月)

コメ農家の廃業・倒産、4年連続で30件超え 米価上昇でも「撤退」高水準

2026/09/06

株式会社帝国データバンクは、「米作農業」の休廃業解散、倒産における発生状況について調査・分析を行った。               

SUMMARY

作農家の廃業や倒産が止まらない。2026年1-8月に発生した米作農業(コメ農家)の廃業は27件判明した。25年通年の廃業件数(37件)に迫る水準で推移しており、4年連続で過去最多を更新する可能性がある。同期間における倒産(負債1000万円以上、法的整理)も4件判明し、計31件が生産現場から撤退した。                          

 

[注]  

集計期間:2026年8月31日まで

集計対象: 休廃業・解散:特段の手続きを取らずに企業活動が停止した状態を確認(休廃業)、もしくは商業登記等で解散(ただし

「みなし解散」を除く)を確認した企業(休廃業・解散とは、倒産(法的整理)を除く)

倒産:負債1,000万円以上の法的整理


止まらない「コメ農家」の廃業 4年連続で最多を更新へ

米作農業の廃業や倒産が止まらない。2026年1-8月に発生した米作農業(コメ農家)の廃業は28件判明した。同期間における倒産(負債1000万円以上、法的整理)も4件判明し、計32件が生産現場から撤退した。1-8月累計としては3年連続で30件を超えており、高水準での推移が続いている。コメの概算金(買取価格)が上昇し、損益面では大きく改善したものの、高齢化や各種コスト高に加え、先行き不透明感から事業継続を断念するケースが少なくないとみられる。

コメ生産現場をめぐっては、過去の猛暑による不作などを背景に記録的な米価急騰となった「令和の米騒動」で、農協系からの概算金は大幅に値上がりするなど、多くのコメ農家が利益を確保した。実際に、2025年度における法人を中心とした米作農業の利益動向をみると、最終損益で「増益」となった事業者が77.8%を占めた。前年度の65.9%を大幅に上回る水準で、増益割合としては過去20年で最高となったほか、減益であっても黒字を維持した事業者を含めると、黒字割合は9割を超えた。コロナ禍で「赤字」の割合が3割を超えた2021~22年度に比べると、米作農業の損益状況は大きく改善した。

ただ、こうした収益改善は単年度としての特徴であり、これまで薄利多売で利益が手元に残りにくかったことから、米作りに欠かせないトラクターや田植え機、コンバイン、乾燥機など、老朽化が進んでいる機械設備の更新を先送りにしてきたケースは少なくない。また、近年の異常な猛暑、豪雨、台風、さらにはカメムシの大量発生などにより、収穫量の減少や等級落ちも発生しやすく、事業計画通りに高品質な米を安定供給する難易度も高くなるなど、将来的に経営が安定するかは不透明な情勢もある。加えて、全国の米作農業における代表者年齢は60代を超えており、コメ生産に向けたマンパワー不足もボトルネックとなっている。廃業となった米作農業者の代表者年齢も70代後半と高齢化が顕著ななかで、米価が高くとも「将来を見据えた積極投資」に踏み切れず、高齢化等を理由に事業継続を断念する動きが水面下で進行している可能性がある。


足元では、コメ価格高騰による需要の減退に加え、生産量の回復で民間在庫が積み上がったことから、2026年産の米の概算金(JAの仮渡金)は、前年産の高騰から一転して全国的に大幅に下落(約2〜4割減)している。肥料や農薬、機械のメンテナンス費用などの生産コストが軒並み上がる中での大幅下落で「経営が成り立たない」といった声も聞かれる。コメ価格の上昇だけでは解決できない問題が顕在化するなか、主食の安定供給を担う米作農業の経営安定化が課題となる。

20260906_「コメ作農業」の倒産・休廃業解散動向

Contact Usお問い合わせ先

担当部署

株式会社帝国データバンク TEL:03-5919-9343(直通) e-mail:tdb_jyoho@mail.tdb.co.jp