レポート

戦略的投資イニシアティブ「人工ダイヤの製造プロジェクト」サプライチェーン分析

ダイヤモンド工具メーカー2社のサプライチェーン 国内に延べ1,017社 97.1%が中小企業、取引額総計694億円

2026/05/25

SUMMARY

 2026年2月、日米両政府は総額約5,500億ドルとされる対米投資の第一弾のひとつとして、「工業用の人工ダイヤの製造プロジェクト」を発表。同プロジェクトによって、中小を中心として国内企業への波及効果も期待される。政府資料に例示されているダイヤモンド工具メーカー「ノリタケ」「旭ダイヤモンド工業」の2社を頂点とするサプライチェーンは、国内企業延べ1,017社にのぼり、うち97.1%が中小企業。もたらされる取引額は総計で694.5億円にのぼる。

 株式会社帝国データバンクは、保有する「商流圏」データ(※)をもとに、ダイヤモンド工具メーカー「ノリタケ」「旭ダイヤモンド工業」の2社に対して部品などのモノやサービスを提供する周辺産業をサプライチェーン企業とし、調査・分析を行った。

※「商流圏」データとは……帝国データバンクが特許を取得した「個別企業間の全取引シェアを推計するモデル」を用いて、任意の頂点企業における商流上(サプライチェーン)の傘下企業や取引企業において、各社の売上高が頂点企業にどの程度依存しているかを算出(特許取得済)したデータの総称。 

国内延べ1,017社のサプライチェーン企業に波及効果

 2026年2月、日米両政府は総額5,500億ドルに及ぶ対米投資の第一弾として、「自動車・航空・半導体の部素材の加工に使用する工業用の人工ダイヤの製造プロジェクト」など3つの投資対象を発表した。今回分析する工業用人工ダイヤの製造に関しては、両国ともに特定国への依存度の高い分野であり、経済安全保障の観点などからも、日米が協力してサプライチェーンを作り上げることに大きな意義を見出している。政府資料には、プロジェクトに際して購入に関心を寄せるダイヤモンド工具メーカーとして、いずれも東証プライム上場のノリタケ旭ダイヤモンド工業が例示されており、これらに製品・サービスを提供する国内のサプライチェーン企業にとってもビジネスの拡大が見込まれる。

 帝国データバンクが保有する「商流圏」データ(※詳細は最終頁を参照)を用いて分析したところ、2社を頂点とするサプライチェーン企業は、国内に延べ1,017社(2社合計の社数は延べ数<重複あり>)あることが判明した。うち97.1%にあたる987社が中小企業であり、政策の意図する国内企業への波及効果にも期待が寄せられる。直接取引のあるtier1(一次取引先)は延べ496社、tier2(二次取引先)は延べ485社、tier3(三次取引先)は延べ36社あることが判明した。

 また、延べ1,017社による2社への取引額の合計は694.5億円にのぼり、このうち中小企業との取引額は470.4億円。本プロジェクトにより2社の事業が拡大すれば、これらサプライチェーン企業との取引額(もたらされる売り上げ)も伸長する可能性があるとともに、希少性の高い強固なサプライチェーンの一角を担うこととなる。

 ノリタケのサプライチェーン企業は、tier1が353社(取引額487.5億円)、tier2が403社(同59.6億円)、tier3が35社(同1.1億円)で合計791社、取引額の合計は548.2億円。旭ダイヤモンド工業のサプライチェーン企業は、tier1が143社(同139.5億円)、tier2が82社(同6.8億円)、tier3が1社(200万円)で合計226社、取引額の合計は146.3億円。

ノリタケは「中部」、旭ダイヤモンド工業は「関東」が中心

 ノリタケ旭ダイヤモンド工業のサプライチェーン企業を地域別にみると、社数では「中部」が延べ517社(ノリタケ:461社、旭ダイヤモンド工業:56社)と最大で、取引額は338.1億円となり、こちらも最も大きい。ノリタケの拠点が名古屋市西区にあり、同社のサプライチェーン企業の39.1%に当たる309社が「愛知県」の企業であるほか、tier1企業353社のうち約半数の162社が同県に所在している。

 次いで大きいのは、「関東」で社数は延べ246社(ノリタケ:116社、旭ダイヤモンド工業:130社)、取引額は238.8億円となった。東京都千代田区に拠点を置く旭ダイヤモンド工業のサプライチェーン企業が「東京都」に多い(60社)が、ノリタケのサプライチェーン企業も都内に73社が確認できた。

 都道府県別にみると、ノリタケは「愛知県」「岐阜県」「三重県」など、中部地域に取引先網が広がっている。一方で旭ダイヤモンド工業のサプライチェーン企業は、「東京都」「神奈川県」や、子会社のある「山梨県」「千葉県」など関東近郊に多い。

 業種別にみると、2社のサプライチェーン企業で最も多いのは「製造業」の延べ455社、次いで「卸売業」の同221社、「建設業」の同119社となった。細分類別では「一般貨物自動車運送業」が54社と最多だがtier2が多く、tier1でみると「機械工具製造業」の18社が最多となった。

20260525_戦略的投資イニシアティブ「人工ダイヤの製造プロジェクト」サプライチェーン分析

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