レポート

「保育園」の倒産・休廃業解散動向(2025年)

「保育園」の倒産、前年から倍増で過去最多を更新 

2026/02/15

株式会社帝国データバンクは「保育園」運営事業者の倒産動向について調査・分析を行った。

SUMMARY

2025年に発生した「保育園」運営事業者の倒産(負債1000万円以上、法的整理)は14件発生し、前年(7件)から倍増となった。また、休廃業や解散は32件(前年24件)あり、市場から退出した保育園運営事業者は計46件となった。前年(31件)に比べると15件(48.4%)の増加となり、年間で過去最多となった。                      

集計期間:2000年1月1日~2025年12月31日まで

集計対象:倒産は負債1000万円以上、法的整理によるもの。なお、休廃業・解散とは、倒産(法的整理)を除き、特段の手続きを取らずに企業活動が停止した状態を確認(休廃業)、もしくは商業登記等で解散(「みなし解散」を除く)を確認した企業


保育園の倒産、前年から倍増 「選ばれない園」の淘汰進む

2025年に発生した「保育園」運営事業者の倒産(負債1000万円以上、法的整理)は14件発生し、前年(7件)から倍増となった。また、休廃業や解散は32件(前年24件)あり、市場から退出した保育園運営事業者は計46件となった。前年(31件)に比べると15件(48.4%)の増加となり、年間で過去最多となった。「待機児童ゼロ」を目的に、全国で補助金政策による保育施設の整備が進むなか、足元では利用者から「選ばれる園」と「淘汰される園」の二極化が進んでいる。

2019年以降、政府による幼児教育・保育の無償化に加え、「こども誰でも通園制度」の実施などで保育園利用のハードルが下がり、共働き世帯の増加も背景に保育ニーズ自体は高水準で推移している。他方で、都市部では園の乱立により保育士の確保競争や、地方では少子化による定員割れで収益が悪化するケースが散発している。9割近い自治体で待機児童数がゼロになるなど保育施設も充足してきたなかで、保育の質や立地面で選ばれなくなった保育園の経営が行き詰まるケースが多くみられた。また、補助金の不正受給や、資金流出などが発覚し、認可取り消しなどの行政処分を受ける事例も散見された。

2024年度における保育園運営事業者の損益動向をみると、前年度から「増益」となった割合は54.9%を占め、2015年度以来、9年ぶりに半数を超えた。2024年度から、保育園の運営費(公定価格)のうち大部分を占める人件費が過去最大規模で引き上げられ、保育園の人件費負担が大幅に改善した。また、4〜5歳児を中心に保育士の配置基準が改定されたことで、基準以上の人員を既に確保していた園では新たな加算措置が適用され、運営収入が増加したことも利益を大きく押し上げた。定員割れが続いた園でも、一時預かりや病児保育などの新規収益源の確保や、調理室や事務部門などを高齢者デイサービスと一体化し固定費を削減する複合型福祉事業で利益を確保するケースがみられた。他方で、「減益」となった事業者は21.3%にのぼるほか、「赤字」も23.8%を占め、赤字・減益を合わせた「業績悪化」の割合は45.1%と、厳しい経営環境に直面している事業者も4割超を占めた。保育士の確保が難しい事業者では受け入れ定員の縮小を余儀なくされたほか、0〜2歳児を中心に定員充足率が低い園で人件費の固定費負担が重くのしかかった事業者もみられた。

2026年は、保育士の配置基準や処遇の改善など政策面で「量」重視から「質」重視へのシフトが鮮明で、経営改善やサービスの質確保に意欲的な保育園にとっては強い追い風となる。他方で、保育施設の余剰感が強まる地域を中心に、不採算園などの淘汰も同時に進むと予想され、保育サービス業界全体で調整局面が本格化する1年になるとみられる。

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